初めての異業種への転職で知っておくべき準備と対策

転職活動で難易度が高いケースの一つに、異業種への転職が挙げられます。例えば金融業界→人材業界、製造業→物流業界、通信業界→IT業界などのように異なる業種へ転職することは、当然これまでと異なる商慣習、ルールの中で仕事をしなければならない分、キャッチアップに時間を要するでしょう。

今回はこのような異業種への転職を実現するために知っておくべきこと、どのような準備の上、転職活動に臨むべきかについて解説します。

目次

同業種への転職と異業種への転職

まずは同業種への転職と異業種への転職との違いについて解説します。同業種への転職は当然ながら、業界の商慣習理解などもあることから評価されやすく、転職の難易度はそこまで高くない傾向にあります。ただし、例えば自動車部品メーカーと自動車メーカーで部品供給関係にあるような場合には、取引関係に支障をきたしかねないなどの理由から躊躇するケースもありますので、そのような距離感には気を付けて臨むと良いでしょう。

一方で異業種への転職の場合は、同業種への転職と比較すると、業界の商慣習などのキャッチアップが必要な中、即戦力性の観点で難易度が高いのが一般的です。ただし、そのような異業界への転職でもすべてが難しいという訳ではありません。まずは自分が異業種への転職の難易度が高い状態にあるのか(または低い状態にあるのか)を理解することから始めると良いでしょう。

年齢の観点で見る異業種転職の難易度

これはある意味当然ですが、若い年代の方が異業種への転職ハードルは下がります。まだ今の業界での色、その商慣習の癖がついていない年代であれば、新たなことにもキャッチアップがしやすいだろうと企業側は考えます。

中途入社の場合、良くも悪くも前職での色、癖が仕事の中で出てきます。例えば食品や飲料の卸営業のように足繫く通いながら長期的に顧客と関係を築く営業と、結婚式や不動産のように一生に一度の大きな買い物を提案する短期間で関係性を築かなければならない営業とでは活かせる経験、商慣習などが大きく異なるのは想像に難くないでしょう。

しかしながら、年齢を重ねたとしても、すべての方が異業種への転職がしづらい訳ではなく、職種により大きく異なります。ではどのような職種が転職しやすく、どのような職種が転職の難易度が高いかについて解説していきます。

職種の観点で見る異業種転職の難易度

こちらでは職種の観点で転職がしやすい職種、転職の難易度が高い職種について解説します。勿論、職種以外の要素との兼ね合いで転職がしやすい職種ながら苦労される方いますし、その逆もあありますが、異業種への転職を考える際の基本事項として以下を参考にして頂けると幸いです。

異業種への転職がしやすい職種

異業種への転職がしやすい職種は、いわゆる「専門職」になります。具体的には、経理・財務・人事・総務などの管理部門、Webエンジニア・情報システムなどのIT専門職などが挙げられます。このような職種は業種が変わったとしても大きく仕事内容が異なる訳ではないため、異業種への転職が比較的しやすいと言えるでしょう。

また、マーケティング職種の場合、例えば化粧品や飲料品のようなB2C向けマーケティング経験者では、日用品などのような消費財業界などであれば、B2C向けマーケティングという観点では活かせる部分が多く、異業種への転職ハードルというのはそこまで感じないことが多いでしょう。

その他にも人材業界での営業経験者が事業会社の人事、あるいは会計事務所勤務から事業会社の経理への転職も専門知識が活かせるため、比較的、転職がしやすいと言えるでしょう。ただし、実務を指導できる教育体制がないなどの応募企業の受け入れ態勢などによっては勿論、厳しい場合もあるので、転職活動の際には応募企業の受け入れ態勢について確認することも大切です。

異職種への転職の難易度が高い職種

異業種への転職で難易度が高い職種は先に記載した専門職以外の職種です。具体的には営業職、接客・販売職のような職種が挙げられるでしょう。先にも記載した通り、このような職種は業種が変わると、職種が同じであったとしても仕事内容や商習慣が大きく異なるため、キャッチアップに苦戦するようなケースが多いです。

このような職種の異業種への転職は先に挙げたような管理部門などの専門職と比べて難易度は高いですが、必ずしもすべての転職が不可能という訳ではありません。このような異業種への転職を実現するためには、応募企業に対して「再現性」をアピールすることが必要となってきます。

「再現性」を棚卸する

異業種への転職が難しい職種の場合には、経歴を棚卸の上、「再現性」がもてる仕事であることを応募企業へアピールしましょう。業種が異なることで、一見すると活かせる部分が少ないと思うような転職でも、仕事内容を掘り下げると共通項が見出せることが多いです。そのような共通項を理解し、転職後に成果を上げられる再現性の高さをアピールしていくことで異業種への転職実現に大きく近づきます。

例えば金融業界(銀行、信用金庫等)の営業職から人材業界(人材紹介、求人広告等)への転職の場合、一見すると融資と採用支援とで異なるように見えますが、経営者に向けた提案営業という大きな共通項があります。このような商談相手が同じである点を起点に成果の再現性をアピールしていくと良いでしょう。

また、マネジメントの観点で共通項を見出すというケースもあります。実際の事例で、食品工場のマネジメント職に、保険会社でのマネジメント経験が豊富な方が転職したというケースがあります。このケースの場合、いずれの職場も女性社員が中心の職場であり、女性社員に起こりやすい事情などを汲んだマネジメントに長けた経験が職場環境を鑑みた際に良いであろうという事例になります。

このように異業種であるが故に、一見すると活かせる部分が無いように見えるものの、仕事の中身を掘り下げていくことで共通項が見出せることは多いです。応募企業の仕事内容を理解の上、自分の活かせる強みを整理していくと良いでしょう。

転職エージェントの活用で準備と対策を

ここまで異業種への転職の難易度について解説してきました。しかしながなら、そのような異業種への転職に向けた準備は大切ではあるものの、それに加えて企業の個別事情を事前に理解して臨むことは非常に難易度が高いです。

そのような場合に選択肢の一つとして転職エージェントを利用した転職活動を検討してみても良いでしょう。転職エージェントは登録後に専任のキャリアアドバイザーがつき、転職活動をサポートしてくれる方法です。

転職エージェントは企業に実際に募集の背景などをヒアリングの上、求人紹介をしてくれます。特に自分のこれまでの経歴での強み、応募企業で再現性をもっていかせる経験などを棚卸の上、面接に臨めることは大きなメリットになるでしょう。

また、面談を通して自分の希望や志向性を伝えるだけでなく、現在の市場感や企業の詳細、面接対策など入社に至るまでサポートをしてくれます。自分の現状について客観的にアドバイスももらえるため、転職活動に悩み事がある人、不安がある人は利用することで、それらを払拭することができるでしょう。

最後に

今回は異業種への転職に際して押さえておくべきポイントについて解説しました。まずは自分が異業種への転職難易度が高い状態にあるのか(または低い状態にあるのか)を自覚することから始めていきましょう。

その上で、異業種への転職を目指す上で、転職先でも早期に成果が出せる「再現性」をアピールできるようにこれまでの経歴を棚卸すると良いでしょう。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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