求人票に年齢制限の記載があるのは違法?35歳以上の転職者が気をつけるべき3つのこと

転職活動をしていると、求人票に年齢制限についての記載をされていることがあります。このような記載が法的に問題ないのかモヤモヤしたことはないでしょうか?また「年齢について記載はされていないが、平均年齢が若い会社なので、年齢を理由に断られるのではないか」という応募を躊躇された経験をもっている方もいらっしゃることでしょう。

この記事では「求人の年齢制限」について解説します。また、転職に際し、ご自身の年齢が気になっている方のためにその対応方法もご紹介します。

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求人票に年齢制限の記載はしてはいけない理由

昨今欧米企業でも「採用時のエイジズム(年齢差別)」が問題となる事例が増えており、ダイバーシティの流れのなかで「年齢面における応募者差別」に対する厳しい見方が年々強まってきています。採用にあたっては年齢によって仕事の適性を決めつけるのではなく、その人の能力と仕事の適性を評価すべきであるという前提がありつつ、日本では少子高齢化にともなう労働人口の大幅な減少が見込まれているという切迫した事情もあります。

求人票において年齢制限は原則禁止

日本では、年齢による不当な差別を防止し、すべての求職者が公平に雇用機会を得られるようにするため、求人票に年齢制限を記載することが禁止されています。これは2007年10月の雇用対策法改正によって定められました。

原則としては年齢差別はいけないこととされていますが、日本では慣例的に若手の一括採用で雇用した正社員を終身雇用することが多く、あまり中高年の転職者の受け入れに慣れていない企業が多かったという社会背景もあります。「若年層をターゲットにした商品の開発なので20代を募集する」「管理職だから30歳以上を募集する」などの対象年齢を絞った採用が認められてきた過去があります。

求人票において年齢制限は例外的に認められるケースも

年齢制限はしてはいけないという原則があるにもかかわらず、「35歳未満(長期勤続によるキャリア形成を図る観点から…)」という記載がある求人を目にした経験がある方も多いのではないでしょうか。これは雇用対策法施行規則の例外規定(省令3号のイ)で、正社員(期間の定めのない労働契約の対象者)に限ってはこのような年齢制限を認めるというものです。これは終身雇用制をとってきた日本の雇用慣行との調和を図るため設けられた例外事由です。

転職サイトなどを見ると、基準として設定する対象年齢の上限を「35歳未満」としている求人が多いですが、45歳未満であれば、25歳でも30歳でも45歳でも構わないのです。求人毎に任意で設定可能です。ただしこの場合、育成が前提であるため、未経験者歓迎の求人にする必要があり、特定の職務経験を必須とするのはNGとされています。

また上記の例外規定(省令3号 イ)以外にも、「定年が60歳の会社が、60歳未満の人を募集する」などの定年年齢を上限とする正社員募集をすること(省令1号)や、逆に技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し正社員募集すること(省令3号 ロ)など、複数の例外規定が設けられています。

求人の年齢制限があった場合、35歳以上の転職者が考えるべきこと3点

上述の通り、日本の求人における年齢に関する記載制限には例外適用が広く、実質的には「年齢制限が許容されている」側面は否めません。また明らかに年齢制限する記載がなくとも「ターゲットとしている年齢層がありそうな」トーンを出している求人はたくさんあります。特に35歳以上の転職者の方は、そのような求人に遭遇し、応募を躊躇したご経験があるのではないでしょうか。

年齢制限が暗黙的に含まれているような求人票に応募したい場合の対処法を考えてみましょう。

年齢以外の要件を十分に満たしているなら挑戦してみる

求人を見るときに「年齢以外の要件を十分に満たしているか」を確認しましょう。求人の内容と同業界・同職種の経験者で、尚可(歓迎)の要件まで満たしている候補者であれば、年齢面はそれほど懸念にならない可能性があります。ぜひ挑戦してみましょう。ただし年齢の要件も満たしていない上に活かせる経験も無いということであれば、年齢とは違う理由で不採用になる可能性は高いです。

マネジメント経験の伝え方に注意する

「マネジメント経験者である」というのは強みになるポイントです。しかし、スタートアップ企業・ベンチャー企業においては「どのようなマネジメントをしてきたか」というのが問われるポイントになります。

若い世代が活躍している会社では年齢と役職に相関関係がなく、人間関係はフラットな傾向があります。そこに年功序列的な価値観を持ち込もうとすると敬遠されます。マネジメント経験についてPRするときの言葉選びには注意するようにしましょう。

面接で先回りして懸念を払拭する

年齢に関する懸念がある場合、面接の場で企業側に抱かれているであろう懸念事項を積極的に先回りして払拭するのも有効です。例えば、20代の社員が多い会社に年齢が高い人が応募する場合、強みとして「豊富な業務経験」や「専門性の高い技量」を武器にしがちですが、それは反対に、「頑固で成長意欲がない」「自分のやり方に固執する」という弱みにつながりがちです。

「自分より年齢が若い経営者・上司からの指示・指摘に対して、受け入れる人柄・度量があるか」「泥くさい業務も率先して対応してもらえるか」「ITツールを含め、新しいことを学習する意欲があるか」などを先回りしてPRしていきましょう。

転職エージェントをうまく活用しよう

転職エージェントを利用することで、年齢制限が課題となりそうな求人でも効果的に応募を進めることができることがあります。転職エージェントには、以下のようなメリットがあります。

転職エージェントを使うメリット
  • 非公開求人の紹介が期待できる
  • 年齢に対する懸念を直接企業に伝え、仲介役として対応
  • 面接対策や書類添削のサポート

特に、自分の経験やスキルを活かせる求人を探す際に、エージェントは心強い味方となります。自分に合ったエージェントを見つけることが、転職活動成功への鍵となるでしょう。

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最後に

求人票に年齢制限を設けることは原則禁止されていますが、暗黙的な年齢制限を感じることがあるのも現実です。そのような状況に直面した際には、背景を理解し、自分のスキルや経験を最大限に活かせる方法を模索することが重要です。また、転職エージェントを活用することで、自分一人では見つけられないチャンスに出会える可能性も広がります。

年齢に関係なく、すべての人が自分に合ったキャリアを築けるよう、適切な情報を活用して前向きに転職活動を進めましょう。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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