VCや大学で導入が進むEIR(Entrepreneur in Residence)を解説!

起業家の在り方の一つとしてEIRという言葉を耳にすることが増えたと思います。しかしながら、まだまだEIRという役割が浸透しているとは言い難く、EIRの詳細などについて曖昧な理解になってしまっている方もおられるのではないでしょうか。本記事ではEIRとは何か、EIRが担う役割などついて解説します。

目次

EIRとは

「Entrepreneur in Residence」(以下EIR)とは、日本語では「客員起業家」と表現されますが、直訳すると「住み込みの起業家」という意味です。ベンチャーキャピタル(以下VC)・インキュベーターなどの組織に一時的に雇用をされる形で新規事業開発やスタートアップの支援の役割を担うことが一般的です。

尚、EIRという役割はVCなどで導入することが多いのですが、最近ではVCにとどまることなく、研究開発の事業化を推し進める大学、研究機関などさまざまな組織がEIRを活用するようになりつつあります。

EIRの担い手となる方は過去に起業経験がある、あるいは事業会社の中で新規事業開発を経験された方が対象になることが多いです。EIRとして事業開発支援に間接的に関わるパターンもあれば、事業開発の主体者を前提とするパターンもあります。EIRと一言に言っても受け入れ先の意向により、働き方や期待は変わるので注意が必要です。

EIRを導入する目的

EIR制度を導入する機関の目的は、起業家・事業家としての経験がある人からのアウトプットを得て、事業の成功可能性を高める、あるいは経営リスクの低減を進めたいといったことが挙げられます。

例えばVCの場合、投資実務は行っているものの、起業経験・事業開発経験を有する方が多い訳ではありません。そのような中、実際に起業家・事業家としての経験を有する方からのアドバイスは非常に有益なため、EIRを迎え入れるというケースがあります。その他にも起業家・事業家として構築してきた人的ネットワークを活かしてもらい、VCが単体ではなし得ないアプローチに期待をかけられるケースもあります。

EIR導入する思惑はさまざまではありますが、EIRを導入する機関のウイークポイントを補うことを期待されて招聘されることが多いので、EIRとしてのキャリア選択を検討される方はそのような前提を認識してのぞまれると良いでしょう。


最後に


EIR(Entrepreneur in Residence)はVCや大学などが外部の専門知識などを取り入れる効果的な方法として導入が進んでいます。今後、起業家、事業家としてキャリアを歩んでこられた方の選択肢として徐々に浸透していくことが期待されます中、本記事をご参考にEIRの理解を深めて貰えますと幸いです。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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