経理財務担当者がキャリアアップで有利になる6つの資格を解説

経理財務の仕事をされている方の中には、なかなか年収が上がらない、あるいは今の会社でキャリアアップのイメージをつかみきれていない方も少なくないのではないでしょうか。日々の仕事も重要ですが、それだけではなかなかキャリアアップの機会が得られないという悩みを持つ方も多いでしょう。

経理財務として収入を上げたり、転職してキャリアアップを図ったりするための効果的な方法として、実務経験を積むことと並行して何らかの資格の取得を通して専門知識を得るという手段があります。経理財務の仕事には専門知識も求められ、同時に経理財務の枠に収まらない幅広い知識も必要です。資格の取得を通して知識の幅を広げ、自身の強みを作ることで社内外からの評価を高めることで、収入やキャリアアップの機会を得ることができるでしょう。こちらの記事では、経理財務担当者が収入アップやキャリアアップを目指す方に向けておすすめの資格をご紹介します。

目次

経理の会社での役割

会社の中での経理財務の役割は、どのようなものでしょうか。それは会社規模や業種などによって異なるところもありますが、概ね財務諸表を作る業務、資金に関する業務、税金に関する業務などが挙げられるでしょう。

損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)に代表される財務諸表を作る業務はまさに経理の役割の中心です。経理部門へ日々集まってくる情報を整理し、会社の会計帳簿を適時適切に作成することで、経営者や投資家、金融機関等へ必要な情報を提供することができるようになるというものです。

資金に関する業務とは、日々の資金繰り管理やそれを基にした将来の資金計画の立案、金融機関や投資家からの資金調達に関する業務です。会社にとって資金は多すぎても少なすぎてもよくありません。適切な水準を保ちつつ、会社として資金不足が問題になるようなことが発生しないよう動くことは、とても重要な業務です。

税金に関する業務は、税務申告や納税を適切に行えるようにするという業務です。単に税務申告や納税の期限が守られていればよいということではなく、税金のことをよく理解し、会社としてどのタイミングで投資などのアクションを行うことが合理的かということを考えるようなことも重要になります。また納税のタイミングでは場合により多額の支出を伴うので資金に関する業務とも密接に関連しますし、税金計算のためには適切に作成された財務諸表の情報が必要となるので、財務諸表を作る業務とも切っても切れない関係にあります。

このように経理財務は、言うまでもなくあらゆる会社にとって必要な役割です。なぜならば、会社規模や業種に関わらず、あらゆる会社にとって財務諸表を作ることや資金について考えること、税金計算を行うことなどが不可欠なものだからです。そのため、経理財務の領域で豊富な知識や経験を積めばその能力はとても汎用的なものとなりますし、それを資格の取得を通してさらに強化することができれば、収入アップやキャリアアップに直結することになります。

経理にとって武器になる資格は多い

経理財務は、他の管理系の業務領域と比較しても資格の充実している領域です。簿記検定など比較的手軽に始めやすいものから、税理士や公認会計士などの難関資格まで様々あります。まずは手始めに取り組みやすいところから学習を始めて徐々にレベルの高い資格に挑戦するというのもよいでしょうし、最初から難関資格に挑戦するのもよいでしょう。

どういった資格もそれを取得するための学習を通して得られる知識は必ず経理の実務に役立ちますし、そういった資格を保有していると転職活動の際などに能力の証明として示すことができます。転職活動の際には転職エージェントなどにとっても、求人企業に対しその資格に裏付けられた強みを持つ人材として推薦しやすくなります。

資格を保有していることそのものも、その取得のために得た知識も、経理にとって強力な武器となります。収入アップやキャリアアップを目指す経理の皆様には、ぜひいろいろな資格にできるだけ早くチャレンジされることをお勧めします。

経理財務が転職、キャリアアップで有利になる資格

ここまで、経理財務の仕事をされている方が資格を取得することが収入アップやキャリアアップを目指すうえで強力な武器になることをお話ししました。次に、いくつか具体的な資格について触れたいと思います。それぞれの資格について簡単な説明と、それを得ることがどの程度の強みとなるのか、ご説明します。

日商簿記検定

経理財務の資格と言われて真っ先に挙がるのが日商簿記検定でしょう。簿記とは、経営活動の中で様々生じる日々の取引を記録し整理することで財務諸表を作る能力のことです。日商簿記検定の学習を通して得られるその能力は、経理の仕事のベースとなります。尚、日商簿記検定には比較的取り組みやすい3級、一定の高度な理解が求められる2級、最難関の1級があります。

比較的取り組みやすい日商簿記3級は、個人商店や小規模企業を対象にした商業簿記が学習範囲となっています。取り組みやすいものの転職の際にさほど高い評価につながるものではありません。ただし経理として基本的な知識や用語が身についていることを示すことはできるので、これから経理としてのキャリアを始めようとしている方にとっては、取り組む価値のあるものだと言えます。

日商簿記2級は、一定規模の会社で経理の仕事をするうえで最も求められることの多い資格のひとつです。より高度な商業簿記に加え、簡単な原価計算を含む工業簿記が学習範囲となっています。日商簿記2級を保有していれば、経理としての知識が決定的に不足しているということはほぼないでしょうから、企業にとっては安心して雇用することができると言えます。

最難関の日商簿記1級ともなると、その難易度は一気に高まります。極めて高度な商業簿記や会計学、工業簿記、原価計算などが学習範囲となっています。日商簿記1級の保有者はまさに経理のスペシャリストとして、多くの企業から求められる人材です。企業にとっては経理の領域を広く任せることのできる、大変有難い人材として重宝されることでしょう。

税理士

経理財務の領域でキャリアアップを目指す方の多くが取り組む資格のひとつとして、税理士試験があります。税理士試験はその名の通り税理士の資格を得るための試験ですが、必ずしも税理士を目指す方しか受験しないというわけではありません。

その理由は税理士試験特有の試験制度にあります。税理士試験はいわゆる科目合格制という仕組みになっていて、「簿記論」「財務諸表論」「法人税法」など科目単位で取り組むことが可能です。税理士資格を得るには5科目に合格することが必要なのですが、経理としての能力を高めたりキャリアアップにつなげることを目的にするなら、そのうち1~2科目程度に絞って取り組むことも十分に有益です。「簿記論」や「財務諸表論」の合格者は経理として簿記1級に匹敵するかそれ以上の専門知識を持っているでしょうし、「法人税法」「消費税法」などの合格者は企業経営に深くかかわる税務について高度な知識を持っていることになります。

多くの企業において、税務に関わる業務(税務申告書の作成や税金計算など)は外部の顧問税理士に任せているということが多いです。それも悪くないのですが、将来発生する税金のことも考慮した事業計画を作ったり長期で税負担を軽減するような方法を模索するようなことを社内でできれば、それはその企業にとって強みとなります。税務の専門知識を持っている経理は大変貴重なので、その能力をアピールすることができれば転職市場においてとても有利です。

公認会計士

簿記1級や税理士など経理の領域での高度な資格はいくつかありますが、なかでも公認会計士は会計のスペシャリストとして、最上位の資格と言えます。毎年約1,000名の受験者があるものの、合格率は15%程度あり、大学卒業後にも数年間の浪人生活を経て取得する人も少なくない資格です。これまでご紹介した資格と比べると簡単に取得することはは難しい資格ではありますが、その分、公認会計士を取得できればキャリアの可能性は一気に広がるでしょう。

公認会計士の資格を得るには試験に合格するだけではなく監査法人での実務経験も求められていることもあり、公認会計士は一般に監査法人で働くことが多いです。しかし実は、事業会社にも多くの採用ニーズがあります。一定規模以上の企業には会計の専門知識が求められる場面が多々あり、その対応は企業価値に直結します。

つまり経営陣にとって、会計はおろそかにできないどころか経営の最重要ファクターとも言えるということです。そんな会計の専門家である公認会計士を社内に置きたいと考えている事業会社は当然ながら多く、慢性的に不足しているとも言われていることから転職市場では非常に需要の高い状態にあります。

公認会計士試験はとても難易度の高いものですが、経理財務の実務経験のある方にとってはとっつきやすいとも言えるかもしれません。簡単には取得しがたい資格ではありますが、勇気を出してチャレンジしてみるのもよいのではないでしょうか。

USCPA(米国公認会計士)

公認会計士に似た資格として、USCPA(米国公認会計士)というものがあります。公認会計士と同じく会計のスペシャリストであることを示す資格で、米国各州が認定する資格です。国際ビジネスに携わろうとする方が取得を目指すことが多く、専門用語を含む英語で試験を受けることになるので、その合格者は英語を使って会計や経理に関する高水準の仕事ができる人材であると言えることになります。

もともと英語が得意だという方は、有利に学習を開始できることになるでしょう。逆に英語が不得意な方は、取り組むのが難しい資格のひとつだということになってしまうかもしれません。試験の難易度そのものは、日本の公認会計士試験より易しいとされており、また州ごとに取得する形式である点も日本の公認会計士との違いの一つと言えるでしょう。

中小企業診断士

中小企業診断士は、主に中小企業の経営課題に関する助言を行う専門家です。企業が成長を目指すうえで生じる様々な課題に対し、その企業の現状を踏まえてどのように対応すべきかを考えることのできるコンサルタントです。

中小企業診断士の資格を得るための試験では、「経済学・経済政策」や「財務・会計」、「企業経営理論」などが学習範囲となっており、当然ながら経理との親和性が高い内容となっているため、経理の知識や実務経験をある程度持っている状態から学習をスタートできることはとても有利だと言えます。

中小企業診断士はその試験の学習範囲が広い領域にわたるため、その有資格者は企業経営に関する広い知見を持っている人材として、企業から高い評価を得ることができます。その職務領域は経理にとどまらず、財務や経営企画、新規事業企画など、より経営に近い役割に就くことが期待できます。

MBA(経営学修士)

MBAは、経営大学院(ビジネススクール)を修了することで得られる修士号のことです。その取得者は経営に関するあらゆる知識を得た経営の専門家として、より規模の大きな会社の経営幹部を目指す際に特に有利なものとされています。

MBAを取得するには国内もしくは海外のビジネススクールに通い、必要な単位を取得して卒業することが必要です。社会人として仕事をしながら取得を目指す方も多く、週末や夜間の時間を使って通えるようなプログラムを用意している大学院もあります。

大学院に通っている間は仕事をしながら少なくない量の学習を数年間続けることになりますので、継続することは簡単ではありません。そのぶん終了してMBA保有者となれば、経営に関する幅広い高度な専門知識に加えて、その学習を継続できる努力家であることも、企業から一目置かれる要素となるでしょう。MBAともなれば、転職の際に幹部候補として声がかかることが多くなるでしょう。

参考情報:国内MBAホルダーが転職で知っておくべきポイント

経理財務担当者のキャリアパス

経理財務としてキャリアを高めていくことを考える上で、その進み方はひとつではありません。「経理財務担当者がキャリア選択で考えるべきポイントとは」のコラムでもご紹介しましたが経理財務からのキャリアパスとしては経理財務部門でマネジメントポジションに就く他にも経営企画や管理部長、CFOといった様々なキャリアパスが可能性として挙げられます。

自身の目指すキャリアプランによって、必要な知識も異なってきます。たとえば管理部長なら、経理や会計だけではなく、法務、人事、情報システムなどに関する知識を網羅的に身につける必要があるでしょう。そうした知識を身につけるうえでも、資格取得を目指すことは効果的です。具体的な資格としては、法務ならビジネス実務法務検定、人事なら社会保険労務士、情報システムならITパスポートなどが挙げられます。

どんな領域にも資格が用意されているというわけではありません。例えばベンチャー企業のCFOを目指す場合に、その領域に直結する資格というものはなかなかありませんが、IPOを実現させたCFOが登壇する勉強会などはオフライン、オンライン共に比較的頻繁に開催されています。

が、様々な領域の学習を通して知識を広げ、自分の強みとしていくことは重要ですし、そのツールとして資格を利用することはとても有益なことだと思います。

経理財務担当者の転職活動

経理財務担当者は資格の勉強、あるいは決算前後など時期によっては多忙な働き方を強いられることが多く、なかなか転職活動に十分な時間を割けないという方も多いでしょう。このような多忙な経理財務担当者の中では、現職業務を滞りなく進行しつつ、効率的に情報収集を行う必要があります。こちらではこのような方の転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します。

スカウトサイトを活用した転職活動

一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)」「エンミドルの転職」などが挙げられます。

特にこのダイレクトリクルーティングと呼ばれる市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズ(現東証グロース)にも上場を果たしています。

これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。どのような企業がこれまでの経理財務の経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。

転職エージェントを活用した転職活動

前述の様な転職プラットフォームサービスの台頭はあるものの、まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。

転職エージェントは国内に数万社あり、職種や業界に特化した転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。

最後に

今回は資格を中心に、経理がキャリアアップを目指す上で役立つであろう情報をご紹介させていただきました。

経理は経営に近い様々な役割に直結することの多い立場であり、とてもキャリアアップを目指しやすい領域だと思います。ぜひご自身の目指すキャリア像を明確化し、それにつながる学習などを経て皆様に目指すキャリアを手に入れていただければと思っております。

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