転職を有利に!働きながら独学でとれる資格を解説!

転職活動するにあたり「何か資格をとろうか」と考えたことはないでしょうか。今の仕事に資格が必要というわけではなくても「何か強みとしてPRできる資格を取得できたら」「自分が既に持っている知識を資格として形にしておきたい」という発想から、転職を検討するにあたり資格取得を目指す人は多いようです。

では実際に資格を持っていると転職に本当に有利なのでしょうか?具体的にどのような資格を取得しておけばいいのでしょうか。こちらの記事では、資格取得のメリット、転職に有利なおすすめの資格をご紹介します。

目次

転職に向けて働きながら資格を取得したほうがいい理由

転職に向けて資格を取得することは必須ではありません。実務に関係する資格を取得しておくことで得られるメリットにはどのようなものがあるでしょうか。また、働きながら資格を取得したほうがいいのか、もしくは資格取得の勉強に専念したほうがいいのか、といったことも解説していきます。

転職前に働きながら資格を取得するメリット

具体的には資格を取得しておくことで転職活動では以下のようなメリットが挙げられます。

資格を取得するメリット

・応募先の選択肢が増える
・業務に必要な知識やスキルを身につけていることのアピールにつながる
・向上心の強さ、勤勉さを印象づけられる
・業界・業務への関心の強さを示すことができる
・他の候補者と差別化がはかることができる

企業としては即戦力となる実務経験豊富な候補者を採用できるのがベストですが、それが難しい場合には実務は未経験でも資格を持つ候補者や、自ら新しいことを学ぶ姿勢のある候補者を採用したいと考えていることが多いものです。資格を取得するだけで上記をアピールできるのは、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

資格取得のために休職するのはデメリットが多い

元から何か事情があり休職中である場合などを除き、資格取得の勉強に専念するために長期間休職する・転職活動を延期するといったことはお勧めではありません。離職期間が延びることは転職には不利になりがちです。また必ず資格が取得できるとはかぎりませんし、資格が取得できても、すぐに転職がうまくいくとも限りません。

転職に有利、かつ汎用性が高い資格一覧

「どんな資格をとればいいのかわからない」「まだ希望の職種や業界が決まっていない」という方は、以下の資格取得を検討してみましょう。誰でも取得可能で、転職で有利になりやすい一般的な資格をご紹介させて頂きます。※各資格取得のために必要な勉強時間については初学者の方を想定しております

ビジネス法務検定

ビジネス法務検定とは、ビジネスシーンに関わる法律の知識が身についていることを示す資格です。法務職の人が取得する資格というイメージが先行しがちですが、ビジネスにおいて知っておくべき基本的な法律の知識を幅広く学ぶことができますので、営業や管理部門、販売などさまざまな職種・業界のビジネスパーソンにとって取得しておいて損はない資格と言えるでしょう。

レベルは1級~3級があり、最も易しい3級の合格に必要な勉強時間は45~60時間程度といわれています。最難関の1級では約250時間の勉強が必要と言われていますが、コンプライアンスが厳しく問われるポジションの採用には有利に働く可能性が高い資格です。

ITパスポート

ITパスポートはITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。AI、ビッグデータ、IoTなどの新しい技術に関する知識をはじめ、IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識、経営全般の知識など幅広い分野がカバーされており、IT専門職をこれから目指す人やIT関連職以外の人が入門として受けるのにおすすめです。勉強時間は約180時間程度とされています。

MOS

MOS(マイクロオフィススペシャリスト)はOAスキルがあることをアピールできる資格で、試験内容はExcelやWord、Powerpoint、Access、Outlookなどのツールの操作方法の理解を求めるものです。この資格はこれまで業務上PCを使う機会が少なかった方や専門システム以外使う機会がない人がオフィスワークに転職する際に取得しておきたい資格であると言えます。一般レベルと上級レベルの2種類がありますが、一般レベルでは約40~80時間の勉強で取得可能といわれています。

統計検定

統計検定とは「データを解析し、そのデータがどのようなものかを説明する統計手法」についての知識を認定する資格です。統計は近年注目されているデータサイエンスや、AIを使った分析でも基礎となる知識にですし、データに基づいた論理的な意思決定は今後ますます重要となってくるため、様々な職種の業務に生かすことができる知識が身につきます。企画職やコンサルタントを目指す方や、文系の人にもおすすめの資格です。統計検定は4級から1級まであり、最も易しい4級の勉強時間は約20時間、最も難しい1級で約300時間程度と言われています。

TOEIC

TOEIC(L&R)は英語コミュニケーションのスキルをはかる資格です。試験はリスニングとリーディングの2部で構成されています。合格不合格の判別はなく、そのテストのスコア(10~990点)によって英語のスキルのレベルの証明が可能となります。一般的に、TOEIC~500点は初級レベル、600~700点は読み書きが可能なレベル、700~990点はビジネス使用可能レベルとされています。英語初学者がTOEIC600点を取得するには約450~700時間の勉強時間が必要と言われています。

英語を使用する仕事の求人については、求められる英語スキルの目安をTOEICスコアで表記する求人が多いので、英語を使う仕事をしたい人は転職活動前に受けておくと良いでしょう。また海外勤務や管理職登用の条件にTOEICスコアを設定する企業もあるため、転職活動以外の用途でも取得メリットがある資格と言えるでしょう

中小企業診断士

中小企業診断士は経営コンサルタントとして求められる知識の証明をする国家資格です。試験範囲は経済学、財務会計、経営理論、情報システムなど幅広く、取得するのに約1,000時間の勉強が必要といわれている難易度の高い資格です。経営コンサルタントを目指す人のほか、新規事業開発や起業を志す人が学ぶのに適した資格と言えるでしょう。

職種別に有利になる資格は異なる

働きながらの資格取得は言うまでもなく、大きな負担がかかります。資格取得に力がかかりすぎて本業で高いパフォーマンスを発揮できなければ、転職活動を有利に運ぶどことろか、逆に不利に陥ってしまいかねません。本業でパフォーマンスを上げている前提の下、資格も有していることが転職活動でのアピールになりますので、その前提が抜け落ちないように注意して資格取得に取り組むようにしましょう。

次の章では職種別に有利になる資格を解説しますので、いま就いている仕事で専門性を高めていきたい、あるいは専門性を有する職種へのキャリアチェンジを希望する方の場合、自分が専門性を高めたい職種と照らし合わせながら取得資格を検討してみてください。

マーケティング

現在、マーケティングの仕事に就いている、あるいはマーケティングへのキャリアチェンジを検討している場合、以下の資格の取得がおすすめです。

Google広告認定試験

Google広告認定試験はGoogleが定めたプロフェッショナルの認定基準を満たす個人に対して、授与される資格です。資格取得者は、Google広告に関する基礎から上級レベルまで、幅広い知識を有していることを応募先の企業やクライアントにアピールできるでしょう。Google広告認定試験は現在、下記の6分野が実施されています。

Google広告認定試験

・Google 広告の検索広告
・ディスプレイ広告
・動画広告
・ショッピング広告
・Google 広告アプリ
・Google 広告測定

上記は各キャンペーンの特性を正しく理解し測定や分析を行いつつ、戦略立てて運用を最適化していく能力を証明する認定資格であり、6分野すべての認定資格を取得しておく必要はありません。ただし、Google広告のエキスパートとして面接官やクライアントにアピールする場合、取得分野の数は多いほうが説得力は増すでしょう。また、これらの各認定資格は、Googleのスキルショップにて無料で取得が可能です。

Google広告認定試験はまず取得したい分野の理解度チェックを行い、結果を踏まえつつ学習パートで正しい知識を身につけていく流れが一般的で、最後に75分の理解度テストで合格すれば、晴れて認定資格の取得者となります。尚、最初の理解度チェックで十分な知識が身についていると実感した場合は、学習パートを省略して受験に進むことも可能です。

Google広告認定試験は一度不合格となっても、24時間待てば再度受験を許可されるため、比較的取得しやすい資格の一つと言えるでしょう。また、認定資格の有効期限は1年間と定められており、資格保有の維持を希望する場合は、更新したい分野の理解度テストに再度合格する必要があります。

ウェブ解析士

ウェブ解析士はアクセス解析など正しいウェブ解析を行い、データをデジタルマーケティングに役立てられる能力を証明する資格です。資格取得者はデータの解析に留まらず、事業の成果に結びつけるための行動や判断ができることもアピールがしやすくなります。協会公式サイトによると、ウェブ解析士は48,000人以上の受講実績がある認知度の高い資格です。更に上位の資格として上級ウェブ解析士やウェブ解析士マスターも設置されており、資格取得後もステップアップを目指せます。

資格取得までの基本的な流れは、公式テキストの購入、講座受講の後に資格試験です。講座は任意のため、すでに独学である程度学んでいるのであれば、資格試験のみを申し込むこともできます。試験合格者は2週間以内に認定レポートを提出し、合格が認められればウェブ解析士の資格が授与されます。

試験や認定レポートが不合格となった場合は、1日後に再挑戦できる仕組みです。また、認定レポートでつまずいている受験者はGoogleアナリティクス講座(UA)を受講し、修了証を提出することで免除を受ける方法もあります。ウェブ解析士の資格の有効期限は1年間で、翌年度も保有したい場合は、フォローアップテストの合格と所定の年会費が必要です。

Webアナリスト検定

Webアナリスト検定は、一般社団法人日本Web協会(JWA)の運営する認定試験です。基本的なWebマーケティングに関する知識を問う試験で、これからWebマーケティングに携わる方やWebマーケティングに関する基本的な知識を得たいという方向けの資格となります。

GAIQ(Googleアナリティクス個人認定資格)

GAIQとは、Google Analytics Individual Qualification の略で、Googleアナリティクスの機能や技術、活用法など習熟度を認定する資格です。Google アナリティクス はGoogle社が提供するアクセス解析ツールで、WEBサイトにアクセスするユーザーの流入経路や性別、年代などの利用状況が可視化できます。これらの分析をもとにWebサイトをより良く改善でき、GAIQはWEBマーケティングにおける役に立つ資格の1つと言えるでしょう。

IMA検定

IMA検定とは、Internet Marketing Analystの略で一般社団法人IMA研究所が運営しており、実務スキルを重視した民間資格となります。そのため、IMA検定では、単に暗記した知識を確認する試験ではなく、学習するカリキュラムと試験を合わせて1つの検定という形式となっております。さらに試験については、実務環境に近い形を想定し、試験中であってもカリキュラムやテキスト、検索エンジンを利用して調べても問題ありません。

IMA検定では、「Standardコース」と「Professionalコース」の2つのコースがあり、「Standardコース」に合格すれば、「Professionalコース」を受講できます。「Standardコース」では、マーケティング概論やアクセス解析、サイト集客など基礎的なマーケティングの実務スキルを学習できます。「Professionalコース」では、潜在層の認知獲得やKPI管理、広告プランニングなどWebマーケティングに関する総合的なスキルが学習できます。

SEO検定

SEO検定は、一般社団法人全日本SEO協会が運営している検定となり、Webサイトやブログを運営する人にとって、。SEO検定には、4級から1級まで知識レベルに合わせて4段階の検定があります。4級から1級までの検定で内容について解説します。

SEO検定のレベルについて

・4級
「SEOとはなにか」といったような基礎的な内容や最低限の知識が求められ、初めてSEO対策について学ぶ人向けの試験となっております。

・3級
4級で学んだ基本的な知識を前提に、より実践的なSEO対策の手法について問われる試験となります。SEO対策として重要なキーワード選定やGoogleのアルゴリズムの仕組み、検索順位が上がるようなサイト内部改善を中心に学べます。

・2級
実際に検索エンジンに高く評価されるコンテンツの制作方法や効果的な被リンクの獲得方法、ソーシャルメディアがSEOに与える影響について学べます。またサイトの効果測定や競合調査など実務に近い知識が必要となります。

・1級
最も難しい1級では、状況に適したモバイルSEOやナショナル・ローカルSEOなどについて学びます。ナショナルSEOは、全国で検索エンジンの上位表示するためのSEOで、ローカルSEOは、ある地域での検索を集めるためのSEOです。1級を取得すれば、企業のSEO対策の責任者やSEOコンサルぐらいの知識は得られるでしょう。

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人事労務

人事や労務として働きたいと考えている方は、業務内容に特化した資格がおすすめです。業務に直結する資格のほか、メンタルヘルス関連の資格を取得しておくことで、離職率低減などに貢献できる素養があることをPRするのも良いでしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士は社会保険労務士法に基づく国家資格です。労働に関する法令や労務管理、社会保険や年金などの専門家で、人事領域において最も難易度の高い資格の一つといえるでしょう(毎年4万名程度が受験し、合格率は6~7%)。その専門性は高く、社会保険労務士の資格を取得することで労働に関する法令や労務トラブルなどに関する幅広い知見を得ることができ、就業規則など社内規程の整備やトラブルに対する適切な対応などができるようになります。

また、業務範囲を広げることで、人事評価制度に関するコンサルティングや株式上場準備における労務管理体制整備のコンサルティングなど、さらに専門性を高めることもできます。独立することもできる資格ですから、企業への転職だけでなく独立も含めてキャリアアップの選択肢を増やすことができる、大変有益な資格だといえるでしょう。

メンタルヘルスマネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定は、働く人たちの心の健康管理(メンタルヘルス・マネジメント)に関する知識や対処方法について理解を深めるための試験です。近年、従業員のメンタルヘルスケアは企業にとってとても重要な課題となっており、この領域に取り組むことは社員が健康で持続可能な生活を送ることができるようになるだけでなく、会社にとっても離職率の低下や人的資源の活性化、ひいては生産性の向上などの効果が期待できるものとなっています。検定にはⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種があり、人事の仕事に就いている方には、ぜひ最も高度なⅠ種の取得を目指してほしいところです。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは国家資格として2016年4月に創設され、試験に合格後も5年ごとに更新していく資格になります。キャリアコンサルタントは名前の通り、キャリア支援に役立つ知見を体系的に学べる資格であり、事業会社人事、大学・専門学校の就職支援課、人材紹介のキャリアアドバイザー、人材派遣事業会社のコーディネーターなどキャリア支援に関わる仕事に携わる場合には多いに役立つことでしょう。また、このような業種だけに限らず、マネジメントのシーンでも役立つ要素もあり、そのような意味で汎用性が高い資格の一つといえます。キャリアコンサルタント資格取得のための勉強時間は、養成講座を150時間受講する他、学科試験への対策が100~200時間程度です。

2022年に「雇用保険等の一部を改正する法律案」の成立に伴い、職業能力開発促進法が改正され、事業会社内でのキャリアコンサルティング機会の確保が強化されるといった動きもあり、キャリアコンサルタントの資格は今後さらに転職市場で評価される資格になることが見込まれます。

GCDF(Global Career Development Facilitator)

GCDF(Global Career Development Facilitator)は特定非営利活動法人キャリアカウンセリング協会が運営する国際的なキャリアカウンセラー基礎能力を認定する資格です。日本、アメリカ、カナダ、中国、韓国、台湾、ドイツ、シンガポール、香港、ギリシャ、ニュージーランドなど世界16か国で採用されている資格であることはご紹介した他の資格との大きな違いといえるでしょう。

GCDFの取得に際してはGCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングを受講の上でキャリアカウンセリング協会実力判定試験に合格する、あるいはGCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングを受講し、キャリアコンサルタント国家資格に合格することが要件となります。GCDFもキャリアコンサルタントと同様に、3年ごとに更新が必要となります。

ITエンジニア

ITエンジニアとしての転職を検討している場合、技術・知識のいずれもアピールできるような資格を持っていると、即戦力として判断されやすくなり、採用チャンスも高まります。

基本情報技術者

基本情報技術者はITエンジニアとして技術やITの基礎が学べる定番的な資格であり、情報処理に関する業務を行うビジネスパーソンの技術向上に資するために経済産業大臣が行っている国家資格になります。システムエンジニア、プログラマーなど、ITエンジニアが共通して理解しておくべき基本的な知識を体系的に学習することができる資格であり、ITエンジニアとしてキャリアチェンジをされたい方などは取得を検討されてみると良いでしょう。

応用情報技術者

応用情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(略称:IPA)が運営する国家資格です。試験の出題範囲が基本情報技術者と似ておりますが、技術的なことだけでなく、経営戦略やマネジメントに関する問題もあります。基本的なITエンジニアとしての知識からワンランク上のITエンジニアを目指す方にとって適した資格と言えるでしょう。

情報セキュリティマネジメント

情報セキュリティマネジメント試験は、独立行政法人情報処理推進機構(略称:IPA)が運営する国家資格です。情報漏洩やサーバー攻撃、内部不正などのリスクに対応する情報セキュリティマネジメントができる人材育成のために設立されました。資格としての位置づけとしては、ITパスポート資格より専門性があり、これから情報セキュリティに特化した専門的な知識を身に付けるという方や企業の情報セキュリティ担当者やセキュリティエンジニアを目指す方にお勧めの資格です。逆にITエンジニア経験者にとっては、少し易しい試験資格とも言えるでしょう。

情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士は最新のセキュリティに精通したことを示すことができる資格であり、独立行政法人情報処理推進機構(略称:IPA)が運営する国家資格であり、IT系の資格で唯一の「士業」となります。もともと情報セキュリティスペシャリストという資格がありましたが、2017年より制度が変更となり、情報処理安全確保支援士試験となりました。サイバーセキュリティに関する専門的な知識・スキルが求められる資格で、セキュリティエンジニアやセキュリティコンサルタントを目指している方に適している資格となります。情報処理安全確保支援士は、試験に合格をした後、登録申請をする必要があります。

会社経営において情報漏洩は致命傷となりかねない時代であり、また近年ではサイバーテロなどが横行する中、情報セキュリティに関する関心はますます高まりをみせています。そのような時代背景もある中、ITに関わる仕事に就く方でこのような資格を取得しておくのは転職市場でも評価がされやすくなるでしょう。

個人情報保護士

個人情報保護士は、個人情報の適切な取り扱いと保護に関する資格であり、Pマーク、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)、マイナンバーなど広範囲な知識について問われる資格になります。個人情報の取り扱いが厳格になる中、社内SE等の役割の方に個人情報をはじめとした情報漏洩リスクに関して取り組みを強化するように求められる機会は増えるでしょう。

個人情報保護士は試験会場での受験の他、オンラインでも受験が可能であり、また約15~25時間の勉強で取得可能といわれております。比較的少ない労力で取得可能な資格と言える中、個人情報等の情報管理が重要になる業種などでアピールできる資格が欲しいときの選択肢として検討してみてください。

経理財務

経理財務の方ための資格は複数ありますが、上記に挙げた簿記以外は難易度が高く、仕事をしながら短期的に取得するのが困難なものが多く含まれます。勉強時間の配分やかかるコストについてきちんとリサーチして、計画的に勉強を進めましょう。

簿記

簿記は会計や財務の知識を得られる資格の一つです。経理財務をはじめとした会計に関わる仕事の方は簿記を取得しておくことが評価に直結する資格ではありますが、会計は全てのビジネスの共通言語であり、業種や職種問わず取得頂いても損はない資格といえるでしょう。

簿記を学び、財務諸表や決算報告書が読めるようになることで自社や競合他社の経営状況がわかるようになったり、取引先の与信管理に繋げられたりと、さまざまな場面で重宝する知識が身につきます。簿記資格の中で最も知名度が高い日商簿記は1級~3級まであり、最も易しい3級に求められる勉強時間は約100時間と言われています。

税理士 

経理財務の領域でキャリアアップを目指す方の多くが取り組む資格のひとつとして、税理士資格があります。税理士試験はその名の通り税理士の資格を得るための試験ですが、必ずしも税理士を目指す方しか受験しないというわけではありません。その理由は税理士試験特有の試験制度にあります。税理士試験はいわゆる科目合格制という仕組みになっていて、「簿記論」「財務諸表論」「法人税法」など科目単位で取り組むことが可能です。

多くの企業において、税務に関わる業務(税務申告書の作成や税金計算など)は外部の顧問税理士に任せているということが多いです。それが悪い訳でないのですが、将来発生する税金のことも考慮した事業計画を作ったり長期で税負担を軽減するような方法を模索するようなことを社内でできれば、それはその企業にとって強みとなります。税務の専門知識を持っている経理財務は大変貴重なので、その能力をアピールすることができれば転職市場においてとても有利です。

公認会計士 

公認会計士の資格を得るには試験に合格するだけではなく監査法人での実務経験も求められていることもあり、公認会計士は一般に監査法人で働くことが多いです。しかし実は、事業会社にも多くの採用ニーズがあります。一定規模以上の企業には会計の専門知識が求められる場面が多々あり、その対応は企業価値に直結します。つまり経営陣にとって、会計はおろそかにできないどころか経営の最重要ファクターとも言えるということです。そんな会計の専門家である公認会計士を社内に置きたいと考えている事業会社は当然ながら多く、慢性的に不足しているとも言われていることから転職市場では非常に需要の高い状態にあります。

公認会計士試験はとても難易度の高いものですが、経理財務の実務経験のある方にとってはとっつきやすいとも言えるかもしれません。勇気を出してチャレンジしてみるのもよいのではないでしょうか。

USCPA

USCPAとはU.S. Certified Public Accountantの略で米国公認会計士資格のことを指します。

日本の公認会計士資格はおおよそ3000~5000時間の勉強時間が必要とされており、USCPAは、一般的に1000~1500時間の勉強時間が必要と言われております。そのため、日本の公認会計士資格より試験の難易度としては、低いと考えてもよいでしょう。USCPAはグローバル社会において最も知られている資格の1つであり、グローバル企業の経理・財務に携わる方にとって評価される資格の1つとなります。

法務 

法務分野は有資格者でなければできない業務独占資格が多い領域です。つまり特定の資格を取得していなければ、行うことが法的に禁止されている業務が法務業務には多く含まれるのです。そのため法務として転職する際には、弁護士事務所や司法書士事務所だけでなく一般法人であっても、これらの資格保有していることは非常に有利に働きます。

司法書士

司法書士は法律に関する国家資格であり、司法書士でなければできない業務が国から定められております。具体的には不動産登記、会社登記、簡易裁判所での訴訟代理、成年後見人業務、相続関連など多岐に渡ります。

一般的に司法書士資格を取得者は、まず補助者として司法書士事務所に就職して経験を積み、実務を学び、将来的に独立開業するという方が一般的な流れです。一方で、近年は、会社法を専門的に学習しているため、一般企業の法務部や総務部などにおいて、契約書の管理や専門書類の作成を取り扱う人材として勤務される方や企業法務に関するコンサルティング業務を行う方もいます。

行政書士

行政書士は、行政書士法に基づく国家資格で、行政への許認可申請のための書類作成や官公署向けの書類に関する相談など行政手続に関する専門家です。具体的には飲食店など開業するときの手続きや助成金や補助金の申請など主に中小企業のサポートをする役割があります。行政書士が官公庁へ提出可能な許認可等の書類は1万種類以上あると言われており、業務範囲は広範となります。

司法書士と行政書士について、業務範囲は近しいものの、司法書士の方が高度な専門性を求められます。一般企業においては、司法書士同様に法律に関わる部署でのお仕事に活かすことができますが、司法書士と比較した際には見劣りしてしまうのは否めません。

弁理士

弁理士は、特許権や意匠権、商標権など知的財産関連の専門家であり、産業財産権の取得や産業財産権の紛争解決を行うことができる国家資格です。産業財産権の取得については、弁理士の独占業務となります。弁理士は、特許事務所などはもちろん、一般企業から大学や研究機関など幅広い分野において需要のある資格となります。

弁理士は法律に関わる仕事ではありますが、7割以上が理系出身者となります。というのも弁理士の主要業務である特許出願書類の作成をする際に最先端の科学技術が用いられているものが多く、依頼元の発明した技術の理解をするためには理系の知識が必要になるためです。高い技術的知見を持つ弁理士資格所有者は特許事務所のほか、最先端の科学技術を扱う大手製造業で活躍されることが多いです。

多忙なビジネスパーソンが転職活動を有利に進めるために

ビジネスパーソンとして第一線で活躍されている方ほど、なかなか転職活動に十分な時間を割けないという方も多いでしょう。このような多忙なビジネスパーソンは現職でのパフォーマンスを落とすことなく、効率的に情報収集を行う必要があります。こちらではこのような方の転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します

スカウトサイトを活用した転職活動

一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)」「エンミドルの転職」などが挙げられます。このような転職プラットフォーム市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズ市場(現東証グロース市場)にも上場を果たしています。

これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。どのような企業がこれまでの経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう

転職エージェントを活用した転職活動

前述の様な転職プラットフォームサービスの台頭はあるものの、まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。

転職エージェントは国内に数万社あり、特定職種に強みを有する転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。

最後に

転職において資格の取得をしておくことは有利になります。とはいえ、どのような資格を選んでもいいわけではなく、希望するポジションで求められるスキルや知識を想像したうえで、持っていると強みになる資格を選択する必要があります。今回ご紹介した資格を参考にしながら、ご自身の理想とするキャリアプランと照らし合わせて、自己研鑽に励むためのヒントにしていただけたら幸いです。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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