SaaS企業で導入が増えるインサイドセールスとは

近年では、「インサイドセールス」という営業方法を取り入れる企業が増えています。

特にSaaS企業(※)などのIT業界への導入数が多く、言葉が広まる前から企業に合わせたスタイルで導入化が進められてきました。本記事では、そんなインサイドセールスの概要やSaaS企業に導入されている理由、導入に必要なスキルを紹介していきます。SaaS企業のインサイドセールスがどのようなものかを知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

※SaaS(サーズ)は「Software as a Service」の略で、クラウド上のアプリケーションやサービスを、インターネットを通じて利用する形で提供されるビジネスモデルになります。スマホなど月額課金型で利用するサブスクリプション型のサービスの多くはSaaSに該当します。

目次

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、日本では従来当たり前とされてきた顧客に直接訪問して営業するフィールドセールスとは違い、非対面で電話やオンラインツールなどを主な手段として商談を行う営業手法になります。

企業によってインサイドセールスの役割や定義はまちまちではありますが、多くの企業ではインサイドセールスは潜在顧客や見込み客とコミュニケーションを取ります(このような見込み客を「リード」という言い方をしたりもします)。そして受注確度が高くなった(あるいは高いと見込まれる)段階でフィールドセールスへバトンを渡し、フィールドセールスが現場へ向かい、ご提案~クロージングを行う体制になります。

また、企業によってはインサイドセールスが提案からクロージングまでワンストップで行うこともあります。特に2020年の新型コロナウイルス問題を機に、非対面でのコミュニケーションが当たり前となり、客先に足を運ぶ機会が減った中、そのような体制に移行した企業も多いかと思います。

インサイドセールス導入の背景

1950年代に国土が広く、フィールドセールスが難しいアメリカで生まれた営業方法で、当時はテレマーケティングという表現をされていました。そんなインサイドセールスが今になって注目されはじめた背景には、SFAやMAツールなどを提供するセールスフォース・ドットコムで活用されてきた営業プロセスの一つである「THE MODEL」の考え方が広まったことにあります(2019年にMarketo社の代表である福田康隆氏が著書「THE MODEL」を出版されたことがそのきっかけの一つと言われています)。

この「THE MODEL」が広まったのはただ単にトレンドという訳ではなく、その背景には人材難である今のご時世も影響していると言えるでしょう。1人の営業担当者が新規開拓からサービス導入後の顧客フォローなどまで一挙に手掛ける従来の営業モデルでは育成にも時間を要しますし、投資家などより急成長を要求されるベンチャー、スタートアップ企業では目指す成長スピードに追い付かないなどの問題も起こり得ます。

そのような背景もある中、営業プロセスをインサイドセールスやカスタマーサクセスなどに細分化し、業務効率化を進める「THE MODEL」の営業手法を導入することで、営業活動の生産性、組織の専門性向上などを目指す企業が増えているという傾向にあります。

特にSaaSを展開する企業ではその傾向が顕著にあります。具体的には近年のSaaS企業の多くにはSMB(中小企業)をターゲットにDX推進を支援するサービスなどを提供する企業が増えてきています。想像に難くない通り、北海道から九州まで全国のSMBへ網羅的に足を運びながら営業活動を行うのは時間も労力もはかり知れません。そのような中、インサイドセールスやカスタマーサクセスなどの分業型営業プロセスの導入が進んだことも要因の一つと言えるかと思います。

インサイドセールスの特徴

同じ営業職でもインサイドセールスの仕事内容はフィールドセールスと大きく異なります。インサイドセールスの仕事の特徴には以下のようなものがあります。

①非対面中心で生産性・効率性を重視した営業活動

最も特徴的なのが、対面をせずに電話やウェブ商談ツールで営業を行うことです。企業の方針や組織体制にもよりますが、インサイドセールスは基本的に直接顧客のもとに赴くことなく営業行うため、移動時間が削られる分、如何に生産性を高めるかといったことに重点を置いた組織運営をされるケースが多いです。

ただし、インサイドセールスを導入した場合にすぐに高い生産性・効率性などが実現できるかというとそこまで簡単なわけではなく、成約率の高い顧客の見極めなど含め、効果的なアプローチ方法を見つけるのに時間がかかります。そのため、成功パターンが確立できるまでは、フィールドセールスをはじめとした他部門との板挟み状態になるといったシーンも珍しくありません。

②インサイドセールスの役割は「リードナーチャリング」

インサイドセールスは主に潜在顧客や見込み客とコミュニケーションを取ります。ここでいう潜在顧客や見込み顧客は「リード」と呼ばれ、多くのSaaS企業の場合、オンラインセミナーでお申込みを頂いた企業、あるいは自社のwebマーケティング施策(web広告、コンテンツマーケティング等)にてお問合せを頂いた企業などのことを指します。

インサイドセールスはこのようなリードに対して非対面でコミュニケーションをとり、受注確度が高くなった頃にフィールドセールスへバトンを渡し、フィールドセールスが現場へ向かいクロージングを行います(このような状態に運ぶことを「リードナーチャリング」といいます)。このようにインサイドセールスはフィールドセールスの商談成功率に直結する重要な役割を担っています。
※企業インサイドセールスが提案からクロージングまでワンストップで行うこともあります。

③テレフォンアポインターとの違い

インサイドセールスはテレフォンアポインターと混同されることがありますが、インサイドセールスとテレフォンアポインターでは最終的なゴールが違います。テレフォンアポインターはその名のとおり、電話でアポイントを取ることが仕事であり、受注確度や顧客の状況を問わず、できるだけ多くのアポイントを取ることが求められます。

一方のインサイドセールスが追うべき指標はアポイント数(フィールドセールスの商談数)だけではなく、フィールドセールスが如何に高い商談成約率でクロージングまで運べるかにあります。そのため、やみくもにアポイントを多く取れば良いわけではなく、顧客の状況(導入時期、課題の強弱等)を見極めフィールドセールスへバトンを繋ぐ必要があります。

SaaS企業のインサイドセールスで求められるスキル

インサイドセールスは、いまや多くのSaaS企業で導入されています。営業活動全体にインパクトが大きい責任の重大さや、顧客を獲得できたときの達成感にやりがいがあるインサイドセールスの仕事ではありますが、インサイドセールスで活躍していくためにどのようなスキルが必要かご紹介していきます。

①ITリテラシー

インサイドセールスは「見込み顧客(リード)と商談する」「ヒアリングのデータをまとめてフィールドセールスに渡す」といった業務の多くを、ITツールを活用しながら効率性高く仕事を進めていく必要があります。インサイドセールスで活用されているITツールはたくさんありますが、多くのSaaS企業で使われているツールには以下の3種類があります。

 ツール                内容
SFA/CRM/MA顧客情報や商談履歴を一元管理するツールであり、セールスフォース、HubSpotなどがどの代表格といえるでしょう。インサイドセールスだけでなく、カスタマーサクセスなど営業活動に関わる全部門にて顧客データをスムーズに共有できるようになります。
CTI(Computer Telephony Integration)CTIとはコンピュータと電話を連携させる技術、あるいはそれを提供するシステムを意味します。インサイドセールスでは商談内容を録音など記録し、後にトークスクリプトの改善、インサイドセールスチームメンバーの育成資料など使用するケースが多いです。
Web会議システムインターネットを経由して商談をするツールで、代表的なツールにZoom、Google Meetなどが挙げられます。インサイドセールスがオンラインでの商談をする際にこのようなツールを使用する機会は非常に多いです。

上記のITツールはSaaS企業でのインサイドセールスの活動で必須といえるものになります。ただし、入社前からこれらすべてを使いこなせている必要はなく、基本的に入社後に覚えていけば問題ありません。それ以上に重要なことは日々このようなツールは機能アップデートをされたりする中で、積極的に新機能などを取り入れ、より良い商談を形づくっていくことになります。

②コミュニケーション力

インサイドセールスに欠かせないスキルとしてコミュニケーション力があります。電話やWeb会議システムなど非対面での商談機会が多いインサイドセールスは、ある意味フィールドセールス以上にコミュニケーション力が求められると言えるでしょう。

特に2020年の新型コロナウイルス問題があった中、web会議システムの導入が増えましたが、その中で雑談などが生まれにくいといった課題などを耳にしたこともあるかと思います。雑談を通じて人間関係を築く、あるいはそのような雑談の中で顧客の本音が伺える瞬間があるといったことも営業活動に関わる方の多くが経験されたことがあるかと思います。

しかしながら、web会議システムを通じてではそのような雑談などのコミュニケーションが比較的とりづらいという傾向もあり、顧客の本音を引き出すヒアリングはフィールドセールスより難易度が高いといえるかもしれません。これは営業活動に限らず、オンライン化が進む中での社内コミュニケーションにおいても、敢えて雑談の時間を設定するような取り組みをされる企業もあるようです。

また、web会議システムのそのような特性も相まってweb会議システムを用いた商談では、これまでの1時間の商談時間が30分程度で設定される機会も多くなりました。そのような中、インサイドセールスはフィールドセールスと比較し、より短時間で顧客ニーズを的確に引き出す質問力が必要となります。

また、インサイドセールスチームで行った商談情報をフィールドセールス担当者に分かりやすく、正確に伝える必要もある中、的確にアウトプットできるコミュニケーション力も必要と言えるでしょう。

このようにインサイドセールスでは本音を引き出すヒアリング、的確な質問、的確なアウトプットなどといったコミュニケーション力が必須といえます。

③自社サービスの特性理解

SaaSの場合には継続的な利用をして頂くことが事業成長性に大きく影響を及ぼします。折角サービスを導入頂いたとしても「思っていたサービス内容と違った、言われたとおりにしても操作できない」といった不満が出てくれば、利用を停止してしまう恐れがあります。

多くのSaaS企業ではインサイドセールスは商談を形にしていくことがミッションであり、サービス導入やその後のフォローなどはカスタマーサクセスチームが対応する体制をとられるケースが多いです。そのため、自社サービスの細かな機能特性、あるいは導入後の顧客の声などに関して直接触れる機会が必ずしもあるわけではありません。

そのような中、インサイドセールスの段階で顧客への期待値調整などを誤り、折角導入を頂いたにも関わらず、短期間での解約などが起こってしまうようなケースがあります。そのため、SaaS企業ではインサイドセールスでもサービスの細かな機能など社内連携をとりながら熟知する必要があると言えるでしょう。

最後に

今回は、インサイドセールスの概要、多くのSaaS企業でインサイドセールス、カスタマーサクセスなどの分業体制導入されている理由、導入に必要なスキルについて紹介しました。

そしてインサイドセールスは営業活動全体にインパクトを与えるやりがいや責任感の大きな仕事ですが、フィールドセールスとは違った難しさ、必要なスキルが異なってきます。

SaaS企業のインサイドセールスに挑戦したいと思う方は、インサイドセールスで活躍するために必要なスキルを踏まえ、転職活動での自己PRなどに繋げて頂ければと思います。

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