シェアリングサービスを展開するベンチャー、スタートアップ企業が注目される理由

近年、あらゆる分野でシェアリングサービスが拡大しており、ベンチャー、スタートアップ企業の参入も相次いでいます。なぜ、シェアリングサービスが注目されているのか。本記事ではシェアリングサービスのビジネス構造、メリットやデメリット、課題等について紹介します。

目次

シェアリングサービスを扱う企業が注目されるワケ

2010年代以降、シェアリングサービスで起業するベンチャー、スタートアップ企業などが増加し、チラシ領域でシェアリングサービスを展開する株式会社ラクスルのように一気にIPOから東証1部上場にまで駆け上がる企業も登場しました。まずはそのようなシェアリングサービスを取り巻く状況について知っておきましょう。

シェアリングサービスとは

「シェアリング(Sharing)」という言葉には、「共有する」という意味があります。その意味のとおり、個人や企業が所有するものを、みんなで共有するのがシェアリングサービスです。

グローバルでのシェアリングサービスの代表例といえば「Airbnb(エアビーアンドビー)」が挙げられるかと思います。新型コロナウイルス問題以前にはご存知の通り、インバウンドで外国人観光客が溢れ、宿泊施設の供給が追い付かない中、稼働していない住居などを宿泊施設としてシェアするAirbnbは急激に導入が進んでいきました。

少子高齢化が進む日本において空き家などの問題なども今後深刻化し得る中、このようなシェアリングサービスの活用により、所有する不動産の有効活用ができるサービスはAirbnbに限らず、今後ますます需要が高まってくることが期待されています。

国内でのシェアリングサービスの代表例として駐車場シェアリングサービスを提供する「akippa」をご紹介します。従来の駐車場は駐車場管理会社、あるいは不動産オーナーが所有する駐車場に駐車し、料金を支払うビジネス構造になります。akippaのサービスは法人が所有するビルの駐車場、個人宅の駐車場などで使用していない曜日、時間帯などをakippaユーザーであれば誰でも利用できる駐車場として共有する構図になります。

何かしらイベントなどがあった場合にはイベント周辺の駐車場は満車で駐車できなくて困ったという体験は誰しもおありかと思います。そんな中、akippaを利用することで駐車場にたどり着けて助かるユーザー、使っていない土地を駐車場として貸出すことで収益を得られる土地オーナーのWIN-WINとなるサービスを実現されています。

このようにシェアリングサービスは住まいや車、駐車場といった有形のものの他、最近では副業解禁の動きもある中で個人のスキルや労働力といった無形のものを共有できるサービスが台頭してきていることもシェアリングサービスのマーケットの特徴と言えるかと思います。

シェアリングサービスが注目される背景

シェアリングサービスが注目されるようになったのは、モノの所有に対する価値観の変化が影響しています。これまではモノは「所有する」ことが一般的でした。しかし、言うまでもなく、購入時に高額の費用がかかりますし、購入したモノによっては管理する場所も必要となります。他にも先ほど例に挙げた不動産などの場合には、維持をすることにも費用がかかるなど、所有することによるリスクというものがあります。

その点、シェアリングサービスは、使いたいときだけお金を払えば良いので経済的です。また少子高齢化が進む中、不動産などの資産を事業承継などで引継いで所有しているけれど使わないといった問題解決にもなります。こうしたメリットに魅力を感じる若い世代を中心に、シェアリングサービスの導入は進んでいます。

シェアリングサービスが広がっている背景としては、インターネットの発達やテクノロジーの向上も影響しています。スマートフォンの普及により、使いたいときに手元で空き状況を調べて、すぐに借りるという環境が整ってきたことで前述のAirbnbやakippaのようなサービスは外出先での不測の事態などがあった際にも、簡単に利用できるようになりました。

こうした時代背景や技術の進歩が後押しして、シェアリングサービスは注目を浴び、洋服のシェアリングサービス、人材のシェアリングサービスなど、幅広い領域で新たな事業が立ち上がっています。

シェリングサービス事業は将来性が期待できるマーケット

シェアリングサービスは、今後も拡大すると見られています。PwCの試算によると、2025年の市場規模は約3,350億ドルであり、2013年(約150億ドル)と比較して、およそ22倍です。日本でも、シェアリングエコノミー協会によると、2018年度の市場規模は1兆8,874億円以上で、2030年度には11兆1,275億円になると見込まれており、まだまだ成長性が期待される市場といえます。

実際に国内外で非常に高い時価総額にてIPO(新規株式公開)を果たす企業が台頭しています。海外では前述の宿泊施設のシェアリングサービス「Airbnb」を展開するエアビーアンドビーが2008年に設立し、2020年に1,000億ドル(約10兆円)を超える時価総額で米ナスダックに上場を果たしました。

日本ではチラシ領域でのシェアリングサービス「ラクスル」を展開する株式会社ラクスルが設立9年目の2017年に400億円を超える時価総額で東証マザーズにIPOを果たし、2019年には東証1部上場に市場替え(2021年現在の時価総額は約1,500億円)をするなど急成長を遂げたのは記憶に新しいかと思います。

シェアリングサービスに参入するには、自ら貸し手になる方法もありますが、最初に貸すものを用意する分量次第で、顧客の上限も決まってしまいます。多くのモノを所有する大手企業では自社が貸し手となって事業を立ち上げるケースも多いですが、ベンチャー、スタートアップ企業のビジネスモデルとしては、このような事業の立ち上がり方はあまり現実的ではありません。

ベンチャー、スタートアップ企業では貸し手と借り手を結びつけるプラットフォームを用意し、多くの顧客を取り込んでいく成長戦略を掲げ、事業を展開している会社が多いです。シェアリングサービスのマーケットは歴史も浅く、また既存プレーヤーのサービスが定着していない分野もまだまだあるため、今後もベンチャー、スタートアップ企業の新規参入は相次ぐでしょう。

シェアリングサービスのメリット・デメリット

このように将来性に期待のかかるシェアリングサービスのマーケットではありますが、こちらでがシェアリングサービスの具体的なメリットとデメリットを見てみましょう。

シェアリングサービスのメリット

貸し手から見ると、所有している資産から収入を得られるというメリットがあります。すでに所有しているものであれば、大きな初期費用がかかるケースは少なく、多くの場合ではプラットフォームで成約があった際に手数料を支払うようなマネタイズモデルになります。

借り手から見ると必要なモノを必要なときだけ安価で利用できることが特徴であり、維持費や管理費もかからないので非常に経済的に目的を達成することが可能です。Airbnbやakippaなどの不動産を活用するモデルの場合にも、元々遊ばせていた不動産を共有する形になるので周辺施設よりは安価で利用できるケースが多いです。

このように貸し手にも借り手にもメリットが多いのがシェアリングサービスです。前述の通り、市場成長性も高く、新たな領域でシェアリングサービスを展開するベンチャー、スタートアップ企業も見込まれるであろう中、今後私たちの生活をさらに豊かにしてくれる産業の一つになっていくでしょう。

シェアリングサービスのデメリット

シェアリングサービスの多くはB2C、またはC2Cのビジネスモデルになります。勿論、全てのユーザーがマナーの良い方という訳ではありませんので、取引でトラブルが発生し、解決まで時間がかかるというリスクもあります。

個人のトラブルに対する補償やサポートがまだまだ不十分なサービスも多く、これまでにない新しい領域で展開するシェアリングサービスであれば、法律の整備も追いついていないことも珍しくはないでしょう。こうしたトラブルを嫌い、個人間のシェアリングサービスを利用しないユーザーもいます。

このような課題あるマーケット特性を踏まえ、シェアリングサービスを展開するあるスタートアップ企業には損害保険会社より資本参画を頂き、ユーザー間のトラブルに備えた保険サービスの企画に着手されているようなケースもあります。シェアリングサービスを提供する企業はこのあたりのトラブルを見据え、如何に仕組みづくりなどを進められるかが成功の鍵を握るといっても良いでしょう。

シェアリングサービスの新規参入が多いマーケット

自動車、不動産、洋服など様々なマーケットで新たなシェアリングサービス事業者の参入が起こっています。シェアリングサービスを大きく分類をした場合に、主に以下のマーケットに多くの事業者が参入しています。

①空間のシェア

空間のシェアリングサービスを展開する代表例としては前述の「Airbnb」や「akippa」の他、会議室のシェアリングサービスを展開する「スペースマーケット」などがあります。いずれのサービスも普段は貸し手である個人や企業が利用しており、利用しないときは別の人に貸す構造になります。

貸し手にとっては、空間を最大限に活用できて、収益も得られるのがメリットです。借り手にとっては、一般的な宿泊施設や駐車場よりも選択肢が増え、希望(場所や広さ、価格など)に合ったところを選びやすいという利便性があります。

②移動のシェア

1台の車を複数人で共有するカーシェアや、一般ドライバーの車に相乗りするライドシェア、自転車を共有するシェアサイクルなどがあり、一時的に自動車や自転車を利用したいシーンなどには非常に利便性が高いです。このようなシェアリングサービスの代表例としてはタクシー配車アプリの「Uber」などが挙げられるでしょう。

ただし、ライドシェアについては「白タク」行為にあたるため、日本では公共交通機関が乏しい過疎地など一部の地域を除いて、有料で行うのは許可されていないなど法規制の中でどのように展開をしていくかといった課題などもあるマーケットになります。

③モノのシェア

洋服のレンタルサービスを展開する「エアクローゼット」、地域間でのモノのやり取りを行う「ジモティー」など、モノのシェアリングサービスも広がりをみせています。このようなモノのシェアリングサービスは業界、地域などそれぞれのマーケット特性に合わせた多様なサービスが台頭しています。

例えばトレンドの移り変わりが早いアパレル業界は業界特性もあり、シェアリングサービスの利用者は順調に拡大を続けてきています。そしてシーンなどに応じた細かなニーズに応えるサービスも増えており、パーティーなどの催し物で着用するドレスに特化したシェアリングサービスなども参入しています。

④スキルのシェア

スキルや労働力といった無形のものをシェアするサービスもあります。シェアリングエコノミー協会によると、シェアリングサービスの中で最もプラットフォームが多いのはこの分野です。

デザイナーなど専門職の技術をシェアする「ランサーズ」、各分野に長けた方の見識やノウハウなどをシェアする「ココナラ」「ビザスク」などがその代表例と言えるでしょう。フリーランス人材を守る法整備なども進んできたこと、また副業解禁などの流れがある中、このような分野でのシェアリングサービスは今後ますます成長が期待できるでしょう。

また、このようなマーケットは貸し手にとってはモノを必要としない(例えばakippaの場合には駐車場に駐車用の設備を導入する必要がある)ため、大きな初期費用がかからず、スキルと労働力さえあれば参入しやすいというメリットがあります。その一方で、モノや空間のシェアリングサービスなどと違い、どこまでスキルの質に関して担保ができるかが事業の成否を左右する部分になるかと思います。

シェアリングサービスの今後の課題

最後に多くのシェアリングサービスが直面する、クリアすべき課題について知っておきましょう。

①補償制度の整備

前述のとおり、個人間のシェアリングサービスでは、トラブルが発生すると責任の所在や補償が不十分で、いつまでも解決に至らないケースが多々あります。たとえ補償するとしても、個人では限界があるでしょう。

近年では、シェアリングサービスにおけるトラブルの賠償金を補償してくれる保険が登場しています。シェアリングサービスの発展にともない、こうした補償制度の充実が求められるでしょう。

②安全性の担保

利用者に信頼されるサービスになるには、安全性が担保されていなければいけません。プラットフォーム側で、登録時に本人確認を厳格化したり、審査したりするなどの対策が必要になるでしょう。関連業法を個人にも適用できるようにするなど、法律の整備も求められています。

ほかにも、貸し手と借り手が相互に評価できるシステムを導入すると、プラットフォーム全体の品質が向上したり、悪質な利用者を排除できたりするでしょう。

まとめ

シェアリングサービスは経済面などにおいて貸し手や借り手の双方にメリットがある反面、個人間の取引ではトラブルが発生しやすいというデメリットもあります。プラットフォームを提供する企業側で補償したり、安心して利用できたりするシステムづくりが必要です。

そして法規制の問題など外部からは見えづらい課題と向き合っているようなシェアリングサービスは多く、いずれの領域にしてもシェアリングサービスで成長が期待できるベンチャー、スタートアップ企業の見極めは非常に難易度が高いといえます。本記事を参考にして頂き、チャレンジしたいと思える企業との出会いに繋げて頂ければと思います。

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