関西で地方創生に取り組むベンチャー企業を紹介

国内の経済やビジネスが都市部に集中する一方、地方の活性化、いわゆる「地方創生」が近年喫緊の課題となっています。人口減少や高齢化といった問題が地域社会の持続可能性に深刻な影響を与えている中で、地方創生を目指すベンチャー企業が注目を集めています。

本記事では関西で地方創生に取り組むベンチャー企業を紹介し、各社の活動が地域にもたらす影響について解説していきます。

地方創生とは

地方創生とは、地方で進行する人口減少や経済の停滞といった課題解決のため、地域社会の活性化と持続可能な発展を目指す政策や取り組みの総称であり、具体的には地方への移住促進、地域産業の振興、インフラ整備、教育の充実、観光振興など、地域に根ざした多岐にわたる活動が含まれます。

地方の衰退は経済活動の停滞だけでなく、地域社会の存続そのものにも影響を与えるため、地方創生は国の重要な政策課題となっています。政府は地方創生を推進するために、地域のニーズに応じた様々な支援策を講じていますが、政策のみでの解決には限界があるため、民間企業、地域住民などの協力も不可欠といえます。

地方創生がいま注目される理由

地方創生が喫緊の課題である理由に、人口減少と高齢化による経済基盤の弱体化が挙げられます。経済基盤の弱体化は若年世代の都市部への流出を招き、地域社会にさらなる人口減少と高齢化をもたらします。

一方、2020年のコロナ禍におけるリモートワークの導入により、都市部に依存しない働き方が可能となったことで「地方で働く・暮らすこと」の魅力がメディアで度々取り上げられるようになりました。

さらにはデジタル技術の進展も地方創生を後押ししています。IoTやAIなどの技術は地域資源の最適活用や効率的なサービス提供を可能にし、地方でも新しいビジネスモデルが創出しやすくなりました。例えばモビリティ×ITにて地域交通機関と協働の上、人流を可視化し、街づくりに繋げるなどのビジネスも生まれています。ビジネスの中心が都市であり続ける蓋然性がある一方、地方ならではの新たなビジネスが生まれる環境が醸成されていることは大きな転換点ともいえます。

関西で地方創生に取り組む企業5選

株式会社坂ノ途中

株式会社坂ノ途中は京都市に本社を置くベンチャー企業で、新規農業従事者の経営支援、並びに発展途上国の農業支援を通じた環境保全事業を展開しています。具体的には有機野菜や無農薬野菜を手掛ける新規農業従事者が抱える生産量の安定化などの課題に対し、生産量安定化に向けた経営支援、並びに同社プラットフォーム「坂ノ途中」での販売支援など、農業従事者減少への歯止めをかける取り組みを進めています。

地域経済の活性化を目指す際に、地域ならではの農作物は地域をPRしていく上で非常に重要な要素といえるでしょう。しかしながら、少子高齢化のもと、国内の第一次産業従事者が減少し続けている環境において、農業への新規参入を支える同社の取り組みは、地域経済の活性化の推進に大きな役割を果たしています。

天創堂株式会社

天創堂株式会社は「ご当地ブランド事業を通して、世界中に感動をお届けする」ことをミッションに掲げるベンチャー企業です。食品や土産物などのご当地商品を全国の小売店や輸出で拡販をしていく流通事業を展開しています。

各地域の魅力を引き出すことに重点を置く同社の事業は、まさに地方創生の中心をなすものと言えます。同社の取り組みは地域や商品の魅力を未だ十分に発信できていない事業者を強力にアシストするはずです。

株式会社ランプ

株式会社ランプは「デジタルの力で地域社会を灯す。」という言葉を掲げ、飲食・小売業テイクアウトにフォーカスしたプロダクト「テイクイーツ」を展開するリテールテックベンチャーです。コロナショックでパラダイムシフトが起こる2020年に同プロダクトをリリースし、これまで全国の和洋菓子店などを中心に1,500店舗以上にまで導入を進めています。

2024年に資金調達を実行し、累計資金調達額は3.4億円と、多くの投資家から期待される事業へ成長を続けています。同社の躍進によってに地域経済を支える飲食・小売業が活性化していくことが期待されます。

株式会社AZOO

株式会社AZOOはAll in One ホテルDXシステム「WASIMIL」、ホテルコンサルティング事業「HotelDX」を提供するベンチャー企業です。同社は2020年1月に設立し、2023年にはALL STAR SAAS FUNDをリードとしたプレシリーズAの資金調達も実施（金額は非公開）されています。

地方経済の活性化を目指す上で観光産業は欠かせません。労働人口の減少、インバウンド需要の高まりにより、ホテル運営会社が生産性を高めることは必須課題です。同社の躍進は日本の観光産業を強力にアシストするのではないでしょうか。

地方創生に取り組むベンチャー企業への転職に向けて

こちらでは地方創生に取り組むベンチャー企業への転職に向けてのポイントを解説します。多くのビジネスパーソンが多忙である中、現職のパフォーマンスを落とさないよう、効率的に情報収集を行う必要があるでしょう。以下、このような方の転職活動で推奨する２つの手法についてご紹介します。

スカウトサイトを活用した転職活動

一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動です。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「エンミドルの転職」などが挙げられます。このような転職プラットフォーム市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズ（現東証グロース）にも上場を果たしています。

これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。このようなプラットフォームに「地方創生に取り組む企業に転職したい」等の希望条件の記載をしておくと、必然的にそのような情報が集まりやすくなるでしょう。

また、どのような企業がこれまでの経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。

転職エージェントを活用した転職活動

まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚おろしをして、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかどうかは、転職活動のプロセスを大きく左右します。

転職エージェントは国内に数万社あり、ソーシャルベンチャーをはじめとしたベンチャー業界に特化した転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。

最後に

東京一極集中、過疎化が社会問題に挙げられる中、地方創生は地域社会の将来を左右する喫緊の課題と言えます。関西で地方創生に取り組むこれらのベンチャー企業は地域の課題に対して創造的な解決策を提供し、地域社会の持続可能な発展に大きく貢献していくことでしょう。