ITで会社経営を支える社内SE(情報システム部門)への転職を解説!

SIer、フリーランスなどで働くITエンジニアの中で、事業会社の社内SE(情報システム部門)への転職を希望する方は一定数おられるでしょう。今回はそのような社内SEへの転職を目指す方、さらには社内SEとしてキャリアップしていくために必要なことについて解説していきます。

目次

社内SEとは

社内SEと一言にいっても転職する事業会社の組織運営の形態、ビジネスモデルにより、期待される役割、ミッションは異なります。こちらでは社内SEが一般的に期待される役割、ミッションについて解説していきます。

基幹システムの開発・保守運用

基幹システム(企業がビジネスを遂行するために必須である業務管理するためのシステムであり、発注管理や販売管理、生産管理、在庫管理、会計管理などを効率化する機能を担う)の開発・運用保守は社内SEの中でも重要なミッションの一つでしょう。

取引先などの顧客情報、社内の業務プロセスの可視化を進めるためにこのような基幹システムは欠かせません。このような基幹システムの新規導入あるいはリプレイス(新規システムへの入れ替え)の際には、社内SEが旗振り役として推進していくことが一般的です。具体的には予算策定、SIer選定、要件定義、プロジェクトマネジメント、さらには導入後の運用保守、あるいは機能追加など、事業運営を滞りなく進めるための各種業務が想定されます。

事業会社の規模にもよりますが、基幹システム新規導入のようなプロジェクトの予算は数千万円~数億円規模に上ることも珍しくありません。このようなプロジェクトを成功におさめるか否かは、会社経営を左右する重要な仕事です。その分、社内SEとして会社経営を支える実感を持てるのではないでしょうか。

尚、基幹システムを導入する予算がとれない事業会社の場合、例えば会計領域であれば「マネーフォワード」「freee」などのようなクラウドツールを導入するケースが多いですが、そのようなツールの選定に社内SEが関わることも多いです。

社内インフラ運用

社内SEは基幹システムの管理だけでなく、それらが問題なく利用できるようにネットワークやサーバーなどインフラ面の整備、トラブルシューティングなども期待される役割の一つです。例えばメールサーバーをはじめとしたサーバーの運用保守の他、セキュリティや通信環境などを配慮した上での通信機器の選定・設置などが具体的な業務として挙げられます。

特にサーバーはこの数年で「AWS(Amazon Web Service)」などをはじめとしたクラウドに移行しており、今の段階で物理サーバーにて運用をしている事業会社の場合、クラウドへの移行が社内SEのミッションとなるケースもあるかと思います。

情報セキュリティ対策・リスクマネジメント

情報漏洩が経営危機を招きうる昨今において、情報セキュリティ対策・リスクマネジメントは社内SEの中でも最も重要な役割の一つです。具体的には「個人情報保護法」「ISMS(Information Security Management System)」などの基準を踏まえ、事業を運営する上でリスクに当たる部分に施策を打っていく他、サイバーテロによる情報漏洩の罠を回避するための社内教育など、幅広い業務範囲が想定されるでしょう。

ヘルプデスク

会社で支給されるパソコン、スマートフォンのセットアップ、トラブル対応なども社内SEの役割の一つです。リース契約などをしている場合には契約を司る総務部門がやり取りをする場合もありますが、動作不良などの場合にはまず社内SEを社内の問い合わせ窓口に置くことが一般的です。

社内SEの魅力

ここまで社内SEの役割について解説してきました。こちらでは社内SEの仕事の魅力について解説していきますので、是非社内SEの仕事のイメージをつかむご参考にして頂ければと思います。

会社を支えている実感

先に挙げたような基幹システムの新規導入・リプレイスのようなプロジェクトは、数年がかりになることが多いですが、システムの導入前後で会社に大きな変化をもたらせる仕事でもあり、社内SEにとって会社を支えている実感というのは特に大きく感じられるでしょう。

あるいはセキュリティ対策、リスクマネジメントは地道な仕事ではありつつ、トラブルが起こってからでは取り返しがつかない分野でもあり、専門性を駆使し、トラブルを未然に防ぐための施策を講じることも、基幹システム導入とは違う感覚ではあるものの、会社を支えている実感を持てるのではないでしょうか。

ユーザーとの距離

プロジェクト単位で客先の業務を遂行するSIerのエンジニアの場合、プロジェクト完了後はユーザーがどのように構築したシステムを使っているのかが見えないことに物足りなさを感じる人も少なくないのではないでしょうか。もっとユーザーに近い距離で仕事をしたいという思いから、社内SEへの転職を目指す人も多いです。

労働環境

社内SEの魅力としては労働環境も挙げられるでしょう。具体的には「勤務地」「労働時間」の2つにおいて魅力に思い、社内SEへの転職を目指す方も少なくありません。SIerの中でもとりわけ客先常駐が多いSESで業務をされている方からすると、顧客の事情により、勤務地が短期間で変わるということも珍しくないでしょう。また、2次請け、3次請けなどの立ち位置にあるSIerで就業されている方の場合、納期に追われて労働時間が膨らむという経験をされた方も多いかと思います。

若手の頃は色んな技術やプロジェクトに触れたいという思いでSIerに就職し、何とか遠方の勤務地や長時間労働もやり切ってこられたものの、ご家庭を持たれるなどライフイベントを機に、なかなか両立が難しいという思いから社内SEを目指すというケースが多いです。

社内SEへの転職難易度

これまで社内SEの役割、魅力について解説をしてきましたが、このような社内SEの転職は簡単にできるものでしょうか。人材難が謳われる昨今ではあるものの、転職市場における社内SE求人の人気は高く、高い競争率になっていることが多い中、転職難易度は決して低いとは言い難いというのが実態です。

社内SEの有効求人倍率は求人サイト、転職エージェントにより様々ですが、概ね5~10倍になります。営業職が1.5~3倍であることを鑑みると、競争率の高さについて理解して頂けるのではないかと思います。その中でも大手企業の社内SE求人、基幹システムのリプレイスなどの大型ミッションを期待される社内SE求人は、さらに高い競争率となるでしょう。

また、20代であれば知見の浅い分野があってもキャッチアップできるであろうという伸びしろを前提として採用されることもありますが、30~40代に差し掛かると広範囲な知見、マネジメント経験なども期待される中、高い採用基準もハードルとなり、転職活動が難航するというケースも珍しくありません。

社内SEへの転職で評価されるポイント

ではこのような競争率の高い社内SE求人に内定する人の特徴、転職市場で評価される経験・スキルについて解説していきます。

ITにおける広範囲な知見

前述の通り、業務細分化が進む大手企業でもない限り、社内SEの業務は多岐に渡ります。SIerにて就業されていた方が、実務を通じて社内SEに求められる広範囲な知見を身に着けることはなかなか難しいでしょう。しかしながら、社内SEに応募する多くの方がそのような条件に該当するケースが多いため、自分の専門外の領域の知見については資格取得の勉強により、あるいは副業により身に着けていることは大きなアドバンテージとなります。

尚、社内SEへの転職に向けて役立つ資格としては「基本情報技術者試験」「情報セキュリティマネジメント試験」「応用情報技術者試験」「ネットワークスペシャリスト試験」「情報処理安全確保支援士」の他、会社経営の全体像を理解するという意味では「中小企業診断士」なども有利にはたらく資格といえるでしょう。

特定業界の知見

応募する社内SE求人の会社が展開される事業、業界慣習に精通している場合には、それをアピールしない手はありません。例えば小売企業の社内SE求人を応募する際に、これまで手掛けたプロジェクトで小売業、あるいはそれに近い業種(小売業と密接に関わる卸業、店舗を有して展開する事業など)での開発経験がある場合には必ず伝えるようにしましょう。

ビジネスモデルや商慣習を理解しているかどうかは、社内SEとして会社を支えていく上で非常に重要です。例えば一般的な仕様の会計システムを導入したとしても、業界特有のイレギュラーが頻発する場合、それに合わせたカスタマイズが求められるケースもあります。社内SEは汎用的な仕事を求められている訳ではなく、ユーザーとなる管理部門、事業部門が円滑に業務を遂行できる体制構築に向けて最善を尽くすことが重要となる中、応募する企業の業界の知見、現場理解があることは有利にはたらくので覚えておくと良いでしょう。

プロジェクトマネジメント力

例えば基幹システムの新規導入などの際に、社内SEはSIerをはじめとした外部事業者との折衝だけでなく、自社の経営陣、事業部門、管理部門など部門横断的な社内折衝が必要となります。このような多くのステークホルダーを巻き込みながらプロジェクトを遂行していくことは、かなりタフネスさが必要な業務となります。ステークホルダーの多いプロジェクトなどの経験がある場合には、併せてアピールしていくと良いでしょう。

社内SEへの転職に向けて

こちらでは社内SEへの転職に向けてのポイントについて解説します。多くのビジネスパーソンが多忙である中、現職のパフォーマンスを落とさないよう、効率的に情報収集を行う必要があるでしょう。こちらでは転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します。

スカウトサイトを活用した転職活動

一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「エンミドルの転職」などが挙げられます。このような転職プラットフォーム市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズ(現東証グロース)にも上場を果たしています。

これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。このようなプラットフォームに「社内SEとしての就業を希望」等の希望条件の記載をしておくと、必然的にそのような情報が集まりやすくなるでしょう。

また、どのような企業がこれまでの経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。

転職エージェントを活用した転職活動

前述の様な転職プラットフォームサービスの台頭はあるものの、まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。

転職エージェントは国内に数万社あり、社内SEをはじめとしたエンジニアに特化した転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。

まとめ

今回は社内SEの役割、求人倍率、転職活動でアピールすべきことなどについて解説しました。今、社内SEとしての経験・スキルが不足していると感じられた方は、まずは資格取得に向けた勉強、今手掛けられているプロジェクトをより円滑に進められるための工夫ができないかなどあらためて振り返ってみてください。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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