ベンチャー、スタートアップ企業は危ない?転職で知っておくべきリスク

現在の仕事にやりがいをなかなか感じられず、転職を検討されている方の中には、成長著しいベンチャー、スタートアップ企業への転職を検討している方もいるのではないでしょうか。しかし、ベンチャー、スタートアップ企業への転職は、安定性や環境面などから危ない転職になるのではと不安に感じる方も少なくはない思います。特に家庭をお持ちの方の場合、家庭との両立を考えた際に危険な橋になるような選択には躊躇するシーンもあるでしょう。

こちらの記事では、ベンチャー、スタートアップ企業に転職する際に認識しておくべきリスク、そのようなリスクを踏まえつつも、将来性のある勝てるベンチャー、スタートアップ企業を見極めるポイントなどについて解説していきます。

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ベンチャー企業への転職で考えられるリスク

大手企業と比べ、成長志向が強く、意思決定のスピードが早いのがベンチャー、スタートアップ企業の特徴です。やりがいや成長を求めている人にとっては最適な環境ではあるものの、ベンチャー、スタートアップの環境に身を移す際には、ノーリスクとは言い難いのもまた事実です。

例えばまだまだ不確実性の高いベンチャー、スタートアップ企業でもある中、会社存続への不安などのリスクを想定される方もおられるかと思います。今回は将来的に成長性が期待できるベンチャー、スタートアップ企業か、そうでないかの見極め方について解説していきます。

ベンチャー、スタートアップ企業の倒産リスク

ベンチャー、スタートアップ企業の多くは、当然ながら資金が潤沢にあるわけではなく、また事業が軌道に乗った際にも大企業などが新規競合として参入することもあり、倒産のリスクが大企業や中小企業よりも高くなります。経済産業省の「中小企業白書」では、起業1年後の生存率は約72%、3年後は約50%という統計データも出ています。

そして新しいビジネスモデルや革新的技術が、必ずしも最初から顧客ニーズに当てはまるわけではありません。多くのベンチャー、スタートアップ企業が、創業当初のビジネスモデルがうまく立ち行かず、ターゲット顧客を変更せざるを得ない、あるいはビジネスモデルそのものを転換するなど、経営方針の大幅な転換(ピボット)を余儀なくされています。

会社の存続という観点でいくと、資本力がある大手企業と比べれば、短期的にみた際にはリスクがあると言わざるを得ないでしょう。しかし、現在は大手企業でも倒産の危機に瀕する瞬間もあれば、業界再編に伴うМ&A、またM&Aに伴う人員削減などが当たり前のように報道されており、大手企業でも将来を保証されているとは言い難いのが今の時代といえるでしょう。良い意味で会社に依存し過ぎず、転職市場における自分の市場価値を日々問い続け、どのような環境でも生き抜けるキャリアを築いていくという観点が大切です。

年収が下がるリスク

初期の事業フェーズにあるベンチャー、スタートアップ企業では、事業を軌道に乗せるための投資を優先的に進める中、十分に人件費に予算を捻出するのが難しいという事情があります。特にソフトウェア系のプロダクトで事業展開するベンチャーであれば、初期に大きな開発予算などが必要になります。さらに、黒字化まで時間を要することが多く、事業フェーズがそれなりに進むまでは、人件費に十分還元できる体制に移行しづらいでしょう。

ただし、近年では東京だけでなく、大阪をはじめとする地方のベンチャーでも、初期フェーズから億単位の資金調達をする企業が増えてきました。ここでいう資金調達は銀行からの融資というよりは、ベンチャー・キャピタルなどからの出資を受ける形での資金調達(「エクイティファイナンス」といいます)のことを指します。

そのような大型の資金調達をされ、専門性やスキルのある人材の獲得に積極的な企業の場合、調達前の企業と比べると、ある程度年収を担保できることもあります。

業務内容、役割が変わるリスク

大企業からベンチャー、スタートアップ企業に転職した場合、これまでとの働き方や業務フローの違いに、ギャップを感じることがあるかと思います。また事業フェーズによっては業務内容、役割などが変わることもあります。

ベンチャー、スタートアップ企業は立ち上がって間もない企業も多いため、教育制度はおろか、業務マニュアルや業務フローも存在しないことが多いです。大手企業からの転職の場合、このような環境に戸惑うこともあるかと思います。また、例えばセールスの勝ち筋などがまだ確立できていない職場は、自ら率先して考え、行動することのできない人だと、組織に順応することが難しいと感じることもあるでしょう。

その他にも、事業が形になるに連れて、新たに必要な役割や部門を立てなければならないシーンがあります。例えばサービス導入までは好調に進むものの、導入後の顧客の利用頻度などが芳しくない場合には、その課題解決を専門に行うチームなどを新設するようなことも珍しくありません。セールスとしてキャリアを積みたいと考えている方の場合、このようなコンバートに前向きになれないというケースもあります。ベンチャー、スタートアップ企業では事業を形にしていく上で、歩留まりとなる課題解決のためにコンバートする可能性も認識の上、転職活動に臨みましょう。

ベンチャー、スタートアップ企業への転職のリスクを回避するためには

ベンチャー、スタートアップ企業への転職は、倒産や業務内容、役割が変わる可能性など、さまざまなリスクがあります。しかし、それらのリスクを正しく認識した上でのベンチャー、スタートアップ企業への転職は、自身を成長させる大きな可能性を秘めた挑戦になるのです。ここでは、ベンチャー、スタートアップ企業への転職のリスクを回避するための方法を見ていきましょう。

赤字経営は必ずしも悪いわけではない

SaaS(Software as a Service)と称されるソフトウェア系のサービス開発を行うベンチャー、スタートアップ企業の多くは、創業時にベンチャーキャピタル、エンジェル投資家などから資金を集めます。そして何年も赤字の状態でビジネスをブラッシュアップし、黒字転換を狙う形をとっています(このような成長曲線を「Jカーブ」といいます)。

このようにSaaSをはじめとしたIT・Web系のベンチャー企業は黒字転換にある程度時間を要することが多く、最近では名刺管理アプリ事業を展開する株式会社SanSanや会計管理SaaS事業を展開する株式会社freeeなどをはじめ、「赤字上場」と呼ばれる、利益が赤字のままIPO(新規株式公開)することも、ある意味一般的になってきました(2019年は16社、2018年は12社、2017年は10社が赤字上場)。

このような赤字上場を果たす企業の評価は収益力以上に、例えば導入顧客の増加率などの成長性を評価指標として置いています。この他にも、上市するまでの期間の長い創薬などの医療系ベンチャーでも、赤字上場をするケースが比較的多くみられます。このように財務上赤字であったとしても、業種やビジネスモデルによっては必ずしも悪いわけではないということも、ベンチャー、スタートアップ企業を見極める上でのポイントになるでしょう。

どのような事業課題、組織課題があるかを理解する

ベンチャー、スタートアップ企業は一見すると華やかな世界のように見えますが、多くの事業課題や組織課題を抱えており、日々その課題解決に奔走しています。ビジョンや会社風土などの理解ももちろん、大切なことです。しかし、入社後にまず解決しなければならない課題は何なのか、そこに自分のこれまでの経験やスキルで解決に繋げられそうかなど、具体的にイメージが持てるのかどうかも重要になります。

ベンチャー、スタートアップ企業に限らず、入社後に仕事のパフォーマンスで周囲から信頼を得て、人間関係を築いていくということは大切です。大手企業と比較して、短期でパフォーマンスを求められる傾向にあるのがベンチャー、スタートアップ企業なのです。選考を通じてそのような課題点などについて理解し、入社後にどのような形で貢献できそうかを、双方ですり合わせすることをおすすめします。

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ベンチャー、スタートアップ企業への転職はリスク以上に魅力がある

大手企業、中堅企業からベンチャー、スタートアップ企業に転職する場合、上記のようなリスクをゼロにすることは容易ではありません。しかし、ベンチャー、スタートアップ企業への転職は、その分得られるメリットも多いです。ベンチャー、スタートアップ企業へ挑戦することで得られるメリットについてみていきましょう。

経営者の意思決定に間近で触れられる

ベンチャー、スタートアップ企業は数名~数十名規模の従業員の少ない企業が多いため、経営者との距離が近い傾向があります。そのため、経営者の意思決定や判断する場面を間近で見て、経営者の思考や仕事のやり方を吸収しながら仕事に取り組めることは、ベンチャー、スタートアップ企業で働く大きなメリットの一つかと思います。特に一つ一つの意思決定、経営判断が会社の浮き沈みに良くも悪くも大きく影響するのがベンチャーです。経営者の側で経営感覚を養えることはもちろん、自分自身が経営幹部として、それらの意思決定に関与できる可能性があることもベンチャーで働く醍醐味でしょう。

また将来的に独立を考えている方であれば、働きながら経営者になるために必要なスキルを身につけられる機会も多いかと思います。実際にベンチャー、スタートアップ企業で勤務した方が、起業をするケースは珍しくありません。そして、ベンチャーで起こり得ることを熟知している分、創業期から良い形で組織づくりなどをしながら、会社経営をしている方も多いです。

IPO(新規株式公開)の機会などで大きなリターンを得られる可能性がある


ベンチャー、スタートアップ企業の年収面などは、当然ながら大企業に劣るケースが多いことは先に記載しました。一方でIPO(新規株式公開)を目指す企業の場合には、年収とは別でストックオプションと呼ばれる新株予約権が付与されるケースがあります。

この制度はIPOを目指す多くの会社で敷かれる制度であり、自社株を従業員や取締役が定められた価格で取得できる権利です。具体的には比較的安価な株価で株式を取得し、IPOを実現した際、またはその後の継続的な成長により株価が上昇した際に売却することでキャピタルゲインを得るものになります。

ストックオプションの考え方は会社の方針にもよるので一概には言えませんが、経営幹部メンバーとして一定数のストックオプションを有している場合、上場後に数千万規模のキャピタルゲインを得るということもあります。 応募を考えているベンチャー、スタートアップ企業が先々にIPOを視野に入れているかどうか、またその場合にストックオプション制度についてどのような方針でいるかなどは、選考の中で確認しても良いかもしれません。

会社の成長をダイレクトに感じることができる

ベンチャー、スタートアップ企業では、大企業と比較して自分の仕事の成果が会社の業績にダイレクトに反映されます。会社を動かす主体者の一人として、手触り感をもった仕事ができることには大きなやりがいを感じられるでしょう。

この創業期の自身で事業を形にしていく感覚は、かけがえのないものです。実際にベンチャーで勤務し、上場まで実現、大企業、有名企業に名を連ねるまで成長した後、やはり創業期の手触り感を再び感じたいと、ベンチャーの世界に返り咲く方も少なくはありません。そのような成長機会の中に身を置くことも、ベンチャー、スタートアップの世界に身を移す大きなメリットの一つといえるでしょう。

ベンチャー、スタートアップ企業への転職活動

現職で活躍をされているビジネスパーソンの方は多忙の中、なかなか転職活動に十分な時間を割けないという方も多いでしょう。このような多忙なビジネスパーソンは現職でのパフォーマンスを落とすことなく、効率的に情報収集を行う必要があります。こちらではこのようなビジネスパーソンの方が転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します

スカウトサイトを活用した転職活動

一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「エンミドルの転職」などが挙げられます。このような転職プラットフォーム市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズにも上場を果たしています。

これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。どのような企業がこれまでの経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。

転職エージェントを活用した転職活動

ベンチャー、スタートアップ企業への初めての転職に臨む場合には、転職活動のパートナーとして転職エージェントを活用することも選択肢の一つでしょう。大手・中堅企業などへの転職と異なり、ベンチャー、スタートアップ企業ならではの注意点、お作法などについてこのような転職エージェントに事前に情報を貰いながら、面接などの選考過程を有利に進めていくと良いでしょう。

特にベンチャー、スタートアップ企業への転職活動の際には、企業情報をはじめとした情報収集の難しさに直面するケースが多いです。ベンチャー、スタートアップ企業ではプロダクト開発や営業活動などに奔走するあまり、採用広報をはじめとした採用活動に十分にパワーをさける状態にないことが多いです。そのような中、ベンチャー、スタートアップ企業では採用活動へのパワーを最小限にしつつ、採用成功に繋げるため、転職エージェントに依頼するケースが少なくありません。

また、 ベンチャー、スタートアップ企業への転職活動において、PRに積極的な企業ばかりではないことも踏まえて臨むことが大切です。ベンチャー、スタートアップ企業の成長において大きな脅威の一つが、大企業の参入です。資本力のある大手企業が参入する中、資金力や人材など経営資源の足りないベンチャーが太刀打ちするのは至難の業といっても過言ではありません。

認知度を上げることは企業の成長において重要なことではありますが、目立ちすぎることで「この市場は魅力的な市場だ」と、競合の参入を加速させてしまう可能性も高まります。そのような脅威に注意を払っている経営者は、水面下で静かにシェア獲得を推し進めるような戦略をとっていることが多いです。そして、ある程度シェアを獲得できた段階、あるいは大型の資金調達などが実現され、一気に競合各社を引き離したいという瞬間に、ようやく大々的に露出していきます。

このようなベンチャー、スタートアップ企業は、自社の採用活動に関しても慎重です。例えば公に情報を露出する求人サイトではなく、転職エージェントなどを活用し、競合他社に動きが見えないよう、水面下で採用活動を進めるような戦略をとる企業も多いです。そのため転職活動においては、ベンチャー、スタートアップ企業のマーケットに明るい転職エージェントとコミュニケーションをとりながら、網羅的に情報収集にあたるのが良いでしょう。

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最後に

大手企業からベンチャー、スタートアップ企業に転職する場合、どのようなリスクがあるか認識し、事前に確認することが重要です。しかし、さまざまなリスクを考慮しても、ベンチャー、スタートアップ企業に転職して得られるメリットは多いです。自身の成長、あるいは仕事にやりがいを求める方などにはおすすめの職場といえるでしょう。ベンチャー、スタートアップ企業への転職を検討している方は、ぜひビズアクセルエージェントをご利用ください。専門のエージェントがあなたの経験や志向に合った企業をご紹介いたします。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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