採用担当者が知っておくべき転職エージェントとの上手な付き合い方について解説!

採用活動は企業の成長に直結する重要な業務のひとつです。しかし、人材獲得難の時代ということもあり、新卒採用やダイレクトリクルーティングだけでは必要な人員確保が難しいというのも多くの企業が抱える課題です。特に即戦力として活躍できるような優秀な人材を確保するためには、転職エージェント(人材紹介会社)との適切な連携が欠かせません。

また一方で、「転職エージェントに依頼しているのになかなか人材を紹介されない」「多くの転職エージェントと契約しているが、十分な成果を得られない」という課題に悩んでいる人事の方も多いです。

そこで本記事では、採用担当者が転職エージェントと良い関係を築き、最適な人材を採用するためのポイントについて解説します。

目次

転職エージェントとは?

自社の採用活動を良い形で支援して貰える転職エージェントを見つけるために、まずは転職エージェントの仕組み、業界構造など全体像について解説していきます。

転職エージェントの仕組み

転職エージェント(職業紹介・人材紹介)とは、採用を行う企業と求職者をマッチングし、入社までのサポートを提供するサービスです。厚生労働省における人材紹介の定義では「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすること」と定義されており、言葉の通り、採用活動を行う法人と求職者の仲介役を担う存在になります。

転職エージェントは、完全成功報酬型の料金体系が主流です。雇用契約が成立し、求職者が入社した際に、企業側からのみ成功報酬として紹介手数料が発生する仕組みで事業を展開しています。そのため、転職エージェントを利用することで、初期費用を抑えつつ、効率的に採用活動を進められるというメリットがあります。

一部「リテーナーサーチ」「ヘッドハンティング」と呼ばれるエグゼクティブ人材に特化した転職エージェントでは、調査費を事前に法人に求する料金体系を採用していることもあります。

転職エージェント以外の採用手法としては「転職サイト(求人広告)」「ダイレクトリクルーティング」などがあります。この方法では、採用の可否にかかわらず初期費用が発生する仕組みです。

転職エージェントは厚生労働省の許認可事業

職業紹介事業(転職エージェント)は厚生労働省の管轄下にあり、許認可が必要な事業になります。しかし現在、国内では3万以上の企業が転職エージェント事業を行っています。転職エージェント事業をメインにしている事業者もあれば、本業とは別に転職エージェント(人材採用)を展開する事業者もあり、専門職種やエリアに特化した事業もあれば、特定の世代や年齢層に特化した事業者もあり、その内訳は様々です。

多くの事業者から、自社の採用に最適な転職エージェントを選定する必要があります。専門職や技術職が多い会社であれば、専門職特化した転職エージェントが良いでしょう。毎年多く人材を採用する会社であれば、複数の転職エージェントを組み合わせて活用する必要があるでしょう。

転職エージェントとの関係は採用成果に影響を及ぼす

転職エージェントとの連携がうまくいかない場合、以下のような問題が発生する可能性があります。

余計な工数がかかってしまう

転職エージェントと良い関係が築けていれば、自社に合った求職者をピンポイントで紹介され、最小工数で採用活動を進められる、採用担当者としては心強い存在になるでしょう。しかしながら、良い関係が築けていない場合には逆に余計な工数がかかってしまうリスクがあります。

例えば「自社に合わない求職者の紹介ばかりで選考が進まない」、「転職エージェント側から適切な情報が得られない」などの問題が挙げられます。成功報酬型であるために余分なコストがかかるという感覚を持ちづらい部分もあるかもしれませんが、このような工数に時間を割かれてしまい、生産性が著しく低下してしまうこともリスクと考えられると良いかと思います。

求職者を紹介して貰えない

転職エージェントの立場で考えた場合、上から目線で要求ばかりつきつけてくる採用担当者よりも、同じ目線で仕事ができる採用担当者の力になりたいという心理が働きます。求職者の方の経験に合致する複数求人がある場合には、関係性の良い企業の求人を優先的に紹介されることになります。自社に求職者の紹介をして貰えない、あるいは紹介をされた候補者に他社選考が先に進んでしまっているなどの事態に陥りかねません。

転職エージェントと良い関係の築き方

それでは転職エージェントと良い関係を築くためにどのような取り組みが有効なのでしょうか。こちらでは転職エージェントと良い関係を構築するために効果的な具体的な取り組みについて解説していきます。

求人要件の明確化

転職エージェントに求人を依頼する際、求める人材像をできるだけ詳細に伝えることが重要です。例えば「法人営業経験が5年以上」「B2CのWeb広告の運用経験」「プロジェクトマネジメント経験」など具体的な要件を提示しましょう。また、自社が大切にする会社風土や配属予定部署の雰囲気なども伝えることでミスマッチを防ぐことができます。

一方で、求める要件を多くし過ぎると、全く対象者がおらず紹介されなくなってしまいます。「この求人については、〇〇の要件を外していなければ、他の諸条件については緩和可能な場合もあります。多くの候補者に積極的にお会いしたいので、是非広くご提案ください」と要件の濃淡を伝えるようにしましょう。

転職エージェントの強みを理解する

転職エージェントには、それぞれ得意な業界や職種があります。すべてのエージェントが同じレベルのサービスを提供できるわけではありません。転職エージェントの強みを理解し、適切なポジションに応じた転職エージェントを選定することが大切です。また、転職エージェントの実績や評判を調査することで信頼できるパートナーを選ぶことができます。

採用予定人数や求人の性質などにもよりますが、基本的には1社の転職エージェントだけに依存するのではなく、複数の転職エージェントを活用することが推奨されます。それぞれの転職エージェントが異なる強みを持っているため、幅広い候補者にリーチすることが可能です。また、複数の転職エージェントを利用することで、競争意識を生み出すこともポイントの1つといえるでしょう。

定期的にフィードバックを行う

転職エージェントが紹介した候補者について、フィードバックを適切に行うことは重要です。どの点が良かったのか、どの点が期待に沿わなかったのかを具体的に伝えることで、今後の紹介に反映させることができます。フィードバックを定期的に行うことで転職エージェントは次回以降、企業のニーズをより深く理解し、より適切な人材を提案してくれるでしょう。

丁寧なコミュニケーション

転職エージェントは採用活動のパートナーとして重要な存在です。信頼関係を構築することで、エージェントも企業に対して積極的に最良の候補者を紹介しようとします。相互にリスペクトし合い、オープンなコミュニケーションを心がけましょう。採用プロセスの進捗状況や候補者のフィードバックを共有することで、より密接な連携が可能になります。

最後に

転職エージェントのコントロールは、採用成功のカギとなります。採用担当者が転職エージェントに対して具体的な要件を伝え、適切なフィードバックを行い、信頼関係を構築することで転職エージェントは他企業よりも優先的に人材を紹介してくれるでしょう。企業と転職エージェントがパートナーとして連携し、採用活動を成功に導くためにはコミュニケーションの質を高め、適切なマネジメントを行うことが不可欠です。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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