転職に有利とは限らない?職業訓練に行かないほうがいい3つの理由とおすすめのリスキリング方法

全国のハローワークでは多種多様な職業訓練プログラムを受けることができます。転職時、失業手当の申請をしにハローワークに行くと職業訓練を薦められたご経験のある方もいらっしゃると思われます。職業訓練は通常教材費負担のみで受講できるものが多く、格安でスキルアップできることに魅力に感じる方も多いのではないでしょうか。それでは、職業訓練を受けると転職に有利になるのでしょうか?

本記事では「転職の際に職業訓練プログラムを受けたほうがいいか」について解説していきます。

目次

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ハローワークの職業訓練とは

ハローワークとは、国民に安定した雇用機会を確保することを目的とした厚生労働省管轄の行政機関です。正式名称は公共職業安定所ですが、ハローワーク、職安などの略称で呼ばれることが多いです。

ハローワークは全国各地に設置されており、雇用保険(失業手当)の手続き、転職相談、求人紹介などの各種就労関連のサービスが受けることができます。その中に「職業訓練プログラム」があり、常時複数種類のコースが格安で提供されています。

ハローワークで受けられる職業訓練の内容

ハローワークの職業訓練(求職者支援)は、失業中の方や新たなスキルを身につけたい方を対象に、職業に必要な知識や技術を学べるプログラムです。職業訓練は基本的に無料(教材費・交通費等の負担あり)で、様々な業種や職種のノウハウ・スキルを学べるコースが提供されています。

ハローワークの職業訓練の一例 (※2024年大阪市実施分より抜粋)

・事務系(ビジネスパソコン実務・簿記経理・OA)
・介護系(介護士養成・介護事務)
・美容系(ネイリスト・エステティシャン・アロマセラピスト)
・IT系(プログラミング・Webデザイン)
・建築系(建築CAD)

ハローワークの職業訓練は誰でも受けられるのか

基本的に、ハローワークの職業訓練は年齢・職歴を問わず、誰でも受けることが可能です。ただし申し込みには一定の条件や審査があり、講座ごとに定員もあるため、全ての応募者が必ずしも受けられるわけではありません。講座に申し込みが集まり過ぎた場合は、失業の状況・年齢などを鑑みて受講者が決まります。また、訓練の内容によっては一定の基礎知識が求められる場合もあるため、保持スキルが理由で受講ができない場合もあります。

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ハローワークの職業訓練は転職で有利になるのか

職業訓練を受けることで新たな学びを得てスキルアップし、成長を実感できることは喜ばしい体験でしょう。ただし、「職業訓練を学んだこと=転職で有利になる」という保証がされるものではないので、職業訓練の効果には期待しすぎないことが大切です。

残念ながら、多くの企業は、職業訓練で得た知識よりも、実務経験を重視する傾向があります。職業訓練で基本的な知識を得たとしても、それが直接的に企業にとっての実務能力として評価されることは少なく、経験が不足していると見なされる可能性があります。

また、職業訓練によるスキルアップの効果は受講する訓練の内容や個々のキャリアプランによって異なります。例えば、特定の資格取得を目指す訓練は、その業界への転職において有利に働くことがありますが、必ずしも全ての訓練が即座に転職に結びつくわけではありません。

ハローワークの職業訓練に行かない方がいい理由

ハローワークの職業訓練には、他にもデメリットがあることはご存知でしょうか。転職活動で評価されるとは限らない、という理由以外に、ハローワークの職業訓練をおすすめしない理由について解説していきます。

需要とマッチしないスキルしか身につかないリスクがある

ハローワークの職業訓練は、汎用的なスキルや一般的な業種に焦点を当てていることが多く、必ずしも今転職市場で多く出ている求人が求めているような最新のスキルに対応しているわけではありません。例えば、IT業界で求められる最新のプログラミング言語やデータ分析の知識などは、ハローワークの訓練内容に含まれない場合があります。実務レベルの技術を学びたい場合、別の専門スクールやオンライン学習の方が有用なこともあります。

就業ブランクが延びるリスクがある

職業訓練は通常2カ月から6カ月間の受講するプログラムです。申し込み手続きや審査、プログラム開始までの待期期間を合わせると、さらに長期的に拘束期間が発生することもあります。この間、もちろん転職活動をするのは問題ないのですが、職業訓練中は平日フルタイムの訓練に参加することになるため、転職活動が疎かになってしまうこともあります。

職業訓練の期間は「ブランク(離職期間)」として扱われるため、離職期間が長引くことで転職活動にはマイナスに働く、ということをよく認識した上で転職活動と両立しながら受講すると良いでしょう。

他のスキルアップ方法にも目を向けよう

ここまで、職業訓練について解説してきましたが、職業訓練以外の社会人向けスキルアップ・リスキリング方法にはどのようなものがあるかご紹介していきます。

資格取得によるスキルアップ

スキルアップと聞いて多くの人がイメージする「資格取得」は、お勧めのスキルアップ手段の1つです。転職に有利な資格は数は少ないですが、自分のペースであまりコストをかけずにスキルアップしたい人におすすめです。

資格は種類・レベルも豊富なので、自分のキャリアに合った資格を取得してもいいですし、自分のキャリアとは違う領域の資格にチャレンジしてみるのもおすすめです。例えば会計やIT領域の資格は、どのような職種の人が持っていても実務へ活かしやすいでしょう。

オンライン学習プラットフォーム

コロナ禍以降、様々なオンライン学習プラットフォームが注目を集めています。社会人向けの学習ツールも充実してきており、株式会社グロービスの提供する「GLOBIS学び放題」や株式会社リクルートの提供する「スタディサプリ」などスマホや動画で時間を選ばず学習できるツールが続々と生まれています。

社会人向けスクール・大学院

独学では難しい領域にチャレンジする場合、社会人向けビジネススクールや大学院を受講するのもおすすめです。コスト面では割高になりますが、期間やレベルが選べるといったメリットがあります。例えばMBA(経営学修士)などは一度社会人になってから学びなおす人が多く、学歴欄に記載することもでき、職業訓練に比べて社会的評価が高いです。

また現在多くの大学では単科受講ができたり、社会人でも受講可能な時間帯の講義、遠方からでも参加可能なWeb講義などが提供されています。

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最後に

キャリアアップをしていく上で、自己研鑽はとても重要です。ただしハローワークの職業訓練はメリット・デメリットがあります。受講を希望する際は自分の状況に合っているのか、慎重に見極める必要があります。自分のキャリア目標や現在のスキルセットをよく考慮した上で、他の選択肢を含めて最適な方法を選ぶことが重要です。職業訓練に参加することが必ずしも最良の道とは限らず、実務経験の積み重ねや自発的な学びが転職において重要な要素となることを忘れないようにしましょう。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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