京都ベンチャー企業の特徴とは?京都で注目のベンチャーと合わせて紹介!

皆様は京都に本社を置くベンチャーについてどの程度ご存知でしょうか。関西では大阪に拠点を置く会社が多く、関西においてはベンチャーマーケットの中心地となっていますが、そのほか神戸、そして今回ご紹介する京都といったエリアにも多くのベンチャー企業があります。今回の記事では京都というエリアに着目し、その特徴や注目されるベンチャー企業などについてご紹介したいと思います。

目次

京都のベンチャー企業をとりまく環境について

京都はよく知られている通り、歴史情緒ある街並みと伝統工芸、独自の文化などを備えた魅力的な地域です。世界的にも知名度が高いことから海外から来られている観光客も多く、伝統と革新が共存した空気を感じることができる街です。一方、ビジネスの環境としての京都にはどのような特徴があるでしょうか。いくつかご紹介していきたいと思います。

グローバル企業・イノベーション企業を多く創出している京都

京都は京セラや任天堂、島津製作所、オムロン、日本電産、ローム、ワコールなど多くのグローバル企業を育んだ街でもあり、現在でもそれらの企業の本店や主要な拠点が数多く置かれています。意外に思われる方もおられるかもしれませんが、京都はものづくりを中心に革新的な産業を生み出してきた、イノベーションの街でもあるのです。

そうした環境からベンチャー企業に関わる多くの方から、京都は革新的な事業に取り組むベンチャー企業にとってはよい環境の街だという印象を持たれています。過去さまざまな企業が長い時間をかけて魅力的な事業を作り上げてきたことや、長い歴史が身近にあることから、ベンチャー企業がじっくりと技術を磨き上げることを受け入れられる精神性がそこにはあるのかもしれません。

ベンチャー支援体制が充実している京都

京都にはベンチャー企業やスタートアップ企業を支援する体制も手厚くあり、京都に拠点を置くVC(ベンチャーキャピタル)は実に10社以上存在しています。それらのVCは同じ京都にあるベンチャー企業やスタートアップ企業に対する資金提供や成長支援を積極的に行っており、京都のベンチャーマーケットを下支えしています。

その他官民一体となって京都のスタートアップ支援に取り組む京都スタートアップ・エコシステム推進協議会や、京都にフォーカスして実施されているアクセラレーションプログラムなども京都におけるベンチャー企業やスタートアップ企業の成長に貢献しています。

豊富な人材が集まる京都

ベンチャー企業、スタートアップ企業が成長するには多種多様な人材が集まることが不可欠です。その面でも京都はとても魅力的な環境にあると言えます。なんといっても京都は市内に38もの大学を有する学生の街であり、優秀な活力ある人材を豊富に抱えています。京都市内には15万人もの学生がいて、人口当たりの学生数・大学数は全国1位です。

技術革新に欠かせない理工学系の学生も1万人いて、毎年2,500人が卒業し社会に出て活躍しています。また京都は土地柄もあり、多くの国の留学生が集まる街としても有名あり、1万人の留学生がいると言われています。

このほか、京都・大阪・奈良の3府県にまたがる関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)には多くの大企業や公的研究機関、大学などの研究開発拠点があり、多くの研究者や学生、インターンといった人材が行き交っています。

このように京都は潜在的に多くの人材を抱えている街であり、こうした環境もまた、ベンチャー企業、スタートアップ企業が継続的に生まれる土壌となっていると言えるでしょう。

ディープテックベンチャーが台頭する京都

Genetic engineering concept. Regenerative medicine. Medical technology. Medtech.

京都大学をはじめR&Dに長けた人材を豊富に抱え、ベンチャー企業やスタートアップ企業を育む環境がある中、ディープテック領域の事業に取り組むベンチャー企業やスタートアップ企業が台頭しています。

ディープテックとは

ディープテックとは、ディープテック企業向けの資金調達を担うPropel(x) CEOのスワティ・チャトゥルベディ氏によれば「科学的な発見や革新的な技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み」と定義されています。

ベンチャー企業やスタートアップ企業が取り組むビジネスは多種多様ですが、たとえば近年多くのスタートアップ企業が取り組むシェアリングサービスなどは、根底に科学的な発見や革新的な技術があるというよりは、ビジネスモデルの改良という面が強いものです(もちろんそれらもまた、通信技術や検索技術、スマートフォンやクラウドサーバーの機能など様々な面での向上により実現しているものです。そうしたビジネス環境を実現するための多くの技術革新によってほぼすべてのビジネスが下支えされていることも忘れてはなりません)。それに対してディープテックとは、新たな発見や技術革新そのものを事業化して社会課題を解決し社会にインパクトを与えるものを指す言葉です。

ディープテックベンチャー企業の好例としてはユーグレナ社が挙げられます。ユーグレナ社はミドリムシの大量培養技術をコア技術とし、その研究開発成果を活かして、ヘルスケア事業やバイオ燃料事業などに取り組む企業で、2005年にミドリムシの食品用途屋外大量培養に成功したことを起点として様々な方向に技術活用を進め、2012年に当時の東証マザーズ市場に上場、現在では連結売上高443億円(2022年12月期)を誇る企業に成長しています(ユーグレナ社はディープテックベンチャー企業の例として紹介しているもので、京都発の企業ではありません。念のため注記いたします)。

京都はディープテックベンチャーが多い

京都大学をはじめとした高度な研究機関による技術を活用したディープテックベンチャーが多いというのが京都ベンチャーの特徴といえるでしょう。技術革新には社会の価値観や発想を根本から覆すような研究が必要で、優秀な人材・長い研究期間・多額の研究費というリソースを投下してそうした技術革新につながる研究に取り組むことができるのは、多くの場合、大学や公的研究機関、あるいは大企業の研究開発部門ということになります。京都のベンチャー企業にはそうした研究の成果によって獲得された技術を活用し、事業化しようとする企業が多いのが特徴だと言えます。

京都で注目されるディープテックベンチャー

ここまででご紹介した通り、京都はベンチャー支援環境や人材供給の面でベンチャー企業が育ちやすい環境であり、また研究機関が多くあることで他の地域よりもディープテックベンチャーが生まれやすいことも特徴です。そのような京都で現在注目されているベンチャー企業にはどのような会社があるのかについてご紹介したいと思います。

京都フュージョニアリング株式会社

京都大学発ベンチャーである京都フュージョニアリング株式会社は核融合技術をベースに、世界のエネルギー問題や脱炭素などへの貢献を目指すベンチャー企業です。核融合炉およびフュージョンエネルギーの実現を目指す企業や研究機関と協業し、フュージョンエネルギーの産業化に向けて事業を推進しており、2022年7月には世界初の核融合発電試験プラント建設プロジェクトも始動されています。

2023年5月にはシリーズCとして105億円を調達し、累計調達額は122億円に達しました。投資家にはVCだけでなく関西電力やJ-POWER、総合商社なども名を連ねており、様々な方面から支援されていることからも、今後の社会に必要な企業であると期待を集めていることが見て取れます。

メトロウェザー株式会社

メトロウェザー株式会社は、リモートセンシング技術を応用した大気計測装置の開発を行っている会社です。ドローンなどが活躍するエアモビリティー社会を実現するために必要な「空のインフラ整備」を担う京都発のスタートアップで、目には見えない大気の流れをリアルタイムに可視化するドップラー・ライダー「Wind Guardian」を開発、製造しています。

2022年~2023年にシリーズAラウンドとして複数回にわたり合計12億円超の資金調達を行っており、その資金を用いて米国事業展開の加速に向けた投資も行われることが発表されています。2025年に予定されている大阪関西万博の会場上空など大阪ベイエリア一体の風の状況を観測する取り組みを進めるなど、今後が期待される企業です。

マイキャン・テクノロジーズ株式会社

マイキャン・テクノロジーズ株式会社はiPS細胞に代表される再生医療技術を活用し、作製した特殊血球細胞を軸に事業を展開するディープテックベンチャーです。2023年8月にはシリーズBラウンドとして2億円の調達を行っており、製品の安定供給体制や流通・販売体制の確立を目指しています。

これまでは国内においては製薬会社、研究機関向けに事業を展開していますが、今後、島津製作所グループと資本業務提携の上、グローバル展開にもいよいよ足を踏み入れるまさにこれからの事業フェーズにある企業といえるでしょう。

リージョナルフィッシュ株式会社

リージョナルフィッシュ株式会社は、ゲノム編集技術とIoT技術などを用いて、日本の養殖業の付加価値を高め、サステイナブルな成長産業に変える取り組みを行っている企業です。ゲノム編集による品種改良で、可食部を増やしたマダイを販売するなど、養殖の効率を高めることでタンパク質クライシスと言われる2030年頃にタンパク質の需要が供給を上回るという世界の課題の解決に貢献しようとしています。

2022年9月にはシリーズBラウンドとして20億円超の資金調達を実施しており、調達した資金を用いて揚力プラントの新設などを行って水産物の量産体制を整備しています。また、代表の梅川忠典氏はデロイトトーマツコンサルティング、産業革新機構などを経て、同社を起業。ディープテックベンチャーの経営者は研究機関出身の方などが多い中、コンサルティングファーム出身者ならではの切り口の経営スタイルもまた他のディープテックベンチャーとの違いといえるでしょう。

株式会社バイオーム

株式会社バイオームは生物多様性の危機に対処するためのサービスパッケージを企業や行政機関に向けて提供しているディープテックベンチャーです。「生物多様性の保全」を第一義に掲げており、環境保全や生物多様性の保護などをビジネスとして成り立たせる試みとして世界中の生物の情報のビッグデータ化などにも取り組んでいます。

2023年4月にはシリーズBとして3.3億円の資金調達を行い、累計調達額は5.2億円となっています。かなり専門性の高い尖った領域であるが故の事業運営の難しさはあるかと思います一方、事業が軌道に乗れば唯一無二のビジネスとして成長が期待できる企業といえるでしょう。

最後に

今回は「京都のベンチャー企業の特徴とは?京都で注目のベンチャーと合わせて紹介!」というテーマで、京都のベンチャー企業の特徴などについてご紹介させていただきました。今回ご紹介した企業は京都にあるベンチャー企業のうちほんの一部ですが、やはり何らかの革新的な技術を中心に据えた企業が多いことがわかるかと思います。

関西のベンチャー企業への転職を考えられる際には大阪を中心に考えられる方が多いかと思いますが、京都もそれに引けを取らない魅力的なマーケットです。生活環境としても、京都には大阪や他の地域とはまた異なる素晴らしい魅力がたくさんあります。ぜひ京都のベンチャー企業についても多くの方に知っていただければと思っております。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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