国内MBAホルダーが転職で知っておくべきポイント

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経営を体系的に学ぶことができるMBAスクールを修了すると、MBAが取得できます。MBAは「Master of Business Administration」の呼称であり、経営学の大学院修士過程を修了時に授与される「学位」になります。以前は、MBAは経営者が学ぶものという印象があったかもしれませんが、最近では経営に携わっていないビジネスパーソンでも、スキルアップして、出世や転職のためにMBAを取得するケースも増えています。

日本の会社で働きながら通えるMBAスクールも増えていますが、国内MBAホルダーがどのような評価を受けているのでしょうか。また、転職活動をする上で知っておくべきポイントには、どんなことがあるのでしょうか。

目次

海外と日本のMBAの違い

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MBAとは、経営学の大学院を修了すると与えられる学位です。経営学を体系的に学ぶ大学院は、MBAスクールとも呼ばれ、海外の大学院で学ぶものと日本の大学院で学ぶものに分けることができます。MBAは海外で生まれた学位であり、世界で初めてのMBAスクールはアメリカのウォートン校で、1881年設立です。一方、日本で初めてのものは、1962年に創立された慶応大学のMBAスクールです。

海外MBAと国内MBAは、グローバル視点では海外MBAの方がよく知られており、転職市場での評価も高い傾向にあります。例えばハーバード(アメリカ)やINSEAD(フランス)、スタンフォード(イギリス)などの世界でも有数のMBAスクールにはヨーロッパ、アメリカ、アジアなど世界中から優秀な方が集います。

ビジネスの慣習、宗教など多様性のある人達に囲まれ、世界各国のビジネスの考え方に触れ、また当たり前のように英語での議論を行っていくことは、言うまでもなくかなり厳しい環境ですし、挫折をされる方も少なくはありません。そのような環境をやり切り、会社経営、マーケティグ、ファイナンスなどの深い知見を学ばれた経験は、転職にあたって評価されるポイントになるでしょう。

ところで、MBAには国際認証があります。三大認証機関と呼ばれるのが、「AACSB」「AMBA」「EFMD」です。この国際認証はMBAの教育の質を保証しているものですが、世界の全てのMBAスクールが認証を受けているわけではありません。

しかし、国際認証を受けているMBAスクールで学んだからといって、優れたビジネスパーソンになれるわけではありません。逆に、認証がないから悪いMBAスクールだというわけでもありません。結局は、学ぼうとする人の姿勢ひとつで、成果は大きく変わります。認証の有無で、履歴書に書かれた経歴の印象は多少変わることはあるかもしれませんが、それ自体が転職の評価と直結していることはなく、MBAスクールを通じて何を学び、どう生かしていきたいかを自分の言葉で伝えられることが大切かと思います。

転職市場における国内MBAの評価

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では、転職市場において国内MBAホルダーはどういった評価を受けているのでしょうか。

まず、外資系企業ではMBAを評価する考え方の企業が比較的多く、海外MBAほどではないにせよ、転職ではそれなりに有利に働きやすいと言えます。一方、日本企業では、「MBAホルダーだから」という理由では有利にはならないという会社が多いのが現状です。

その理由には主に2点あります。1点目は認知度の問題です。今でこそMBAの資格は認知が高まりつつありますが、海外と比べると日本は認知そのものが低いという問題があります。

もう1点はMBAホルダーであることでどの程度仕事の品質、成果が担保できるかの測定が難しい点にあります。例えば公認会計士や弁護士などの有資格者はその分野の専門家として仕事の品質がある程度担保されることが期待されます。しかしMBAスクールでマーケティグやファイナンスの理論を学んだからといって実務で早々に成果が出せるとは言い難いというのが現実でしょう。

しかし、日本でもグロービス経営大学院、ビジネスブレイクスルー大学などMBA教育を専門に、または重きを置いた教育機関が台頭する中、その認知も以前より随分と高まりました。そして三木谷氏(楽天)、三枝匡氏(ミスミグループ)、新浪剛史氏(サントリー)、南場智子氏(DeNA)岩瀬大輔氏(元ライフネット生命)などをはじめとするMBAホルダーの活躍などの影響もあり、以前よりその認知は大きく変わってきたように思います。

先に記載をしました外資系企業だけでなく、会社経営をサポートするコンサルティングファーム、経営幹部の育成などに課題を有する日系企業などでMBAの体系的な知見を有する転職者を積極的に採用されるようになりました。さらにはIPOを目指すベンチャー、スタートアップ企業などでも、経営体制構築や資金調達に関する業務を中心に、ビジネススキルの高い転職者を求める会社が増えてきているようです。

MBAホルダーが面接で陥りやすい失敗

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MBAホルダーの方は、経営に関することをたくさん学んできたので、ビジネスについて多少なりとも自信を持っているのではないでしょうか。しかし、そのことがかえって、転職活動や面接での失敗につながってしまうこともあります。いくつかの陥りやすい失敗を紹介します。

①MBA ホルダーであることばかりをアピールしてしまう

採用面接で企業が見たいのは、「自社で活躍できるかどうか」であり、経営に関する知識がどれだけあるかではありません。先に記載の通り、MBAは公認会計士や弁護士のような評価の受け方はしづらいものです。その点を見落として、「私はMBA ホルダーです」ということが柱になっているアピールをしても、当然ながら高い評価につながるとは言い難いです。

②自分なりの経営戦略を語ってしまう

エントリー先の会社について調べているうちに、その会社の強み・弱みが見えてくることがあります。MBAスクールでの学びから、その会社をより強くするための施策まで見えてくることもあるでしょう。しかし、自分の能力をアピールしようとしすぎるあまり、面接で会社の良くないところをあれこれと指摘してしまい、それが逆効果になる場合もあります。

実際の面接後の評価でも「優秀だとは思うものの、評論家視点で現場とうまくやれるか懸念が残る」といったフィードバックは珍しくありません。質問された場合には答えても構わないとは思いますが、その場合でも、会社の経営者や働いている人達への批判に聞こえてしまわないよう注意しましょう。

③高待遇を求めすぎてしまう

MBAホルダーだから役員や管理職に転職できるというわけではありません。よい待遇で転職できるか、そしてどのような業務が任されるかは、MBAという資格だけではなく、これまでの自身のキャリアや実績も加味して検討されます。経営やマネジメントに関する経験がないにも関わらず、役員クラスの役職で転職を希望されても、企業側としては受け入れ難いのが現実です。また、「MBAを取得したから、転職すれば年収が高くなる」と考え、自分のスキルに見合わない希望年収を出してしまうという失敗例もあります。

失敗例として3つ挙げましたが、これら全てに共通するのが「転職希望者(売り手)である自分を、会社(買い手)に売り込む方法が間違っている」ということです。「会社が求めていること」や「会社が価値を感じること」を無視して、「転職したい自分の要求」ばかりになっています。

せっかくMBAスクールで多くのことを学んできたとしても、転職活動・面接の場でこのようなコミュニケーションをとってしまうと、企業側からは非常にプライドの高い人物であると評価されてしまいます。MBAホルダー1人が孤軍奮闘をしても得られる成果は知れています。MBAの知見を活かしながら、周囲を巻き込み、実務で成果を上げられる人材であるということをしっかりとアピールするようにしましょう。

MBA取得を目指す人の持つべき心構え

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転職など自らのキャリアアップのために、これからMBAを取得しようかと考える人が持っておくべき心構えをお伝えします。

①MBAを取得することが目的にならないようにする

MBAスクールで学んだだけで、勝手に仕事のスキルが高まるわけではありません。自分が将来どのようなキャリアを歩みたいのかを考えておき、キャリア像に必要な能力を意識的に高めていこうとする「積極的な姿勢」で学びましょう。

将来のキャリアに漠然とした不安があってMBAの取得を考えている場合は、目指すキャリア像がないかもしれません。その場合は、在学中に自分が進みたいと思えるキャリアを探してください。MBAを取得してから考えればいいと思っていると、目的もなくただ漫然と学んでしまい、貴重な時間を無駄にしてしまいかねません。

②MBAスクールの学びを今の職場で実践する

MBAスクールでは、さまざまな科目の勉強をします。そして、PEST、PPMなどたくさんのフレームワークに出会うかと思います。しかし、フレームワークは「ゴールに向けて進むための道具」でしかなく、多く知っていることが能力の高さなのではありません。実際の企業を題材にしたケースもたくさん学びますが、フレームワークを使ったテクニックだけでその企業が成功したわけではありません。ケースに登場してくる企業・人物の立場、視点でリアルに考え、その意思決定プロセスを理解することなどに本質的な意義があるかと思います。

さらに、MBAでの学びを自分が働いている環境でアウトプットすれば、学んだことが本当に身につきますし、そこで得られた成果はそのまま転職活動でのアピールポイントにもなるでしょう。特にMBAに限らず、資格や専門性を身に着ける勉強を頑張ったことをアピールされる方は多いものの、その学びを実務でアウトプットできている人は実はあまりいないため、転職活動の差別化要因にしやすいポイントとも言えます。

③アップデートを怠らない

MBAスクールで取り扱う教材の多くは過去の事例を取り上げたケーススタディなどになるかと思います。ただし、言うまでもなく、世界情勢やAIやドローンのような新たな技術が生まれる中でビジネスのルールは変化し続けています。MBAホルダーになったから学び終わってよいのではなく、目まぐるしく変わるビジネスの世界において、常に最新の情報をとりつづけるなど、アップデートしつづける意識を持ちましょう。

こちらで紹介した3つの心構えも、前述の「転職活動や面接での失敗例」で書いた内容と根本は変わりません。MBAを取得したことは、そのまま「能力の証明」になるのではなく、経営に関することを「体系的に学んだという印」に過ぎません。学費も決して安いものではありませんから、MBAを取得するという「手段」を通して、将来どうなりたいのかという「目標」を考え、目標に向けて進む意識が重要になるかと思います。

MBAホルダーの選択肢

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MBAは経営に関することを学ぶものですが、経営者だけに必要なスキルではありません。経営判断に関わる業務全般でも使えるスキルです。

MBAホルダーの選択肢にも色々あります。転職して企業の経営幹部になることや、起業することを目指す人もいます。転職する場合には外資系企業・グローバル企業などの事業会社、コンサルタント・投資銀行などの専門的なスキルを活用する会社、IPOを目指すベンチャー企業なども転職先候補のひとつになってくるかと思います。

起業の具体的な事例では、新卒領域のダイレクトリクルーティング事業「Offer Box」を展開する株式会社i-plugの中野氏が国内MBAスクールを卒業後の2012年に起業し、2021年に東証マザーズに上場されるといったことなどが話題になりました。

また事業会社への転職の場合では、事業再生フェーズにある企業、これまでの既存事業から脱却した転換を目指す企業、次世代を担う経営幹部がいない企業などでMBAホルダーを迎え入れるような転職事例があります。

転職の場合にはいずれの場合も、経営に関する深い知識とスキルを持っていることが求められます。MBAホルダーだから今の年収よりも高待遇が受けられる会社に転職できるのではありません。希望する職種や年収に見合ったスキルを身につけていてこそ、納得いく転職ができるのです。

最後に

MBAはビジネス全般のスキルを高められる手段だと言えます。しかし、MBAという手段が目的化してしまっていると、自らのキャリアアップや転職の成功にはつなげられないのではないでしょうか。

これからは、実力主義的な会社がめずらしくなくなり、日本の歴史ある企業でも年功序列が崩れ、高いスキルを持った人材が請われて転職するケースも増えてくるはずです。それにつれて、MBAの評価も高まってくると思われますが、実務で成果を出せるスキルを持ったMBAホルダーとして転職市場での価値を高めることを意識してみてください。

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