競合他社に転職してもよい?誓約書がある場合のパターンなどご紹介!

現在の職場から、競合他社への転職を検討することに抵抗感を抱いている方はいらっしゃいませんか?競合他社に限らず、同業界への転職は、決して珍しいことではなく、むしろ待遇の良いポジションへ転職するうえでは王道の転職パターンともいえます。

しかし競合他社への転職には、特別に注意や配慮しなければならないこともあります。今回の記事では、競合他社への転職のメリット・デメリット、注意しなければならないケースをご紹介していきます。

目次

競合他社への転職はメリットが多い

まず競合他社への転職について、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、競合他社への転職メリットについて解説します。

業界理解が深い

競合他社へのメリットとして、まず挙げられるのが、業界理解が深い状態で転職が可能な点です。すでに転職先の業界のビジネスモデルやマーケットの状況を熟知しているため、業界についての良い面も弱みも知った上で転職できます。

異業界への転職の場合、その業界独特の事情・特色について理解が深めきれないまま入社して「想定外のことが多い」ということもあり得るでしょう。しかし、同業界への転職の場合はほぼ即戦力に近い状態であるため、転職後のギャップや困惑の場面を減らせるでしょう。

転職先企業について、生の声を聴ける

転職先企業のリアルな声を得やすい点は同業他社に転職するメリットの一つです。業界内の知人がいたり、同僚や先輩が転職した実績があったりと、実際に働いている人の話・クチコミが入手しやすいという点は競合他社への転職のメリットに挙げられます。

「○○の部署はブラックらしい」「△△会社は経営状況が怪しいらしい」などの話題は、業界内だからこそ得られる情報です。転職の失敗を防ぐための貴重な情報源でもあるため、転職を検討している方にとって大きなメリットでしょう。

良い条件で転職可能

競合他社(同業界)への転職の際、採用担当者にとって業界経験者は好印象の応募者であることが大半です。業界経験が評価される・転職先で即戦力として評価されやすいといった点から、良い条件で転職できる可能性が高まります。交渉次第では、求人で掲載している条件以上の待遇で内定が獲得できるチャンスもあるでしょう。

同業他社への転職のデメリットとは

現在勤めている競合他社にあたる会社へ転職するのには、デメリットもあります。具体的にどのようなデメリットがあるのかを把握したうえで、同業他社への転職を検討してみましょう。

社風のミスマッチの可能性はある

同業他社への転職のデメリットとして、まず挙げられるのが「社風がミスマッチのリスク」です。同業界とはいえ、転職に対して全くミスマッチのリスクがないわけではありません。

同じ業界でも社風は全く異なるというケースはよくあります。社風の違いは、業務の進め方・部署間の関わり・戦略の立案にも影響しますし、自分に合うか合わないかでモチベーションや生産性、クオリティにも関わるでしょう。

転職後に得られる新しいスキルが少ない可能性がある

同業界で転職すると、転職先での新しく得られるスキル・経験が少ないという可能性があります。転職先で昇進や異動をするなど、新しいチャレンジの機会が得られれば問題ありませんが、キャリアとして停滞するリスクがあるわけです。

長く同じ業界にいる場合、さらに年齢を重ねてミドル・シニアになったとき、その業界から別の業界へチャレンジするハードルが高くなってしまう可能性もあります。自己成長を望んで転職する場合、競合他社への転職が自分の成長を阻害しないか、よく企業研究してから応募することをおすすめします。

前職のつながりが断ち切りにくい

同業他社への転職は、前職とのつながりを完全に経ちにくいといったデメリットがあります。前職でハラスメントやトラブルがあって転職を考えた場合、前職の知り合いやその関係者とは距離を置きたくなることは多いでしょう。

しかし、競合他社への転職となると、それが難しくなってきます。思いがけず前職の関係者が同じ部署にいたり、前職の実績が知られていたりするほか、前職の人も同じ会社へ転職してくる、といったケースは少なくありません。心機一転して転職したい場合、同業他社への転職はやめておいたほうがいいケースもあるでしょう。

選考に受からないこともある

競合他社の関係性が良好な場合、会社間で相互に社員を引き抜きしない紳士協定(不文律の約束)が結ばれており、業界経験があるのにかえって採用されにくい、というケースもあります。また、互いによく知る企業だからこそ、採用担当者にネガティブな先入観を抱かれている可能性もあります。

応募する求人の背景に「業界未経験者の新しい発想を取り入れたい」というニーズがある場合、業界経験者であることがかえって不利になってしまうことがあるということも視野に入れておきましょう。

競合他社に転職してもよい?

競合他社へ転職してもいいか迷う方は多いでしょう。メリット・デメリットそれぞれあるため、慎重に判断する必要があります。とはいえ、結論からすると、実際のところは競合他社への転職は、問題ないケースが大半です。

そもそも、職業選択の自由については憲法で保障されていることでもあるので、原則は問題はありません。ただ、イレギュラーなケースもあるのは事実であるため確認することが必要です。本項からは、競合他社へ転職するにあたって、知っておくべき義務や前提条件などについて解説します。

競業避止義務とは?

同業他社へ転職するにあたって、知っておきたいのが「競合避止義務」です。競業避止義務とは、従業員が直ちに競合他社に転職し、それまでの職場で得た専門知識や顧客情報を活用することを制限することです。

主な目的としては、自社の機密情報・特殊なノウハウが外部に漏れることを防ぐためのものです。現在勤めている企業の就業規則や入社時の書類を確認しておくことをおすすめします。競業避止義務や機密保持誓約書など、企業によっては定めている会社もあるため注意しましょう。

競業避止、機密保持契約を結んでいる場合は同業界の転職はNG?

万が一、現時点で働いている会社で「競業避止義務」が設けられている場合、同業界への転職は難しいのか不安に感じる方は多いと思います。しかし、ほとんどの場合は、管理職・技術専門職などの一部社員に対象を限定していたり、直後の転職は制限しているが、その後の転職には干渉しないなど、一定の条件を設けています。

仮に競業避止義務を設けている勤務先であっても、自分が該当しないことも多いため、まずは雇用契約や社内規則を確認してみてください。機密保持の誓約書についても、機密情報の持ち出し・漏洩などを禁じているだけで、転職自体が止められることはほとんどありません。

競合他社への転職を希望する場合の転職方法

競合他社へ転職するにあたって、具体的にどのように転職すればいいのでしょうか。適切な転職方法について、いくつか解説していきます。

コネクションを活用する

同業他社へ転職する際には、人脈(コネクション)の活用もおすすめです。とくに、知人が転職したい企業の社員として勤務している場合、そのまま紹介してもらうといったスタイルはスムーズな転職として理想的です。自社社員からのリファーラル採用に注力している企業は多いので、1次面接が確約されるなどのメリットが得られる場合もあります。

ただし、紹介者との関係性を考慮して、第一志望として応募する・もし内定したら最優先で入社する・不誠実な辞退はしないなどの配慮が求められます。他の企業と比較検討したい・気を遣わずにマイペースに選考に臨みたいという場合は他の方法を使ったほうがいいでしょう。

自己応募する

受けたい企業が明確に決まっている場合は、自己応募するのも良い方法です。応募したい企業の採用ページからのアプローチや、その企業の求人が掲載されている転職サイトからアプローチすることで、自分の気になる企業に対して申込が可能です。自分のペースで転職したいのであれば、自己応募での転職がベストでしょう。

ただし、自己応募の場合は自分で求人状況を把握し、企業の担当者とやりとりをする必要があります。また、どのような選考状況になっているか、なぜ受かったのか落ちたのかといったフィードバックが得られにくいといったデメリットもあるため注意してください。

スカウトサービスを活用する

同業他社への転職では、スカウトサービスの活用がおすすめです。転職スタイルとして、近年はかつて転職方法として定番であった転職サイトなどから、スカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「ミドルの転職」などのスカウトサービスが挙げられます。

転職プラットフォームでは、情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことができ、手間なく情報収集をしたりコンタクトをとったりすることができます。あわせてプラットフォームに「同業界を希望」等の希望条件の記載をしておくと、必然的にそのような情報が集まりやすくなるでしょう。

また、同業界以外に、どのような企業がこれまでの経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができます。多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つといえるでしょう。

転職エージェントを活用する

転職を検討するにあたって、同業他社を選びたいときにもぜひ転職エージェントを活用しましょう。転職エージェントは同業界経験者が転職可能かどうかといった求人票には掲載されない事情にも精通しているため、「理由がよくわからないまま不採用になる」というリスクが減ります。

求人の情報収集とあわせて、自身の現状についても相談したいという場合には、転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。ほとんどの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていくうえで重要です。

しかしながら、転職エージェントは国内に数万社あり、スタイルや強みはそれぞれ異なります。業界特化型の転職エージェントや第二新卒を対象とした転職エージェント、あるいは管理職に特化した転職エージェントなど特色があるのです。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。

最後に

今回は競合他社(同業界)への転職について解説しました。競合他社・同業界への転職は「転職のしやすさ」という観点からのみ考えれば、異業界への転職に比べるとハードルは低めです。

一方で、本当にその業界にいるべきなのか、長いキャリアプラン・自己成長につながるのか、ということも転職を機にあわせて考えてみることをおすすめします。ぜひ、今回ご紹介した内容を参考にしながら、自分の転職の方向性について今一度考えてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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