社労士(社会保険労務士)資格は、人事労務分野で高い専門性を証明する国家資格であり、資格取得における難易度も決して易しいものではありません。それでは社労士資格を取得することで、転職市場において有利に働くのか、また社労士資格を取得することで描けるキャリアパスなどについて解説します。
社労士とは
社労士(社会保険労務士)資格は労働保険や社会保険の手続きを代行することができる専門家に与えられる国家資格です。社労士事務所、事業会社人事、人材コンサルティング会社などでのニーズが高く、専門的な知識と技能が求められます。
社労士試験は年1回で、毎年8月の第4日曜日に行われます。以下の範囲の内容が出題され、各科目のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格となります。
労働基準法及び労働安全衛生法
労働者災害補償保険法
雇用保険法
労務管理その他の労働に関する一般常識
社会保険に関する一般常識
健康保険法
厚生年金保険法
国民年金法
また、社労士試験の合格率はおおよそ10%前後であり、決して易しい資格とは言い難いでしょう。また、人事労務に関わる法改正などへの対応も求められるため、継続的な学習が求められます。
社労士資格取得で描けるキャリアパス
社労士資格はここまでご紹介の通り、合格難易度の高い資格であり、合格することができれば転職市場での価値は高まるでしょう。それでは、社労士資格を取得することでどのような選択肢が持て得るのか解説します。
社労士事務所
社労士を取得した上でのキャリアの第一歩としては社労士事務所が挙げられます。社労士事務所は社労士資格を取得する過程で学んだ知識をダイレクトに活かせる機会が多く、社労士の資格を活かす転職先候補としては第一想起しやすい選択肢といえるでしょう。
また、社労士事務所は大手社労士法人でなければ、社労士資格を取得していなくとも就業は可能であり、社労士事務所で勤務の上、実務と並行しながら勉強を重ね、資格取得を目指すケースも多いです。
事業会社人事
大手・中堅企業から中小企業まで、多くの会社の人事労務部門では社労士の資格を持つ人材を求めています。給与計算、社会保険手続きなどの人事労務実務だけではなく、法改正に伴う規定作成、IPO(新規株式上場)を目指す会社においては労務監査基準に耐えうる体制整備などの機会もあるでしょう。
事業会社の場合、事業フェーズや従業員規模などにより、期待されることは異なるので、就職先候補として情報収集をする際にはその前提を理解の上で転職活動にのぞまれるとよいでしょう。
コンサルティングファーム
社労士の資格を活かし、コンサルティングの仕事に携わるというのも選択肢の一つです。このようなコンサルティングファームは人事労務に特化したファーム、あるいは人事労務に限定せず、人事領域に関して幅広くコンサルティングを行うファームもあります。コンサルティングファームを選択する場合には、そのような特性も踏まえて選択するようにするとよいでしょう。
公的機関
ハローワーク、年金事務所などの公的機関においても社労士の資格が活かせます。具体的には社会保険や雇用保険に関する業務、労働相談などで社労士資格取得の過程で学んだ知見を活かせるシーンは多いでしょう。
資格スクール
社労士試験を合格した経験を活かし、資格スクールなどにて社労士の資格取得を目指す受験生への講師、あるいはサポート業務などに携わる選択肢もあります。合格率が決して高くない資格であるが故、合格者の経験を期待する方は多いですし、同じ経験をしたからこそ支えになれるというやりがいも感じられるでしょう。
独立起業
社労士資格を活かし、独立起業することも可能です。多くの場合は社労士事務所や事業会社人事などの経験、培った人脈を生かす形で社労士事務所を開設することが一般的といえるでしょう。また、事業会社人事として広範囲な業務を経験されている方の場合には人事コンサルタントとして独立起業し、労務に限定せず、人事に関わる広範囲な課題解決を行うというケースもあります。
最後に
社労士資格は転職市場において有利に働くことが期待される国家資格です。試験の難易度は高いものの、取得後のキャリアパスは広がり、社労士事務所や事業会社人事など人に関わるあらゆる職種で専門性を発揮できるでしょう。ぜひ今回の記事をご参考頂き、社労士取得後のキャリア選択に役立ててください。