BPaaS(ビーパース)って何?メリット・デメリット、サービス事例について分かりやすく解説!

近年、企業の生産性向上が求められる中で、ビジネスプロセスに革新をもたらすソリューションとして「BPaaS(Business Process as a Service ビーパース)」が注目されています。特に中小企業・スタートアップ企業の管理部門において、低コストで業務負荷を軽減できるツールとして、BPaaSを導入する企業が増えています。

本記事では、BPaaSの基本的な概念からそのメリット・デメリット、BPO(Business Process Outsourcing)との違い、さらには具体的なサービス事例までを解説します。

目次

BPaaSとは何か

BPaaS(Business Process as a Service ビーパース)とは、業務プロセスのアウトソーシング(外部委託)するサービスの一形態です。SaaSツールを通じてクラウドベースで提供されるのが最大の特徴です。これまでSaaSサービスを提供してきたプロバイダーが、同業他社との差別化を図るために続々と参入している「SaaSの進化形」ともいえる新しいサービスです。

SaaS企業が急増し、多種多様で素晴らしいサービスが提供されている一方で、使いこなせているユーザーはごく一部であり、ツールのもたらす効果を享受しきれていないという側面があります。BPaaSでは業務プロセスごとプロバイダーに委ねることで、更なる業務効率化をはかることができます。

どのような業務がBPaaSで対応可能なのか

では実際にどのようなBPaaSサービスが提供されているのか、管理部門向けのサービス事例をいくつかご紹介します。

BPaaSのサービス事例
  1. 給与計算サービス
    クラウド上で提供される給与計算システムを活用し、給与支払プロセスを効率化します。自動化された税金計算や支払管理機能も含まれます。
  2. 採用管理システム(ATS)
    採用プロセス全体を管理するツールで、スカウトの送信や応募者情報の追跡、面接スケジュールの調整、選考結果の共有を一元化します。
  3. パフォーマンス管理ツール
    従業員の目標設定や評価プロセスをデジタル化し、パフォーマンス向上を支援します。クラウド上でのデータ分析機能も搭載されています。
  4. eラーニングプラットフォーム
    従業員のスキルアップを支援するための教育プラットフォームを提供。学習管理システム(LMS)と連携することで、進捗状況の把握も容易になります。

どのような業界でも共通して発生する汎用性の高い業務を切り出し、アウトソーシングサービスとしてパッケージ化するケースが多いです。今後はますます多様なサービスが提供されるようになることが予想されています。

BPaaSとBPOの違い

BPaaSと似たような既存サービスとしてBPO(Business Process Outsourcing)がありますが、根本的な違いがあります。

まずサービスの提供方法として、BPOは人的リソースを活用して業務を代行するのに対して、BPaaSはクラウドベースでITツールを介して業務代行サービスを提供する点です。

またBPOは長期契約で、実際の業務量に関わらず固定費を求められるのに対して、 BPaaSは使用量に応じた課金モデルが一般的で、変動費としてコスト管理できます。BPaaSは標準化されたクラウドサービスであり、簡単にスケールアップやダウンが可能なの対して、BPOは契約時の内容に応じたサービスが一定期間続くことになるため、柔軟性が制限されることがあります。

BPaaSのメリット

BPaaSには、以下のようなメリットがあります。総じて導入負担が軽く、スタートアップ・ベンチャー企業・中堅中小企業が利用しやすいサービスとなっていることが分かります。今後ますます導入企業が増加することでしょう。

コスト削減

BPaaSのサービスは、クラウドベースで提供されるため、自社でITインフラを構築する、または新しいスペシャリスト人材を採用する必要がありません。これにより、初期投資を抑えられるだけでなく、運用管理費用も削減できます。また、利用量に応じた課金モデルが一般的で、固定費の削減が可能です。これにより、限られた予算内で最大限の効果を得ることができます。

業務の効率化

給与計算や購買管理などの定型業務を標準化されたプロセスで処理することで、業務のスピードと正確性が向上します。自動化されたツールを活用することで、手作業によるミスを削減し、業務全体の生産性を高めることが可能です。

柔軟性とスケーラビリティ

BPaaSは、必要なサービスを柔軟に選択・変更できるため、企業の成長や業務の変化に対応しやすいという特徴があります。例えば、スタートアップ企業で人員が急に増えたり減ったりした場合、急な繁忙期が発生した場合でも、迅速に対応可能です。

専門性・AIの活用

BPaaSプロバイダーは、高度な専門知識を持つエキスパートによるサービスや、AIなど最新のテクノロジー技術を組み込んだサービスを提供しています。これにより、自社内で不足しているスキルを補完し、より効率的で高品質な業務遂行が可能となります。

データの可視化と分析

クラウドベースでデータを一元管理することで、業務プロセスの可視化が進み、データを活用した戦略的な意思決定が可能になります。例えば、複数のSaaSを使用しながらも、結局データをExcelにダウンロードして、その分析結果が担当者ごとにバラバラに散逸していたような場合でも、クラウド上でまとめられ、データを自動的に蓄積することができるようになります。

BPaaSのデメリット

一方で、BPaaSには以下のようなデメリットも存在します。

セキュリティリスク

BPaaSはクラウド上でデータを管理するため、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが伴います。特に、管理部門が扱う個人情報は機密性が高いため、プロバイダー選定時には十分なセキュリティ対策を確認する必要があります。

カスタマイズの限界

BPaaSは標準化された業務プロセスを提供するため、従来のBPOに比べて、企業独自の要件や業界特有の業務には対応しにくい側面があります。そのため、自社のニーズに合ったサービスを求める場合には、他のBPssSに乗り換えたり、BPaaS以外の手段に切り替える必要が出てきます。

プロバイダーへの依存

サービスを外部に委託することで、プロバイダーへの依存度が高くなる場合があります。特に、契約終了やプロバイダー変更時に、それまで蓄積したデータが他のシステムには移行できないなどのリスクがあります。

自社内スキルの欠如

BPaaSを活用することで業務が外部化され、自社内での業務知識やスキルの蓄積が進みにくくなる可能性があります。これにより、プロセス改善やシステム変更時に課題が生じることがあります。

最後に

BPaaSは、企業の業務効率化と競争力向上を支える重要なソリューションです。特に、管理部門ではルーティーン業務を効率化しつつ、経営戦略に紐づくような付加価値の高い業務に集中することが可能になります。ただし、導入に際しては、自社の業務プロセスに適合しているか、セキュリティリスクへの対応が十分であるかを慎重に検討する必要があります。

BPaaSを適切に活用することで、管理部門はより戦略的な役割を果たし、企業全体の成長を支える存在となれるでしょう。ぜひ、自社の課題に合わせてBPaaS導入を検討されてみてください。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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