コンサルティング営業への転職を目指す際に知っておくべきこと

「コンサルティング営業」は営業スタイルの一種で、転職サイトなどではコンサルティング営業の他、ソリューション営業などと記載がある場合もあります。

従来のルート営業などをはじめとした営業職とは求められるスキルも異なるため、転職においてはただ単純に営業の経験をアピールするだけでは不十分です。こちらの記事では営業の中でも特にコンサルティング営業が注目される背景や必要なスキル、転職の際に考えておくべきことなどについて紹介します。

目次

コンサルティング営業とは

「コンサルティング」という言葉には「問題解決」という意味があります通り、コンサルティング営業と従来の営業の違いとしては顧客が抱える課題を把握し、自社のサービスや商品を利用して、解決策を提供する営業スタイルにあります。

コンサルティング営業の例を挙げるのであれば、業務改善などを目的としたITツールの営業などがどの代表格でしょう。ITツール等の営業はコンサルティング営業の要素が高く、具体的には働き方改革などが進む中で、漠然と生産性向上などを実現したいと思うものの、どのように実践すべきか分からず、なかなかそのような仕組み作りが進まない企業は多いです。

ITツールの営業はそのような顧客の抱える課題を紐解き、何を解決すべきか、またITツールを導入することでコストや生産性などどのような改善がなされるかを試算の上、提案することが求められます。

その他にも広告代理店の営業もコンサルティング営業の要素が高い営業職の一つです。集客に関してはいつの時代でも課題に抱えている顧客が多いです。そのような集客課題に対して以前は広告枠に掲載を提案する枠売り営業が主流の時代もありましたが、世の中に広告が溢れる中、どのような広告で消費者に訴求するかといった企画提案が重視されるようになりました。

また、このようなコンサルティング営業を展開する企業の場合、営業組織は新規開拓などを専門にするチーム、コンサルティング営業を専門にするチームにて構成されるケースが多いです。近年よく見られるSaaS企業のようなIT・Web系企業では「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」などのようにそれぞれの役割に専門特化するチームを構成する体制が増加しています。

コンサルティング営業が注目される背景

次にコンサルティング営業が注目される背景について解説します。近年、コンサルティング営業が多くの企業で注目されているのはインターネットの普及に伴い、情報取得が容易になったことにあります。かつては、TVCMや新聞広告などで得られる情報、あるいは足を運んでくれる営業からの情報など、限られた情報の中で多くの顧客は購買の意思決定をしてきました。

しかし、今では例えばまとめサイトのようなキュレーションサイトなどによって、顧客は求めるサービスや商品に関して簡単に情報を得られることが可能です。そのような便利な社会になった反面、営業を頼らなくても、情報収集が完結し、意思決定しやすくなりました。

余程の高単価でない有形商材の場合には自社で情報収集の上、ECで購入する機会も増えたでしょう。このような時代の流れの中、複雑性の低い製品・サービスなどはECサイトなどで提供する形に移行していきました。一方で複雑性が高い、あるいは顧客の潜在的な課題を引き出した上での提案が必要な製品・サービスを提供する企業が増えてきました。

前述の通り、インターネットの大衆化で営業いらずな世界が広がりつつも、そのようなマーケット環境だからこそ、営業としての介在価値が求められるコンサルティング営業に焦点が当たるようになってきたと言えます。

コンサルティング営業に必要なスキル

続いてはコンサルティング営業に必要なスキルについて見てみましょう。特に従来のように顧客に商品を遅滞なくきっちりと納品するようなことが求められてる営業とコンサルティング営業との違いに着目しながらご覧ください。

ヒアリング力

コンサルティング営業では、顧客がどのような課題を抱えていて、何を必要としているか、聞き出さなければいけません。そのためには、基本情報や経営理念はもちろん、業界の動向や類似の取引例など、あらゆる関連情報を収集して臨みます。そのような徹底した準備をした上で、顧客に信頼感を持って貰い、心を開いてもらうヒアリング力が重要になります。

コンサルティング営業に限らず、ヒアリング力はコミュニケーションを成立させるためにも欠かせません。ヒアリング力があれば、相手は自ら話したいと思うようになりますし、気持ち良くやり取りができるでしょう。

また、窓口となる担当者だけで課題やニーズを引き出すのが難しい場合は、上層部や現場、別の部署など、立場の異なる社員にもヒアリングを行いましょう。商談相手が上位者に変われば、経営層がどのような事に関心が高いかも掴めますし、当然、視座や視点が変わる商談となりますので、会社全体を俯瞰した視点での課題などを捉えられることにも繋がるでしょう。

仮説構築力

顧客は顕在的な課題やニーズを分かっていても、潜在的な課題やニーズについては簡単に気づけず、言葉にするのも困難であることが多いです。ただし、顧客の情報や会話の端々から、どのようなことに課題を抱えているか等の手がかりはつかめます。

このような顧客から得られる事実、併せて同業他社が抱えている課題やニーズなども鑑みた上で、「●●が要因でうまく進んでいないのではないか」などの仮説を構築して営業活動を行うのもコンサルティング営業の醍醐味の一つと言えるでしょう。顧客が本質的に向き合うべき課題何か、成長を妨げているのは何か、解決のために自社の商品やサービスがどのように役立つか考えることが重要です。

このような仮説を立てる力はなかなか簡単なものではありませんが、だからこそコンサルティング営業としての介在価値を感じられる瞬間に思う方は多いことでしょう。

課題分析力

顧客が抱える課題を分析するときは、客観的、俯瞰的な視点で分析することが重要です。また、定性的な分析ではなく、業界平均などと比較するなど定量観点での評価・分析をすることで顧客の現在地がより明らかになるでしょう。

また、分析の際には「Apple to Apple」での比較が大切と言われています。これは同一条件での比較になっているかという意味で、付随する言葉として「Apple to Orange」という表現もよく使用されます(リンゴとオレンジを比較していないかという意味)。

例えば他社とのコストなどを比較する場合、例えば5,000名規模の工場と50名規模の工場に照らし合わせてもどう考えても同じ条件下とは言えません。類似する産業、工場規模、立地など出来るだけ条件を揃える形での比較を行わなければただの数字遊びにしかなりません。分析の際には比較的同じ条件である「Apple to Apple」の比較になっているかを意識して臨みましょう。

課題に対する解決策の提示

コンサルティング営業に求められるスキルの最後は解決策の提示です。ヒアリングの内容から、顧客の課題やニーズを分析し、自社の商品・サービスを利用頂くことで、どのように顧客の抱える課題が解決できるかプレゼンテーションを行います。内容やメリットだけでなく、他社の事例も交えて説明すると、顧客にとっては導入から課題の解決に至るまでの流れをイメージしやすいでしょう。

コンサルティング営業のゴールは、購入の意思決定を頂くことが理想ですが、勿論、断られてしまう場合もあります。その際も、どのような要素が購入の意思決定に至らなかったのか理由を確認していくことが大切です。

顧客の理解が足りなかったことに起因するのか、あるいは顧客理解が十分な中で自社のサービスや提案内容に問題があったかでは、今後のアクションが大きく変わってきます。このようにコンサルティング営業は簡単ではありません。このようなPDCAの積み重ねで自身のスキルアップに繋げていくことが大切といえるでしょう。

プレゼンテーション力

顧客に対して価値のある提案だったとしても、プレゼンテーションが不十分であるが故にうまくいかないケースがあります。コンサルティング営業に重きを置く会社では分析、調査などを行う力も勿論ですが、それを如何に見栄えよくアウトプットできるかも求められる要素の一つです。

特にコンサルティング営業は多くの場合、顧客への単価が大きなサービスなどであるケースが多いです。雑多なプレゼンテーションに対して、数百万、あるいは数千万円の意思決定は経営者は当然躊躇します。コンサルティング営業にはこのようなプレゼンテーション力、併せてプレゼンテーションに紐づくドキュメント作成力が求められることを理解しておきましょう。

コンサルティング営業からのキャリアパス

コンサルティング営業として経験を重ねることで従来の営業職では選択肢となりづらいキャリアが開けてきます。こちらではコンサルティング営業からのキャリアパスについてご紹介します。将来的な社内の昇進・異動、あるいは転職を見据える上でご参考ください。

マネジメント

コンサルティング営業に限らず、営業職のキャリアパスの一つに営業マネージャーをはじめとしたマネジメントポジションに就くことが挙げられるでしょう。しかしながら、従来の営業職のマネジメントと、コンサルティング営業に重きを置く組織のマネジメントではマネージャーとして求められることが大きく違ってきます。

具体的には、商品などが定まっている従来の営業ではKPI管理など行動管理に重きを置くマネジメントが多い一方、コンサルティング営業に関しては人材育成に重きを置くマネジメントが多いです。コンサルティング営業の場合、顧客に如何に深く入り込み、成約単価の高い提案を実現するかが勝負の世界であり、そのような顧客に対して価値ある提案をしていこうと思っても一朝一夕ではなかなか難しいです。コンサルティング営業の組織を束ねる立場を務める場合、そのような人材育成の仕組みなどが求められることを認識の上、自身のキャリアパスを検討すると良いでしょう。

営業企画

コンサルティング営業として実績を重ねた後にもてる選択肢の一つとして営業企画の仕事が挙げられるでしょう。営業企画は文字通り、営業組織が如何に効率的、生産的に営業活動を行えるかに関して分析し、施策立案を行う部門となります。営業としてキャリアを重ねてきた経験をダイレクトに生かすことができる部門であり、即戦力性高く活躍できる期待がもてるポジションと言えるでしょう。

経営企画

コンサルティング営業として高い企画力などを身に着け、実績をあげてきた方の場合、経営企画として会社全体の経営を俯瞰した分析、施策立案などを行うポジションへ異動・転職するケースもあります。コンサルティング営業として顧客の経営課題解決などに寄与するタイプの仕事であれば、経営企画へのキャリアパスは比較的選択肢として持ちやすいですが、一般的には営業企画と比べると敷居が上がるキャリアパスといえます。

参考情報:経営企画への転職で知っておくべき仕事とキャリア

戦略系コンサルティングファーム

コンサルティング営業の経験を重ねた先にてPwCコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティング、KPMGコンサルティングなどの戦略系のコンサルティングファームに転職をするケースもあります。ただし、このような戦略系のコンサルティングファームで活躍するためには事業や組織における戦略立案の知見なども必要となる為、当然、敷居の高い転職になります。

このような戦略系コンサルティングファームでは業界やテーマごとにセクター分けをしている傾向にありますので、コンサルティング営業で実績を重ねたからといってどこでも通用する訳ではありません。IT業界でのコンサルティング営業を重ねた方はIT業界を顧客にするコンサルティングファームへ、製造業でのコンサルティング営業を重ねた方は製造業を顧客にするコンサルティングファームの門を叩くのが良いでしょう。

コンサルティング営業への転職に向けて

コンサルティング営業への転職を目指す場合、このようなポイントを理解しつつも、どの会社が提案要素の高いコンサルティング営業に重きを置いているのかを即時に捉えるのは難しく、会社探しに苦労される方も多いでしょう。こちらではコンサルティング営業への転職を目指す方が、転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します。

スカウトサイトを活用した転職活動

一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)」「エンミドルの転職」などが挙げられます。

特にこのダイレクトリクルーティングと呼ばれる市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズにも上場を果たしています。

これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。このようなスカウトサイトに「コンサルティング営業」、あるいは「提案要素の高い営業」を希望している旨を記載し、情報収集に臨むことで、求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、特に現職が多忙な方にとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。

転職エージェントを活用した転職活動

転職プラットフォームサービスの台頭はあるものの、まずは自身の現状について相談したいという場合には、例えばIT・Web業界などコンサルティング営業の出現比率が高い転職エージェントなどを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。

転職エージェントは国内に数万社あり、職種や業界に特化した転職エージェント、あるいはマネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。

まとめ

コンサルティング営業は、インターネットが普及する中で年々、注目度が高まる営業手法です。顧客の課題にアプローチして、顧客の潜在的な課題やニーズを引き出す、仮説構築、分析の上で提案するといったコンサルティング営業のスキルは、一朝一夕で身につくものではありませんが、このようなコンサルティング営業のスキルが磨かれると自身の転職市場での市場価値も大きく高まるでしょう。

これからコンサルティング営業の要素が高い営業職への転身を考えている方、あるいは現在、コンサルティング営業の仕事をされている方にとって役立てて頂けると幸いです。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA。

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