「管理職になりたくない人」が増加中!?管理職にチャレンジするメリット・デメリットとは

今「管理職になりたくない」と考える人が多くなっているのをご存じでしょうか。一昔前は「管理職を目指すのが普通」「出世は栄誉」でしたが、近年は様々な理由で「管理職になりたくない」と考える方が増えています。

しかし、本当に管理職になることは、デメリットだらけなのでしょうか。むしろ「管理職にならないデメリット」もあるのではないでしょうか。こちらの記事では、管理職になりたくない人が増えている背景や、管理職になるメリット・デメリットなどについてご紹介します。

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管理職になりたくない人が増えている

かつて「管理職」と言えば出世を意味することであり、多くのビジネスパーソンが目指してきた立場でもありました。管理職として任命されることが誇りであり、また、管理職として任命される同僚を見て称賛を贈る光景が当たり前な時代もあったのです。

しかし、現在では管理職を目指す方よりも「管理職になりたくない」と考えている方のほうが多い傾向にあります。このような「管理職になりたくない」という志向に繋がる要因は価値観の変遷、働き方の多様化やライフスタイルの変化などの複数の事業に起因します。

管理職は仕事の裁量などをはじめとした仕事の幅に広がりがもてる一方、当然ながらその裁量に伴う責任、あるいは部下の管理監督をはじめ制約なども増えてきます。そのような責任、制約などの負担を鑑み、管理職になることを望まないどころか、否定的に考える人が以前より増えてきています。非管理職の方の中には「仮に打診されても管理職はできれば断りたい」といった声もあるほど、「管理職=避けるべき役割」といったイメージになってきていることが伺えます。

そもそも管理職とは

そもそも管理職とはどのような役割を担い、非管理職、あるいは役員と何が異なるのでしょうか。こちらではそのような管理職の全体像について解説をしていきます。

管理職の役割

管理職は予算・人的資源などの各種リソースを活用・管理する権限を持ち、会社の目標達成のためにリーダーシップを発揮することが主な仕事です。そのため、ある一定優れた実務能力は有している前提の下、マネジメント能力、リーダーシップ、コミュニケーション能力、労務管理能力など、さまざまなスキルが期待されます。

管理職の肩書

管理職は「課長」「マネージャー」「部長」「ゼネラルマネージャー」などと呼称されることが多いですが、役職名(肩書き)は会社によって異なります。企業・担当部署によって部下の人数や求められる役割も異なるため、管理職として転職する際には、同じ役職名であっても責任範囲や予算、部下の人数などが大きく異なる可能性がありますので確認が必要です。

管理職と役員の違い

役員は企業全体を俯瞰して見ることが求められる役職です。組織の中に存在する部署や課などを率いる管理職とは異なり、社員個々のスキルや生産性に目を向けるのではなく、企業の目標や問題など、会社全体に目を向けることが役員の主な仕事です。一定の業務にとらわれない立場であり、会社経営全体の範囲で責任を担う役職であると言えるでしょう。

管理職と一般社員の違い

管理職は自分の部下を含めたチーム全体の仕事が責任の範疇・評価の対象になるのに対し、一般社員は自分自身の仕事のみが問われる立場となります。他のチームメンバーや同僚がどのような働きをしても一般社員の評価に影響することはほとんどありませんが、管理職になると自分の部下の働き方にも関与していくことになります。

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管理職になるデメリット

「管理職になりたくない」と考える方が多い理由として、管理職になることのデメリットを無視できないことが挙げられます。具体的に、どのようなデメリットがあるのかを詳しく解説します。

責任が重い

管理職はチームの責任者です。チームを引っ張っていくためにも、コミュニケーション能力や判断力、リーダーシップ、決断力など、さまざまな能力を発揮することが期待されます。またチームの出した結果に対して責任をとる必要があります。

そのため「もしも能力不足だったら」「メンバーがうまく動けなかったら自分のせいだ」と責任の重さにプレッシャーを感じてしまうことも少なくありません。特に自分の適性に不安・疑問を感じている場合、管理職という道を選ぶことに強い抵抗を感じることもあるでしょう。

メンバーとしての担当業務から離れることになる

管理職になると管理職として部下に育成や評価をしたり、上級管理職と会議をしたりする等、これまでとは違う仕事が増えます。たとえば営業担当から管理職になった場合、自分がどんなに顧客と直接交渉する業務が得意であっても、部下に予算と顧客を任せ、自分は間接的な関与しかできなくなってしまいます。

管理職である以上、自分がどんなに営業成績をあげられるスキルがあったとしても、チーム全体の業績が悪ければ、自分の評価もチームのまた業績次第となります。それまでの業務内容にやりがいを感じていた方にとっては、管理職になることでこれまでとは違った視点での成長を求められることを覚悟しなければなりません。

報酬面の懸念

管理職になることで支払われる報酬が増えると期待していたのに、いざ仕事に就いてみると責任の重さに対して報酬が見合っていないという事態は働く側にとっては見逃せないリスクでしょう。特に残業手当が支給されなくなることに関しては管理職になるデメリットとして挙げられやすい部分です。

これは労働基準法における「管理監督者」に該当する管理職になった場合、経営者と一体的な立場とみなされ、労働基準法で定められた労働時間、休日、休憩等の制限を受けなくなるため、残業手当の支給されなくなることです。

しかし、管理職の肩書がついたとしても必ずしも「管理監督者」に該当するとは限りません。過去には大手外食チェーンで管理職の肩書を与えられているものの、実際の権限が管理職と呼べるものでない実態などにより、これまでの未払い残業代を支給する結果になった裁判もありました。

自分が管理職になった場合には、それは管理監督者として十分な権限・報酬のある管理職なのかを確認してから引き受けるようにしましょう。また既に引き受けた管理職としての業務において適正な報酬が得られていないと感じる場合には、労働基準監督署に相談してみることもおすすめします。

管理監督者とは

労働基準法上では、管理監督者に該当するかについては、次の3点から判断されます。

  • 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容・責任・権限を有していること
  • 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
  • 賃金等について、管理職の地位にふさわしい待遇、一般社員とは異なる待遇がなされていること

管理職になるメリット

ここまでご紹介した管理職になることのデメリットは「管理職になりたくない」という気持ちに拍車をかけてしまったかもしれませんが、管理職になるメリットも存在します。管理職になるメリットに目を向けてみると、むしろ管理職にならないほうのデメリットが大きいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ここからは、管理職になるメリットをご紹介していきますので、ぜひご自身のキャリアビジョンや、理想の働き方と照らし合わせながら以下をご覧ください。

新しいスキルが身につく

管理職になることで、新しい能力が身につけることができます。管理職になると、チームマネジメント能力、課題解決能力、プロジェクト管理能力、危機管理能力、人材育成能力など、複合的な能力の発揮が求められます。成長意欲が高い方や、現時点の能力に不満がある・不足していると感じる方であれば、自分の能力開発を目的として管理職をキャリアの選択肢の1つとして考えるのもいいでしょう。

また、管理職経験を積むことで「管理職側の視点」が身につき、自分が管理職側ではない場合のコミュニケーションにおいても相手の視点に立ったパフォーマンスを発揮することができるようになります。一般社員から管理職になった場合、管理職の上に上級管理職としての上司・役員がいることが多いでしょう。組織でキャリアアップしていくために上司の視点を体験しておくことは、たとえその後転職する予定があっても得難い経験となるでしょう。

仕事の幅が広がる

管理職になることで、裁量が大きくなり、自分の判断で決められる範囲が大きくなります。例えば部下となる社員の採用や評価に関与できます。またチームの代表として他社・他部署との折衝にあたることになり、自分のプレゼンスを発揮する機会が増えたり、自分で決済できる金額が増えることも多いでしょう。機密情報に関しても管理職以上と一般社員では扱える情報、知ることができる情報を分けている企業が多いので、より多くの情報を得る機会が増えます。

待遇が良くなる

管理職として昇進することによって、基本給・役職手当等、トータルの報酬が上がるケースが大半です。実際に管理職として打診された際には、給与条件面でどの程度の年収アップが期待できるのかを確認してみる必要があります。ベースアップ以外に役職手当を導入している企業も多く、場合によっては百万円以上の収入アップが実現することもあります。また使える経費の額や参加できる研修、使える福利厚生において管理職と非管理職で待遇に差をつけている企業も多いです。

転職で有利になる

将来転職をするかもしれないと考えている方にとって、管理職になることは大きなメリットになります。管理職の求人に応募した際に有利になることはもちろんのこと、管理職ではない求人に応募する際にも、管理職として勤めたということは管理職を打診されるだけの実績や信頼性があったと判断できることから、書類選考や面接で評価ポイントとなるのです。

また40代以上の年齢での転職においては、一般社員としての求人には受かりにくいのに、管理職としての経験がないと管理職の求人には応募できなくなる、ということが懸念されます。つまり「管理職経験がないことで転職できない」リスクが発生してくるということです。そのため「管理職になりたくない、管理職に向いていない」という自分だけの視点で考えるのではなく、その経験がその後のキャリアに活きてくることもふまえて管理職の打診があれば積極的にチャレンジしてみることをおすすめします。

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最後に

現代における管理職のイメージはネガティブなものが多くなってしまっています。しかし、実際には管理職になるメリットは多く、働いている環境やキャリプランなどによっては、チャレンジしたほうがいい場合も少なくありません。

むしろ、管理職としてのチャレンジはスキルアップや新しいやりがいにつながるので、仮に管理職として打診されることがあれば、思い切って受けてみることをおすすめします。「管理職」と聞いて拒絶するのではなく、まずは前向きに検討してみてください。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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