大阪で転職を検討されている方の中では、できれば大阪本社のベンチャー企業やスタートアップ企業に転職してみたいと思っているものの、どんな企業があるのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。大阪は商業都市としてのビジネスの基盤を持ちながら、最近では革新的な事業を展開するベンチャー企業も多く登場しています。この記事では、今注目を集めている大阪本社のベンチャー企業についてご紹介します。
大阪のベンチャー企業をとりまく環境について
大阪というと「食い倒れ」と言われる大阪ならではの食文化、多くのインバウンド観光客が集まる街などのイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。それでは、ビジネスの環境としての大阪にはどのような特徴があるでしょうか。いくつかご紹介していきたいと思います。
製造業が集まる街
大阪には日本を代表する多くの製造業が集積しています。大阪に本社を構える製造業の代表格としては、家電製品などを中心に幅広く事業を展開するパナソニック株式会社、エアコンをはじめとした空調機器大手であるダイキン工業株式会社、国内時価総額で6位(2025年1月時点)にある株式会社キーエンスなどが挙げられるでしょう。
ディープテックベンチャーが台頭
大阪ではディープテック領域のベンチャーが台頭してきています。ディープテックとは、新たな発見や技術革新そのものを事業化して社会課題を解決し社会にインパクトを与えるものを指す言葉であり、大阪においては大阪大学、大阪公立大学(2020年に大阪府立大学・大阪市立が統合)など大学の研究開発技術(再生医療、創薬、遠隔医療など)を起点としたディープテックベンチャーが頭角を現しています。
大阪万博で経済活性化が期待
2025年開催の大阪万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、未来の社会課題を解決するアイデアや技術が集結する国際イベントです。約150の国と地域の方が参加予定であり、多様な価値観やイノベーションが交わる場として注目される中、大阪をはじめとした多くの関西企業も出展が決まっています。大手企業、ベンチャー企業問わず、この大阪万博をきっかけに躍進していく企業が台頭していき、経済活性化が進んでいくことが期待されています。
今注目されている大阪のベンチャー企業10社
大阪は日本第二の商業都市ということで、ほとんどの大手企業が拠点を置いています。また大阪本社の大手企業もたくさんあります。しかし、実際に仕事をする上で、経営層との距離感はとても重要な要素と感じている人が多いのではないでしょうか。
akippa株式会社
駐車場シェアリングサービスを提供するakippa株式会社は、空いているスペースを駐車場として活用できるプロダクト「akippa」を開発・リリース。個人や法人の遊休資産を有効活用することで、駐車場不足という社会問題の解決を目指し、2019年にはSOMPOホールディングスとの提携により、今では全国で利用できるサービスまで躍進を遂げています。
株式会社 Brushup
株式会社Brushup(大阪市北区)は「レビュー文化をつくる」をビジョンに掲げ、出版物、販促物、動画などの制作物の校正・進行管理の在り方を変えるべく、SaaSプロダクト「Brushup」を開発・提供するベンチャー企業です。
業種、用途などにより要望はかなり広範囲に渡るものの、そのような細かな要望に応えられるようにプロダクトをブラッシュアップしてこられた結果、これまで導入企業は1,7000社を超えるまでに成長しています。
フルカイテン株式会社
フルカイテン株式会社(大阪市福島区)はAIを活用したデータ分析等により、流通・小売業の在庫最適化を実現する「FULL KAITEN」を開発・提供しているベンチャー企業であり、これまで大手アパレルブランドを中心に多くの導入実績を積み重ねてきています。
将来的には在庫最適化→生産最適化までを実現する「スーパーサプライチェーン構想」を掲げ、次の世代のために世界の大量廃棄問題を解決していくことを目指されるなどこれからの社会を見据えた取り組みを大切にされています。
株式会社ネクスタ
株式会社ネクスタ(大阪市北区)は2017年にキーエンス出身の永原氏が日本の製造業の在り方を変えるべく、製造業DX SaaS「SmartF」を開発・提供するベンチャー企業です。製造業と一言に言っても生産工程、サプライチェーンの在り方など百社百様であり、汎用的なシステムがこれまでなく、システム導入のためには数千万~億単位の予算をかけたフルカスタマイズでのシステム開発でしかなかなか各社の理想をかなえることが難しい業界固有の課題がありました。
同社では代表を筆頭に複数の製造業出身者をマネジメントポジションに据え、百社百様の製造現場に応えられるプロダクト開発を地道に続けてこられた結果、今では全国の製造業よりお引き合いを頂くまでに成長を遂げています。
BABY JOB株式会社
BABYJOB株式会社(大阪市淀川区)は2012年の設立以来、子育てママの抱える課題解決に向け、ユニ・チャームと提携した紙オムツのサブスクリプション事業「手ぶら登園」を中核事業としながら子育てママ、保育園の当たり前を変える取り組みを続けています。
このような社会課題解決に向けた取り組みを評価頂き、全国の自治体とも連携を進めながらこれまで5,000もの施設に導入実績を積み重ねています。そして2024年にはTOKYO PRO MARKET市場にIPO(新規株式上場)も果たすなど、今後ますますの躍進が期待できるベンチャー企業といえるでしょう。
天創堂株式会社
天創堂株式会社(大阪市中央区)は「ご当地ブランド事業を通して、世界中に感動をお届けする」ことをミッションに掲げるベンチャー企業です。食品や土産物などのご当地商品を全国の小売店や輸出で拡販をしていく流通事業を展開しています。
各地域の魅力を引き出すことに重点を置く同社の事業は、まさに地方創生の中心をなすものと言えます。同社の取り組みは地域や商品の魅力を未だ十分に発信できていない事業者を強力にアシストするはずです。また、2024年にはHD体制にも移行しており、更に広角に事業を展開していくことが期待されます。
株式会社eWeLL
株式会社eWell(大阪市中央区)は、訪問看護事業者向けの電子カルテサービス「iBow」を提供している会社で2023年に東証グロース市場にIPOも果たしています。医療介護系の中でも訪問看護に特化した、典型的な「Vertical SaaS」で成長してきた会社と言えるでしょう。
高齢化の進展にともなって構築されてきている「地域包括ケアシステム」の中で、訪問看護の需要が高まっていますが、慢性的に人手不足の業界であり、そこでの業務効率化に役立つサービスとして、着実にシェアを伸ばしています。
株式会社Lean on Me(リーンオンミー)
株式会社Lean on Me(大阪府高槻市)は代表の志村氏のご家族が障がいを抱えておられる原体験から「障がい者にやさしい街づくり。」を理念とし、障がい者福祉施設に対し、障がいの知識や接し方などのコンテンツを提供するe-learning事業を展開しています。
これまで複数回の資金調達を実現し、現在では全国の社会福祉法人を中心とした事業所に同社サービスを導入されています。障がい者を取り巻く課題がまだまだ多い中、障がいをお持ちの方やご家族が安心して暮らせる社会をつくることを目指されており、まだまだ新たなチャレンジが期待されるベンチャー企業といえるでしょう。
株式会社笑美面
株式会社笑美面は大阪市西区に本社を置き、高齢者等に対するシニアホームの紹介サービスを手掛けるベンチャー企業です。老人ホーム(同社ではシニアホームと呼んでいます)の入居検討者に施設を紹介するマッチング事業を柱にしつつ、そのほかシニアホーム運営のコンサルティングも行っています。
2023年には東証グロース市場へのIPO(新規株式上場)も実現し、IPO時の調達資金を人材採用やシステム改修などに充てるなどして介護福祉業界の変革に向けて拡大を目指しています。
株式会社SIRC
株式会社SIRC(大阪市中央区)は大阪公立大学の研究開発を起点にしたIoTデバイスの活用により、サステナブル社会の創造を目指す大学発ベンチャーです。グローバルで脱炭素社会の実現を目指す社会情勢において上場企業をはじめとした国内大手・中堅企業はこのような社会の実現に向けた取り組みを進め、またその情報開示をする責務を担われています。
そのような社会情勢の中、同社は大阪公立大学の有する研究開発技術を用い、製造工場、電気設備などの消費電力等の可視化が可能なIoTデバイスを開発・提供することで、サステナブル社会の実現に貢献しています。
大阪のベンチャー企業に転職する方法
このような大阪のベンチャー企業に向けた転職活動を行う際にどのような方法が有効でしょうか。多くのビジネスパーソンが多忙である中、現職のパフォーマンスを落とさないよう、効率的に情報収集を行う必要があるでしょう。こちらではこのような方の転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します。
スカウトサイトを活用した転職活動
一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「エンミドルの転職」などが挙げられます。このような転職プラットフォーム市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズ(現東証グロース)にも上場を果たしています。
これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。このようなプラットフォームに「大阪本社のベンチャー企業に転職したい」等の希望条件の記載をしておくと、必然的にそのような情報が集まりやすくなるでしょう。
また、どのような企業がこれまでの経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。
転職エージェントを活用した転職活動
前述の様な転職プラットフォームサービスの台頭はあるものの、まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。
転職エージェントは国内に数万社あり、大阪をはじめとした関西圏のベンチャー業界に特化した転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。
最後に
こちらの記事で紹介した企業に限らず、大阪のベンチャー企業は地元特有の文化や商業ネットワークを活用しながら、将来的に大きな躍進を目指しています。大阪をはじめとした関西で活躍するベンチャー企業への転職を検討される方は是非こちらの記事を参考にしてください。