最終面接(役員面接)とそれまでの面接との違い・通過率をふまえて解説!

転職活動をしている方にとって、とくに緊張するのが最終面接ではないでしょうか。役員の方を前にして面接を行う・合否が決まるということもあり、それまでの面接以上にプレッシャーを感じる方は少なくないでしょう。

緊張で最終面接に失敗してしまうのは回避したいですし、そのためにもきちんと事前に最終面接への理解を深め、適切に準備を進めておく必要があります。そこで、今回は最終面接とそれまでの面接との違い、最終面接の通過率、最終面接で多い質問・回答例などについて解説します。

目次

最終面接(役員面接)と、それまでの面接との違い

最終面接(役員面接)とは、選考における最終段階のことです。一次面接、二次面接では、おもにスキルやこれまでの経験などを中心に確認していく一方、最終面接は長期的なキャリアビジョンやポテンシャル、入社意欲などについて確認をしていきます。

また、一次面接、二次面接はおもに配属後に一緒に働く上司や人事の担当者が行いますが、最終面接では役員もしくは経営者などの重役が行うのが一般的です。採用するか否かの最終確認のようなイメージであり、これまでの面接以上にしっかりと事前準備や対策を練っておく必要があるでしょう。

最終面接(役員面接)の通過率とは

最終面接には大きく分けて2通りあります。ほぼ選考要素がなく、経営陣と候補者の顔合わせや候補者の意向醸成を目的とする「顔合わせ型」に対して、選考要素があり、他の候補者と比較や選抜が行われる「最終選考型」です。

最終面接の通過率は企業によって差があるものの、一般的には30~50%です。最終面接には、「顔合わせ型」「最終選考型」の2パターンがあり、それぞれを併せた通過率は50%程度です。しかし、応募者の人数と採用人数の関係や、企業規模によっては、30%にまで下がることも少なくありません。「最終面接で落ちることは少ない」といった先入観で臨むと、気のゆるみが出てしまうことがあるので気をつけましょう。

ただ、一次面接や二次面接と比べると、最終面接の通過率は高めです。一次面接の通過率は20~40%、二次面接が20~50%であるため、最終面接に向けて事前対策がきちんとできていれば採用のチャンスは高くなるでしょう。

最終面接(役員面接)で多い質問と回答例

最終面接に臨むにあたり、知っておきたいのが「よく問われる質問」と「質問に対する回答例」です。相手の質問の意図をくみ取り、適切に答える必要がある中、具体的にどのような質問をされることが多いのか、どう答えればいいのかを見ていきましょう。

数年後のキャリアビジョンについて教えてください

最終面接でよく聞かれるのが、数年後にどのような仕事をしていたいかといった長期的なプランを問う質問です。注意しなければならないのが、その会社・その面接官にはどのようなスパンでのキャリアを構築することを想定されているのかを把握することです。

スタートアップ企業や外資系の企業で中途採用の転職者に求められるのは即戦力であることが多いため、早期に一人前のパフォーマンスを発揮する意欲を示すことが肝要ですが、大手の日系製造業に転職する場合や、第二新卒で転職する場合は、もっと長期的なキャリアパスが想定されていることもあります。面接官の時間感覚と自分の意気込みがズレないように回答しましょう。

回答例

「営業としてこれまでの経験を活かし、御社の○○商材の販売に真摯に取り組んだうえで、1年後はさらにさまざまなアプローチで新たな販路を増やしていきながら実績を積み、3年後には部内で指導的な立場をとり、新たに営業部に配属された新人教育やマネジメントに関わっていきたいと思っています」

募集職種に関連する仕事内容を回答するのはもちろんのこと、プラスαで具体的な内容を回答できると働く意欲をアピールしやすくなるでしょう。

同業他社ではなく当社を志望した理由について教えてください

他にも同業他社が存在する中で、なぜ自社を志望したのかは上層部が気になるポイントです。印象の良い回答のためには、その会社ならではの良さにフォーカスすることが大切です。事前に企業のホームページやSNS、プレスリリースなどに目を通しておき、「どのような会社なのか」「どのような活動をしているのか」「どんな人が働いているのか」などを把握しましょう。

回答例

御社は私の価値観にもっとも近い会社であったことから志望いたしました。同業のビジネスをされる他の会社では、外部委託やM&Aで会社の外部リソースを活用することで成長を加速させている経営スタイルがみられましたが、自社内でのサービス開発やブランド構築に重きを置き、それを守っていくような経営スタイルの企業に入社したいと考えています。

また、お客様に対しても真摯であることを行動指針の中で触れており、御社の考え方に賛同しています。御社の社員の一人として、貢献できればと志望しました

上記はあくまでも一例ですが、志望理由を分かりやすく、尚且つその会社ならではの情報を交えて回答することがベストです。可能であれば、同業他社では実現できないが、応募企業であれば実現できそうなことなどにも触れた回答ができると、より印象が良くなるでしょう。

仕事にやりがいを感じるのはどんなときですか

働く意欲や価値観などの確認のために「どのようなときにやりがいを感じるのか」といった質問をされることは多いです。応募者に対してやりがいを聞くのは、本人の仕事の取り組み方を確認するためであったり、仕事に対してどのような姿勢で向き合っているのかを知るためであることが多いです。

回答例

自社の製品を購入し、それを実際に導入してくださって「業務プロセスが省略されて助かった」「大幅な時短になって、導入して良かったよ」などの声をいただけたときにやりがいを感じます。

営業という仕事であるとはいえ、一方的に売りつけて売上を獲得するような仕事はしたくないと考えています。自分が自信を持っておすすめした商品で、お客様のお困りごとを解決できたと分かったときに、営業職という仕事に携わっていて良かったと感じます。

具体的なエピソードを交えて回答することで、話の内容に根拠が生まれます。また、自分の活躍をさりげなくアピールする場でもあるため、仕事に対するやりがいについて質問されたときには、自分の印象アップのチャンスとも捉えて回答しましょう。

最終面接(役員面接)で気を付けるポイント

最終面接の前に、気を付けるポイントを把握しておきましょう。せっかくのチャンスを逃すことのないように以下のポイントに十分注意してください。

話のレイヤーを面接官に合わせる

最終面接では、その会社の経営陣が面接官を担当することが多いので、会社全体の基本方針や今後の事業展開、それについてどのような意見を持っているか?といったことが話題の中心になることが多くなります。一方で、経営陣は従業員の細かい就業条件や業務分担までは関知していない可能性があります。

そこで「逆に何かご質問はありますか」と逆質問(候補者から面接官への質問)を求められた際は、それまでの面接中の話を深掘りするような質問をして、話のレイヤーを合わせるようにしましょう。役員など経営陣の方に例えば残業時間や福利厚生といったことを質問してしまうことが悪い訳ではないのですが、設定された場の意味が理解ができない方であると受け止められてしまうことがあります。

もし細かい確認事項で質問したいことがある場合は、最終面接(役員面接)で確認するのは避け、内定獲得後に別途詳しい話を質問させてもらう機会を設けてもらえないか人事担当に依頼すると良いでしょう。

仕事への熱意・入社したい気持ちを表現する

1名採用の求人に対して複数の候補者が最終面接に残った場合、スキルや経験の比較で甲乙つけがたいときは「熱意がある・入社したい気持ちが強い候補者を優先する」というケースが多々あります。たとえ「他に応募している第一志望の企業の会社が別がある」場合であっても、内定を得るまではどんな志望度の企業も熱意をもって臨むことが大切です。

態度・発言に一貫して謙虚に

最終面接を担当する面接官の肩書や年齢によって言動・態度が変えないように気をつけましょう。昨今はミドル・シニア層の転職が一般的となりましたし、特にスタートアップ企業では面接を担当する経営陣が候補者より年齢が若い・ビジネスパーソンとしての経験値が浅いということも多々あります。面接官がどのような相手であっても、もし入社すると自分はその会社では新人としてスタートするという前提をもって、礼節・マナーに注意して面接に臨むようにしましょう。

またそれまでの一次面接、二次面接と矛盾しない一貫性のある発言・行動を意識してください。面接官以外の社員への接し方についても、社内共有されていることがあるので、面接官への対応と変わらないよう立ち振る舞いに気をつけてください。

最終面接前に追加情報収集する

転職エージェント経由で応募している場合は、最終面接前に改めて面接情報を収集するようにしましょう。最終面接官で面接官となる人の役職・人となり・質問の傾向・選考基準などを確認することで、より万全の面接対策が可能です。面接官が事前に分かっている場合は名前をネットで検索し、一般公開されている範囲の情報は入手しておきましょう。

もし転職エージェントを経由していない場合には、人事担当に「貴社に入社するためにより万全の準備をしておきたいのですが、最終面接について教えて頂けること、それまでにできることはありませんか」とお願いすることで、追加の情報提供が得られる場合もあります。

最後に

本記事では、最終面接と一次面接・二次面接の違い、最終面接の通過率や気を付けるポイントなどについて解説しました。最終面接は内定が得られるかどうかが決まる大切なシーンです。念入りに事前準備を重ねたうえで臨むことが重要でしょう。

今回触れたよくある質問と回答例も参考にしながら、面接対策をしておく必要もあります。大切な最終面接を成功させるためにも、今回ご紹介した内容を参考にしながら、当日に向けて対策を進めていきましょう。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

目次