ユニコーン企業とは?!デカコーン企業・ゼブラ企業などとあわせて解説!

今回は、「ユニコーン企業」についてご紹介します。ユニコーン企業は数あるスタートアップ企業の中でも特に大きな企業価値を誇る会社を指す言葉で、非常に珍しいことから伝説上の生き物「ユニコーン」に例えてそのように呼ばれるようになりました。

自社をユニコーン企業にしたいと考えるスタートアップ経営者は少なくありませんが、実際にユニコーン企業となる企業はほんの一握りです。今回の記事ではこのユニコーン企業について、さらに大きな企業価値に達するデカコーン企業やヘクトコーン企業について、ご紹介したいと思います。

目次

ユニコーン企業とは

ユニコーンは、一角獣とも呼ばれる伝説上の生き物です。ユニコーンは実在しない生き物であるため、めったに存在しないものや現実離れした存在を指してユニコーンという言葉が使われることもあります。

そのようなユニコーンという言葉をスタートアップ企業に対して使ったのは、アメリカの著名なベンチャーキャピタリストであるアイリーン・リー氏です。

ユニコーン企業の定義

・創業から10年以内の未上場の企業であること
・企業価値が10億ドル以上の企業であること

上記の2つの条件を満たすスタートアップ企業を、その希少価値の高さからユニコーン企業と呼びました。創業から10年以内で企業価値が10億ドルに達するということは、とてつもなく高い成長を実現した企業であるということになります。

ユニコーン企業となることができれば、創業者は想像を絶するほど多額の創業者利益を獲得することができます。また初期にその企業に対し投資を行ったVC(ベンチャーキャピタル)などの投資家にとっても、やはり多額の利益獲得の機会ということになります。スタートアップ経営者の多くは自社をそのようなユニコーン企業にするべく努力しますし、VCなどの投資家はそのような高成長を実現する企業はどの企業なのか、常に見つけようとしています。

スタートアップの企業価値はどのように決まるのか

企業がIPOを果たし株式が証券取引所に上場されると、株式市場においてその会社の株価がいくらなのか、常に明確となります。

一方で未上場のスタートアップ企業の場合、その企業の価値は株式市場での株価のように明確にはなっていません。それでは、スタートアップの企業価値はどのように決まるのでしょうか。

企業価値の決まり方にはいくつかのパターンがありますが、スタートアップのように高い成長を目指しているような企業の場合は、現時点の情報よりも将来の可能性を評価して決まることが多いでしょう。将来の成長可能性について評価し、そのとおりの成長を実現したときには売上高や利益がどの程度高まるのかを試算し、それによって株価や企業価値が決定されます。

資金調達の場面では、企業が作成した事業計画などをもとにVCなどの投資家がそのような計算を行い、株価や企業価値が決定されます。その株価について企業と投資家とが折り合えば投資が実行され、企業は資金調達を実現します。資金調達の場面というのは、そのように株価や企業価値が決定する場面でもあると言えるわけです。

企業価値の具体的な計算方法についてはケースバイケースで様々な方法がありますが、将来の成長を織り込んで企業価値を計算する代表的な方法として「DCF法」についてご紹介します。

DCF法とはいくつもある企業価値評価方法のひとつで、「ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法」を略した言葉です。DCF法では、その企業が将来的に生み出すキャッシュフローを、適切な割引率で割ることで現在価値を割り引き、それを積み上げることで企業価値を計算します。

「その企業が将来的に生み出すキャッシュフロー」を知るためには、その企業が作成する事業計画を用います。その事業計画の通りに推移した場合、将来に渡ってどの程度のキャッシュフローが生み出されるのかを計算します。

「適切な割引率」は、その事業のリスクの大きさなどを勘案して設定します(WACC(加重平均資本コスト)など専門的な計算をして適切な割引率を設定することもあります)。

DCF法は企業価値を計算する際によく用いられる方法ですが、必ずしも正しいとは限りません。計算に必要な「その企業が将来的に生み出すキャッシュフロー」や「適切な割引率」を決める過程には予測による部分が少なくなく、企業価値を高めたい経営者が強気すぎる事業計画を作成したり、適切な割引率を決める上でリスクを過小評価したりしてしまうというような可能性については注意が必要でしょう。

国内外のユニコーン企業の数

2023年1月現在、日本国内のスタートアップで企業価値が1,000億円を超えた企業は13社となっています。この水準の企業価値に達する企業がいかに限られた存在であるかが、よくわかる数字だと言えるのではないでしょうか。この13社の中にはAI領域の技術開発や実用化に取り組むPreferred Networks社、ニュースアプリ「Smart News」を運営するスマートニュース社、クラウド人事労務ソフトのSmart HR 社、タクシー配車アプリ「GO」を運営するMobility Technologies社などが、含まれています。

これらの企業がそれぞれ素晴らしい事業に取り組み高い成長を果たしている一方、米国には300社以上、中国には100社以上のユニコーン企業があるとされており、日本国内においては十分な数のユニコーン企業が生まれていると言えるような状況とはなっていません。

日本でもスタートアップが盛り上がりを見せているとはいえ米国や中国ほど起業の多い状況には至っていないこと、VCなどを通してスタートアップ市場に供給される資金の量が他国と比較して少ないこと、成功した起業家が次のスタートアップの育成に資金面などを含めて支援する等のスタートアップエコシステムが未成熟であることなどを要因として、このような現状となっています。

日本国内では限られた数しかユニコーン企業が育っていないという現状から、経団連(日本経済団体連総会)が2022年に「スタートアップ躍進ビジョン」の中で、2027年までにユニコーン企業を100社にまで増やすという目標を掲げています。その他にも経済産業省のスタートアップ育成プログラム「J-Startup」や、各都道府県によるそれぞれの地域でのスタートアップ育成など、今後に向けたスタートアップ育成の動きはさまざま進められています。

日本国内にユニコーン企業が増えれば、それだけ経済が活性化し、新たな商品やサービスが生み出されたり、社会課題が解決されたりすることで、私たちの生活はより豊かになっていきます。また、そうした企業は新たな雇用機会の創出にも貢献しますし、そうした企業で経験を積んだ人材が流動化することで新たな企業をまた成長させ、その企業がまたユニコーン企業となるというような好循環にもつながっていくでしょう。そのように、スタートアップやユニコーン企業の増加は、その国の経済発展の指標となり得る、重要なものであると言えます。

デカコーン企業、ヘクトコーン企業とは

ユニコーン企業の中に、さらに大きな企業価値に達する「デカコーン企業」「ヘクトコーン企業」という企業も存在します。デカコーン企業とは、企業価値100億ドル以上の企業を指します。デカ(Deca)とは「10倍」という意味で、ユニコーン企業の10倍の企業価値という意味でデカコーン企業と呼ばれます。同様に、ヘクト(Hecto)は100倍という意味で、ヘクトコーン企業とはユニコーン企業の100倍、1000億ドル以上の企業価値に達した企業を指す言葉です。

ユニコーン企業はとても希少な存在ですが、それでも全世界を見渡せば1,000社を超えて存在しています。それに対しデカコーン企業は約50社、ヘクトコーン企業に至ってはわずか3社しかありません。

ヘクトコーン企業

Bytedance(評価額:約2200億ドル)
動画共有サービス・TikTokなどを運営する中国のテクノロジー企業

・SpaceX(評価額:約1500億ドル)
イーロン・マスク氏率いる米国の宇宙開発企業

・SHEIN(評価額:約1000億ドル)
150以上の国と地域に越境ECを行う中国のアパレル企業

デカコーン企業やヘクトコーン企業は、現時点で日本国内には存在しません。近い将来、日本国内にもこのような高い企業価値を実現するスタートアップ企業が登場することを期待したいものです。

先程もご紹介した経団連(日本経済団体連総会)の「スタートアップ躍進ビジョン」では、2027年までにデカコーン企業を2社以上とする目標が掲げられています。それを実現するための具体的な取り組みについても触れられており、そうした様々な取り組みによって日本国内にデカコーン企業が出現するのもそう遠い未来の話ではないかもしれません。

ユニコーン企業とは異なる存在、ゼブラ企業とは

ユニコーン企業とは目指すものの異なる存在として、ゼブラ企業というものもあります。ゼブラとはシマウマのことで、ゼブラ企業は、経済性と共に社会性も追求し、持続的な繁栄や共存に価値を置く考え方を持った企業を指す言葉です。

企業価値の高さを評価するユニコーン企業という言葉は「市場の独占や株主至上主義といった資本主義の在り方を象徴している」として、そうした考え方へのアンチテーゼとして提唱されたのがゼブラ企業という考え方です。売上・利益の最大化や爆発的な企業成長の実現に価値を置くのではなく、社会的責任や持続可能性と両立する範囲での成長を目指すという姿勢で、短期的な株主価値の最大化ではなく長期的にステークホルダー全員の幸せの実現を目指すというような考え方のもと経営される企業が、ゼブラ企業です。

企業価値の最大化こそ企業の目指すべきものだ、という考え方とは一線を画す存在ですが、近年のSDGsの広がりとともに、こうした考え方も注目されるようになっています。

最後に

今回は「ユニコーン企業とは?!デカコーン企業・ゼブラ企業など類似語とあわせて解説!」というテーマで、多くのスタートアップ企業が目指すユニコーン企業というものについてご紹介させていただきました。

ユニコーン企業は数あるスタートアップ企業のトップ集団であり、その国のスタートアップを象徴する存在です。既にユニコーン企業となっているスタートアップや、ユニコーン企業に近づいているスタートアップ(ネクストユニコーンなどと言われることもあります)で仕事をすることがあればそれはとても魅力的なものでしょうし、また早い段階のスタートアップ企業に関与し、その企業がユニコーン企業に近づいていく過程を経験するのも、きっととてもエキサイティングなものでしょう。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA。


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