労働人口が減少の一途とたどる日本において2025年4月より仕事と介護の両立ができずに介護離職に至ることを防止するために育児・介護休業法が改正されることとなりました。こちらの記事ではこの改正について特に介護に係る内容を中心に解説していきます。
育児・介護休業法とは
育児・介護休業法は、仕事と家庭の両立を支援するための法律です。育児・介護休業法は1991年に少子化対策と育児を行う女性の就業継続を支援するために「育児休業等に関する法律」として制定され、1995年には現在の名称である「育児・介護休業法」に改訂となり、介護休業制度を新たに導入し、介護が必要な家族を持つ労働者も支援対象に追加されるなど家庭と職場の両立を支援するための取り組みとして進化してきました。
日本における深刻な介護離職の問題
育児・介護休業法は2000年代以降も改正を続けられています。このような取り組みの背景には日本の高齢化社会が以前にも増して深刻な局面にあることが起因しています。
65歳以上を高齢者と定義した際、65歳人口は総人口の約30%にも上り、また75歳以上の後期高齢者は約13%をとされています。このような高齢化社会において深刻なのが介護に伴い、キャリアブレイクを余儀なくされる問題です。
厚生労働省の雇用動向調査では2023年に介護・看護を理由に離職した人は約7.3万人とされており、2000年と比べて約2倍の人数となっています。高齢者社会という根本の問題が解決に向かっていない中、今後このような離職が更に増えることでしょう。労働人口が減少の一途を辿る中、このような世の中の動きは極めて深刻な問題であるといえます。
2025年4月1日に施行される法改正概要
2025年より介護に伴う離職を低減させるべく、家庭と仕事を両立しやすい雇用環境の整備を行うが事業主に義務付けられることになりました。詳細は厚生労働省の発表する「育児・介護休業法について」をご参照頂ければと思いますが、以下にて概要をご紹介していきます。
介護離職防止のための雇用環境整備
介護離職防止のための雇用環境整備として介護に直面する労働者が出た際のことを想定の上、下記の体制整備を義務づけられることとなります(下記①~④より1つ以上の措置を講じることを義務づけられています)。
① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行うことが義務付けられることとなりました。尚、周知事項としては以下の内容を指定されています。
①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)
③介護休業給付金に関すること
介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
介護休暇の勤続6か月未満の労働者の労使協定場外の仕組みであった従来のルールも廃止するとなり、雇用形態によっては入社1ヶ月未満であっても介護休暇の申請ができることになります。
育児・介護と仕事の両立が難しい場合には転職も視野に
上記のような法改正があるとはいえ、業種によっては例えばテレワークでの働き方が困難なケースなどもあるでしょう。そのような場合には止む無くにはなりますが、両立できる可能性のある企業へと転職を考えるのも選択肢の一つです。
法律の基準以上に手厚い福利厚生を敷いている企業、テレワークでの働き方が当たり前の企業などは実は沢山ありますが、求人サイトの情報などではそこまで捉えることが難しいことが多いでしょう。そんなときには専任のキャリアアドバイザーに転職活動をサポートしてもらえる転職エージェントの活用がおすすめです。
企業選びだけではなく、転職理由の伝え方など面接を良い形で進めるためのアドバイスや、年収交渉の相談、家族との合意形成についてなど、遠慮せずにコミュニケーションがとれる転職エージェントにサポートしてもらえれば納得のできる転職を実現できるでしょう。
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最後に
今回は2025年4月に施行される育児・介護休業法について解説をしました。いつ自分の身にこのような事態が降りかかるか分からない時代の中、育児・介護休業法に限らず、このような法改正などについて理解を深めておくことは自身の今後のキャリア設計において役立つでしょう。