Uターン転職やIターン転職は損？地方・地元へ転職するメリット・デメリットを解説！

ニューノーマルの拡がりを受け、地方へ移住して新しい生活をスタートするといったスタイルが珍しくなくなった昨今、「地元や地方で転職したい」「Uターン転職・Iターン転職を成功させたい」と考える方が多くなってきています。

しかし、地方への転職は、都会にはないさまざまなメリットがある一方、デメリットも存在します。また、地方への転職が必ずしも成功するとは限らないため、失敗しないためのポイントも把握しておかなければなりません。そこで、今回は地方への転職におけるUターン転職・Iターン転職の概要や、地方で転職するメリット・デメリット、地方での転職を成功させるためのポイントなどについてご紹介します。

地方での転職、Uターン転職とは・Iターン転職とは？

地方での転職では「Uターン転職」「Iターン転職」という言葉がしばしば用いられます。しかしながら、これらの転職がどのような転職を指すのかご存じでしょうか。まずはU・Iターン転職の基本から解説します。

Uターン転職

Uターン転職とは、地元・地方を出てどこかで働いた後に、またその地元・地方へ戻ってきて転職することを指します。Uターン転職を検討する方の理由はさまざまですが、「地元にいる家族・友人と暮らしたい」「愛着のある地元で働きたい」「それまでに培った経験やスキルを地元に貢献したい」という理由からUターン転職に踏みきる方が多いようです。

Iターン転職

Iターン転職は、都心出身者がそのまま都心で働いた後に、自分の出身地ではない地方等へ移住して転職することを指します。就職から転職までの流れが直線的であることから「Iターン」で表現されています。Iターン転職を選ぶ方の理由は、「都会の喧騒から離れたい」「地方で暮らしてみたい」「広い住環境で暮らしたい」などが多いです。

地方で転職するメリット

地方で転職する場合、どのようなメリットがあるのかは気になるところでしょう。都会での転職にはないメリットについてご紹介します。

良い住環境を選びやすい

都心と比べて地価が安い地方は、住環境選びにおける選択肢が豊富です。駅から近い物件や周辺環境が整った物件なども、都心と比べると家賃は圧倒的に安価です。その上、間取りや築年数などの希望条件を増やしても東京近郊よりも安く物件を抑えることができます。「暮らしやすい場所を選びたい」「会社の近くに住みたい」など、希望が明確な方にとって地方への転職は理想的と言えるでしょう。

地域コミュニティにおける交流が増える

地域差はあるものの、地方はその地域コミュニティにおける交流が活発な場合が多く、人との交流機会・助け合いが増えるといったメリットがあります。また、Uターン転職であれば、学生時代の友人・知人と顔を合わせる機会も増え、交友関係を改めて築いていくことも可能です。東京暮らしで多い「近隣住民とのコミュニケーション機会の少なさ」「ドライで希薄な人間関係」などに不満を感じている方にとって、地方の交流機会の多さはメリットと言えるでしょう。

自治体のサポートが期待できる

現在少子化にともない、地方都市の人口減少・高齢化は深刻な問題になっています。移住者支援やU・Iターン転職サポートを積極的に行っている地方自治体があります。移住にかかる費用が軽減できる「住宅支援金制度」や、移住検討者向けに地方への転職セミナーの無料実施のほか、子育て支援や起業支援を行っている地方自治体あります。移住先として検討している地域があれば、事前に自治体のサポートの有無を調べてみましょう。

通勤ラッシュに悩まされにくい

地方は都心と比べて通勤ラッシュになりにくく、平均通勤時間も短いので、快適に通勤することが可能です。平日朝のピーク時間帯も、電車が空いていることが多いので、満員電車にストレスに感じている方には大きなメリットです。また、地方都市では車・自転車通勤を許容されていることもあるため、そもそも電車を利用せずに通勤できる選択肢もあります。

地元で生活ができる

Uターン転職であれば、生まれ育った故郷に暮らすことができます。慣れ親しんだ土地での生活は、やはり都会生活とは異なるもの。一度は都心に住むことによって改めて地元の良さに気づく方も多いです。家族の近くに住める、古い友人と顔を合わせる機会を増やせるといったメリットがあるので、地元が好きな方にとってUターン転職は幸福度を上げる選択肢の一つとして挙げられるでしょう。

保育園・幼稚園に入りやすい

保育園・幼稚園に通う子どもがいる家庭の方にとって、Uターン・Iターン転職はおすすめです。地方は都心と比べて人口が少ないため、保育園の待機児童が少ない傾向にあるのです。そもそも待機児童が存在しない地域も多く、いわゆる「保活」に悩まされる心配がありません。すぐに入園できる保育園や、園庭が広い幼稚園が多いので、さまざまな園を見学・情報収集するなどして、入園先を吟味することも可能です。子供を自然環境豊かななところで育てたい・保育園の運営方針や活動内容も視野に入れて選びたいと考えている方は、Uターン・Iターン転職を検討してみてはいかがでしょうか。

地方で転職するデメリット

地方での転職はさまざまなメリットがあり、すでに前向きに移住を検討している方もいるかもしれません。しかし、見逃せないデメリットもいくつかあるため、あらかじめ把握しておくことが重要です。具体的に、どのようなデメリットがあるのか、以下で触れていきます。

仕事の選択肢が少ない・求人の年収帯が低い

地方で転職するデメリットとして、まず挙げられるのがキャリアの選択肢が狭まるリスクがあることです。都心と比べると、求人の数や募集している職種の幅などが少ない傾向にあり、業種・職種によっては地方にほとんど求人がないケースもあります。最近はリモートワークで「地方に住んだまま、都心の企業で働く」といったライフスタイルを実現している人も出てきていますが、出社の必然性のない職種に限られます。

また同じ企業で同じ職種であっても所属エリアによって地域給として引かれることがあるように、都心部と地方では給与に差があります。経験を生かした転職であっても地方への転職では年収が下がってしまうケースが多いです。

成長機会が少ない

先端的なビジネスを展開する会社は都心に集中しており、大都市から事業・サービスをスタートさせる会社が多く、地方都市にいることでどうしても情報格差が生まれてしまい、さまざまな成長機会損失のリスクがあります。また地方ではスキルアップのためのセミナーや勉強会などイベントごとも少ない傾向にあります。新しいビジネスに関わりたい・自分のスキルを積極的に磨いていきたいと考えている方は、自主的に情報をキャッチアップし、積極的に行動することが求められます。

また、自分が独立・起業した際にも、ビジネスパートナーや従業員を見つけにくいといった難点もあるので、成長志向が強い方は、都心での生活のほうが向いている場合があります。

転居における家族への影響

家族とともに地方への移住をする場合、家族のキャリアやライフスタイルにも大きな影響を及ぼします。家族そろって転職が必要になれば、家計について見直す必要も出てくるでしょうし、子どもの教育環境についても都心と地方ではかなり事情が異なります。また引越しにともなう疲労や、転職・住環境変化にともなう精神的負担も忘れてはいけません。

地方の慣習に慣れる必要がある

地方ならではの慣習は地域ごとに存在します。「町内会や行事への参加がほぼ強制される」「住民みんなでゴミ捨て場の管理をする」「定期的に公共施設などの草むしりを行う」など、地域ごとにさまざまな慣習・近所づきあいがあります。これらを無視した場合は地域コミュニティから疎外・差別されるなど不利益を被ることがあり、都心より地方の方が人間関係に気を遣うケースが多いです。

またその地方の県民性や慣習により、新しく移住してくる人への風当たりが強い地方もあります。Iターン転職を検討される場合は特に気をつけたほうがよいでしょう。自分の思い描いていた生活が送ることができるのか、前もって短期滞在し、その地方の慣習について理解を深めておくことをおすすめします。

地方で転職する秘訣

地方での転職は決して難しいことではありません。しかし、せっかく転職するなら、自分が希望する土地で、自分の好きな仕事をしたいと考えるのが本音ではないでしょうか。理想の「U・Iターン転職」を実現するためにも、以下の秘訣をおさえておきましょう。

積極的に情報収集する

地方での転職を成功させるためには、まず積極的にそのエリアの情報収集をすることが再重要です。どのような求人が多いのか、仕事の多いエリアはどの辺なのか、自分の業界経験・スキルを活かせるような求人はあるのか、などはしっかりとチェックしておかなければなりません。また、求人だけではなく、地方での転職に関わる支援やイベントなどについても調べておくといいでしょう。

なるべく対面で面接する

オンライン面接が一般的になってきている昨今ではありますが、Uターン・Iターン転職においてはなるべく足を運んで対面の面接を一度は受けてから決めるようにしましょう。地方ではオフィスビルではなく自社ビルで就業することもあるため、ファシリティや職場の周囲の環境、通勤する場合の交通手段など、自分の肌で感じてから意思決定をする方が入社後のギャップが少なくて済むでしょう。

また都心からオフィスが離れている場合、企業側の面接担当者が「わざわざ足を運んでオフィスに来てくれた」ということに熱意や誠意を汲む傾向があります。特に経営者との面接に際しては、オンライン面接よりなるべく対面面接を選ぶようにしましょう。

フルリモートワークの求人も検討する

ご経験職種によっては、住む場所を選ばないフルリモートワークの求人を検討するのも良いでしょう。ITエンジニア・プログラマー・Webデザイナー・マーケター・ライター等の求人は、地方都市では求人数が減りますが、フルリモート可能な求人も多いので、探してみるのも良いでしょう。

地域密着型の転職エージェントを活用する

Uターン転職・Iターン転職を検討されている方には、地域密着型の転職エージェントの活用をおすすめします。大手の転職エージェントは日本全国の求人をカバーしていますが、地方の求人や地場産業には弱い傾向があります。その地方に本社を持つ企業は、そのエリアに本社を構える中小の転職エージェントを優遇する傾向にあるためです。また、地域密着型転職エージェントには、その地方に長年住んでいるキャリアアドバイザーが在籍していることも多いので、知らない土地への転職も安心して進めやすいでしょう。

転職エージェントから希望条件にマッチする仕事を紹介してもらえるだけでなく、面接などのスケジュール調整なども依頼できるので、最小限の負担・手間で転職活動を進めることが可能です。忙しくて転職活動に時間がかけられない方にも、転職エージェントは大きな味方となってくれるでしょう。

最後に

近年、地方移住・リモートワークが注目されるようになり、「地元に戻って働きたい」「ゆったりと自然に囲まれながら働きたい」と地方への転職を検討する方が多くなってきました。企業側もそれに応えて雇用が変化をしてきました。かつて大手企業は首都圏で一括大量採用した正社員を、会社都合で全国転勤させることが普通でしたが、最近では各地域ごとに転勤がない前提のポジションとして採用するが一ケースが多くなりました。地方で働くことに興味がある方や、地元で生活を送りたいと考えている方は、本記事を参考にしたうえで転職するか否かを検討してみてはいかがでしょうか。