転職回数が多い方や、職歴が複数社ある方にとって、職務経歴書の作成は悩みがつきないものです。これまでに何度か転職していることが、応募先の企業にマイナスなイメージを与えるのではないかといった不安を抱える方も多いのではないでしょうか。実際、転職回数の多さは「採用してもすぐに辞められてしまいそう」「実務経験を十分に積めていない」などの印象を与える可能性があります。
しかしながら、職務経歴書に記載した職歴の部分だけで採用可否を決めるわけではありません。そのため、複数社の職歴がある方は、それに応じた書き方や書き方のポイントをおさえて対策をすれば、十分に転職を成功させるチャンスがあります。そこで今回は転職回数が多い・複数社の職歴がある方へ向けて、職務経歴書の書き方やポイントについて解説します。
転職回数が多い・職歴が複数社あっても転職できる?!
転職回数の多いこと、職歴が複数社あることは、転職活動を進めるにあたって不利になると言われることがあります。確かに採用担当者から見て、何度も職場を変えている応募者を採用することにさまざまなリスクを感じるものです。特に入社して間もなく辞められてしまう早期離職は、採用担当者が懸念する最大のリスクといえるでしょう。
しかしながら、近年では転職が一般的になり、30~40代になって1回も転職をしたことがないビジネスパーソンがかえって少数派になりつつある中、転職回数のみを理由に書類選考で落とす企業は減ってきています。我慢が足りずに短期離職をしてしまったなど反省すべきことはあるかとは思いますが、職歴が複数社あることそのものを後ろめたく感じる必要はなく、自分のこれまでのキャリアを通じて培ってことなどをしっかりとアピールできるようにベストを尽くすことが大切です。
職歴が複数社ある場合の職務経歴書の書き方
職歴が複数社ある場合、職務経歴書をどのように書くとよいのかといった点は悩ましいポイントです。職務経歴書の書き方に明確なルールは設けられていませんが、職歴が多い場合は「逆編年体式」「キャリア式」のうちのいずれかのフォーマットで書くことがおすすめです。書き方は主に以下3パターンあることをご紹介します。
編年体式(時系列順)
編年体式とは時系列順に職歴を記載する方法です。最も一般的な形式であり、採用担当者が見慣れているフォーマットでもあります。編年体式は一番最初のキャリアが目立つため、1社目のキャリアが長く、それをベースに直近の職歴にキャリアアップが実現できている方であれば、良い印象を与えやすい書き方です。履歴書と付け合わせながら読むのにも適しています。
しかし、一方で編年体式は「転職回数が目立ちやすい」といった難点もあります。2~3社の転職であれば違和感のない職務経歴書に仕上げやすいものの、転職回数が4回を超えると全体のボリュームが多くなることが気になりやすいまとめ方でもあります。そのため、編年体式のフォーマットを活用するのであれば、「職歴・転職回数が少ない」「転職によって1社目の経験を活かしたキャリアップに成功している」といった方におすすめです。
最もオーソドックスな書式ではありますが、自分のキャリアをアピールするのに合った書式かどうかよく検討されることをおすすめします。
職 務 経 歴 書
年 月 日現在
氏名 ○○ ○○
■職務要約
2013年に大学卒業後・・・
■職務経歴詳細
2013年4月~ 株式会社●●
【事業内容】 【従業員数】約 名
期間 | 担当業務 |
2013年4月~2019年3月 | 【配属】 ○○ 役職: 【業務内容】 【実績】 |
【組織構成】 |
2019年4月~ 株式会社●●
【事業内容】 【従業員数】約 名
期間 | 担当業務 |
2019年4月~現在 | 【配属】 ○○ 役職: 【業務内容】 【実績】 |
【組織構成】 |
以下略
逆編年体式
逆編年体式は、前項の編年体式とは逆に、直近の経歴から順に遡るように書くフォーマットです。新しい順に職歴を記載していくのが特徴で、最新の職歴が最初に目にとまります。そのため、即戦力であることを印象づけやすく、「最もアピールしたいポイントは直近のキャリアである」「スキルをアピールしたい」といった場合に効果的な書き方です。また1社目のキャリアが既に10年以上前のことであり、あまり直近のキャリアに活かせるものではないという30代半ば以上のミドル~シニア層の方におすすめの書式です。
ただし、応募先と最新の職歴の異なる場合、あるいは現職での実績が少ない場合、逆編年体式はインパクトが少ない書き方になってしまうため注意が必要です。逆編年体式は応募先の職種と現職が似ている、もしくは現職で何らかの実績を挙げている方に最適といえるでしょう。
職 務 経 歴 書
年 月 日現在
氏名 ○○ ○○
■職務要約
2013年に大学卒業後・・・
■職務経歴詳細
現在の勤務先
2021年4月~現在 株式会社●●
【事業内容】 【従業員数】約 名
期間 | 担当業務 |
2021年4月~ | 【配属】 ○○ 役職: 【業務内容】 【実績】 【組織構成】 |
以前の勤務先
2013年4月~2021年4月 株式会社●●
【事業内容】 【従業員数】約 名
期間 | 担当業務 |
2013年4月~ | 【配属】 ○○ 役職: 【業務内容】 【実績】 【組織構成】 |
以下略
キャリア式
キャリア式は経験のある業務を分野ごとにまとめて記載する書き方です。過去にどのような業務を担い、どれほどの経験があるのかなどを採用担当者にアピールしやすいのがメリットです。また、キャリアを中心として自分の職歴をまとめるので、転職回数の多さ、離職期間などよりも自身の経験・スキルをPRしやすいという特徴もあります。
ただし、特定の分野に特化してキャリアを積んできた方でないと、分野ごとに職歴をまとめにくくなってしまうため注意が必要です。キャリア式の職務経歴書がおすすめできるのは、基本的に専門的な仕事に従事した経験が多い方や、特定の業界での経験が長い方です。
また、ITエンジニアの方のように数カ月ごとに数多くのプロジェクトに携わってこられた場合、それを時系列順に記載しても何をどのくらいできるのか分かりにくいという課題もあり、そのようなケースにも用いられることが多い書式です。
職 務 経 歴 書
年 月 日現在
氏名 ○○ ○○
■職務要約
2013年に大学卒業後・・・
■職務経歴詳細
【プロジェクトマネージャー】約3年半
2020年4月~現在 株式会社●●
【事業内容】 【従業員数】約 名
期間 | 担当業務 |
2020年4月~ | 【配属】 ○○ 役職:課長 【業務内容】 【実績】 【組織構成】 |
【システムエンジニア】約10年
2015年4月~2021年4月 株式会社●●
【事業内容】 【従業員数】約 名
期間 | 担当業務 |
2015年4月~ | 【配属】 ○○ 役職:リーダー 【業務内容】 【実績】 【組織構成】 |
2013年4月~2015年3月 株式会社△△
【事業内容】 【従業員数】約 名
期間 | 担当業務 |
2013年4月~ | 【配属】 ○○ 役職:メンバー 【業務内容】 【実績】 【組織構成】 |
以下略
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職歴が複数社ある場合の職務経歴書のポイント
職歴が複数社ある方が職務経歴書を書く場合には、いくつかおさえておくべきポイントがあります。転職歴が多いことや、職歴が多いことがネックにならないためにも、以下のポイントを意識して職務経歴書を作成しましょう。
全ての職歴を正確に記入すること
職歴を記載するときは、まず「全ての職歴を正確に記入すること」を徹底してください。職歴の少ない方は当たり前のように思うかもしれませんが、転職回数の多い方や離職期間の長い方の中には、職歴を正直に記載することに抵抗を感じる方もいるかと思います。特に不本意な理由から短期離職をすることとなり、キャリアアップにつながらなかったような職歴は「省略してもいいのでは?」と職務経歴書に記入する際に省きたくなる気持ちになる方もおられることでしょう。
しかし、職務経歴書はわずか数か月の勤務であっても正確に記入しなければなりません。短期間の勤務であっても、特定の職歴の記入を省き、転職回数を少なく見せる行為は、職歴詐称とみなされるリスクがあります。発覚した場合「何か不都合なことがあれば隠蔽するリスクがある人だ」と認識されてしまうことにつながります。職務経歴書については正確性を意識して作成してください。
職務経歴書は4ページ以内にまとめる
転職回数が多い場合、どうしても職務経歴書に書くことが増えますが、全体のページ数が多くても4ページ以内に収まるように作成しましょう。複数社での経験を記載すると全体のボリュームが多くなってしまう方がいますが、多くの候補者がいる中、7ページ、8ページにも渡る職務経歴書をじっくりかけて読み込めるほど採用担当者に時間的猶予がないのが一般的です。また、端的に自身のキャリアを表現できない、まとめられない方という見え方になるリスクもあり、ネガティブな評価には繋がりかねません。
重点的に自己PRとしたい強み・長所につながるキャリアや、応募している求人に活かせるスキルについては詳しく書き、関連性が低い部分や10年以上前の以前のキャリアは最低限だけ記載し、内容に濃淡をつけるようにしましょう。
自己流にカスタマイズしましょう
新卒採用では統一のエントリーシートなどを指定される企業が多いですが、中途採用の場合には職務経歴書については自由書式で企業からの指定がないケースがほとんどです。「職務経歴書 フォーマット」で検索すると、職種別に職務経歴書フォーマットが作られており簡単にダウンロードできます。それらのフォーマットを有効活用するのは問題ありませんが、必ず自分のキャリアに合っているフォーマットを選び、自分のキャリアが良く見えるようにカスタマイズするようにしましょう。
例えば既存のフォーマットでは勤務先の事業内容、上場区分、従業員数、本社所在地などの企業情報を詳細に書く欄が設定されていることも多く、転職回数が多い場合、全体的に余分な情報が多く、冗長な書類に見えてしまう可能性があります。例えば人事であれば従業員数は大切ですが、本社所在地などはそこまで影響しないことが多いです。このように職種などに応じ、必ずしも記載しなくても良い項目は省いてまとめると良いでしょう。
自分のキャリアにあった職務経歴の書き方が分からない場合
職務経歴書の書き方というのは正解がなく、これまでのキャリアと応募する求人の性質によって求められる書き方が異なってきます。もし自分の職務経歴書の書き方に自信が持てない場合、自作の職務経歴書で応募したら書類選考で落とされてしまった場合は、ぜひ一度、転職エージェントに相談してみてください。
ほとんどの転職エージェントが依頼すれば応募書類の添削を引き受けてくれます。誤字のチェックや自己PRの仕方、業務内容の記載の分かりやすくなっているか等のポイントで客観的なアドバイスをもらうことで、効率的に応募書類作成をすることができます。
また、転職エージェントは求人に掲載された情報以外にもたくさんの情報を持っていることが多いです。応募している企業が書類選考で着目しているポイント、その企業が求める人物像など、公開された求人情報から読みとるのが難しい情報も持っていることが多いので、自分が応募している企業にあった職務経歴書が作成できているか積極的に情報提供を求めるようにしましょう。
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※お話を聞いて頂くだけでもOKです。
最後に
職歴が複数社あると、職務経歴書の記入内容に悩む方は多いです。転職回数が多いことで、採用を見送られてしまうのではないかと不安に感じる方は少なくなく、意図的に職歴を省略・詐称しようとする事例も散見されます。しかし、結論としては職歴や転職回数だけで採用を判断されるわけではありません。人となりやスキル、将来性など幅広い要素を鑑みて採用を判断するものです。そのため、職歴や転職回数を理由にうしろめたさを覚えるのではなく、現時点で持っているスキルを最大限に活かすことに重きを置くことが重要。ぜひ、今回ご紹介した内容を参考にしながら、職務経歴書の記入を進めていただけましたら幸いです。