スタートアップが超えるべきPMF(プロダクトマーケットフィット)とは

初期のスタートアップにとって大きな難所となる一つがPMF(プロダクトマーケットフィット)の壁といえるでしょう。しかしながら、PMFという言葉には触れたことはあるものの、その意味合いなどについて曖昧な方も多いのではないでしょうか。今回はスタートアップに関わる方が理解しておくべきであるPMFについて解説をしていきます。

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PMF(プロダクトマーケットフィット)とは

PMF(プロダクトマーケットフィット)はスタートアップ、あるいは新規事業などで開発したプロダクトが狙った市場のニーズや要求に適合しているかどうかを指す概念です。このPMFという言葉の起源は、1990年代のインターネット黎明期を牽引したNetscapeの共同創業者であるマーク・アンドリーセンによって提唱されたとされています。

マーク・アンドリーセンが2007年にブログでPMFという概念を初めて紹介し、成功するスタートアップにとって最も重要な要素はPMFであると自身の考えを主張しました。このブログに端を発し、PMFという用語が広まり、スタートアップや新規事業に携わる方を中心に一般的に使用されるようになりました。プロダクトの特性などによりプロダクトマーケットフィットの達成に向けたプロセスは異なりますが、一般的には以下のようなプロセスにてPMFの達成を目指すことが多いです。

PSF(プロブレムソリューションフィット)

PMFの達成に向けての第一歩としては、PMFの前の段階にあるPSF(プロブレムソリューションフィット)を達成する必要があります。PSF(プロブレムソリューションフィット)とは顧客の抱える課題を具体的に捉え、どのような手段であれば解決できそうかを検証することを指します。

プロダクトありきで事業を開始してしまった場合、言うまでもなく、プロダクトが顧客に刺さらなかった際に投資金額が水の泡になってしまいます。そうならないためにも、そもそも顧客の抱える課題を具体的に捉え、どのような手段であれば解決できそうかを検証しておくことが大切です。

PSFの検証が完了したら、いよいよプロダクトの開発に着手し、PMF(プロダクトマーケットフィット)の達成に向けたプロセスを踏んでいく流れになります。

MVP開発

PSF完了の次には、MVP(Minimum Viable Product)の開発に着手する形となります。MVPは実用最小限の製品を意味し、仕様などは不十分ながら最低限の機能を保有するプロトタイプを開発の上、顧客に使用して貰い、そのフィードバックを受けながら改善を進める形が一般的です。

尚、このようなMVPは必ずしもコーディングなどによるWebプロダクトである必要はなく、プロダクトの画面遷移などのイメージを記載した紙芝居で提示する形でPMFの検証などを行うことも多いです。

PMF(プロダクトマーケットフィット)の検証

MVPが準備できたらいよいよPMFの検証を行います。PMFの検証はプロダクトによって勿論、手法は異なりますが、顧客の声をそのまま受け止めてしまうと誤った検証結果に繋がるリスクがあるので注意が必要です。例えば「新しいプロダクトを開発したので声を聞かせて欲しい」と友人などに検証をお願いした場合に、気を遣わせてしまい「良いプロダクトだと思います」と回答してくれることなどが珍しくありません。

そのため、PMFの検証の際にはそのようなバイアスに注意した上でフィードバックを受け止めることが大切です。また、MVPに触れた際の顧客の反応などを観察することも、PMFの検証を正しく行う上で大切なポイントといえるでしょう。

市場調査

PSFの際にも市場調査を行ったとしても、PMFの検証を進める際にはあらためて市場調査を行う場合があります。顧客にMVPに触れて貰うなどPMFの検証を進める上で、例えば顕在的な競合プロダクトとの差分なども明らかになる、または当初は競合視していなかったプロダクトと比較される等の場合もあります。このような顧客の声、フィードバックを受け、自分が向き合う市場について理解を深めていくことが重要でしょう。

多くのスタートアップが阻まれるPMFの壁


顧客のフィードバックをうまく捉えきれない等、PMFの達成は容易ではなく、多くのスタートアップがシードラウンドからシリーズAの資金調達のラウンドで苦戦を強いられているのが実態です。それではどのような要素がPMFの壁となるのかについてこちらで解説していきます。

顧客を取り巻く環境の変化

顧客を取り巻く外部環境は常に変化しています。PMF検証の段階ではまだ類似するプロダクトが浸透していなくとも、半年や1年後のスパンで一気にレッドオーシャンに転じることも珍しくありません。例えばPayPay、LINE Pay、メルペイなどをはじめとしたQR決済市場が一気に広がった瞬間などを目の当たりにされた方も少なくはないのではないでしょうか。

顧客を取り巻く環境の変化をないがしろにし、目の前の顧客のフィードバックだけに捉われた意思決定をしてしまうと、折角、プロダクトをリリースしても大手も含めた競合他社の中、瞬く間に撤退を余儀なくされてしまうので注意が必要でしょう。

顧客の抱えるニーズや課題の理解

顧客のニーズや課題を正確に把握することは簡単ではありません。昭和、平成の時代以上に顧客のニーズは細分化されてきており、そのニーズや課題を的確に把握するためには何度も顧客インタビューなどの手法にて検証をしていく必要があります。

また、先に記載の通り、顧客からのフィードバックを多く収集したとしても、顧客のフィードバック通りにプロダクトを改善したところで必ずしも満足を得られるプロダクトになる訳ではありません。顧客のニーズや課題を的確に解釈し、それらを優先順位付けして改善に反映していくことはPMFを達成する大きな壁となるでしょう。

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最後に

今回はスタートアップに欠かせないPMFについて解説をしました。PMFの検証方法は様々あり、プロダクトの特性により異なりますので、自社の展開するプロダクトと類似プロダクトを展開するスタートアップの方などと情報交換などをしてみることで落とし穴を回避できるかもしれません。今回の記事を参考にしてPMF、更にその先の事業グロースに役立てて頂けますと幸いです。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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