人事がキャリアアップで有利になる8つの資格を解説!

人事の仕事に就かれている方でも、自身のキャリアについて明確にイメージできている方ばかりではないでしょう。人事という領域は扱う範囲が広いため、求められる知識やスキルが多岐に渡りますが、例えば将来的に人事部長を目指すか、独立を目指すかなどで日々の業務への向き合い方は当然変わります。

今回は人事としてキャリアアップを目指されている方に向けて、あらためて人事の役割について確認するとともに、人事としてキャリアアップや転職を考える上で役立つ資格について解説します。いま人事の仕事に就かれている方、将来の人事として活躍していくことを考えられている方は、キャリアパスを考える際にこちらの記事をぜひ参考にしてみてください。

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人事の役割とは

まず、人事の役割とはどのようなものかについてあらためて解説します。「ヒト・モノ・カネ・IT」と言われるように人材の観点で経営を支えるのが人事の役割です。しかしながら、人事とひとことに言っても採用、教育研修、給与制度や人事制度の企画運用、人事評価やタレントマネジメント、給与や社会保険に関する業務、労務管理や安全衛生管理、各種労務トラブルの対応などその業務範囲は非常に広いです。

また、会社によっては採用や人件費に関する予算策定、社内イベントの企画運営、パソコンやメールアカウント等の管理のような情報システム関連の業務も人事が担当していることもある他、近年ではリモートワークや副業制度の導入、個人情報保護の強化といった時代の流れを汲んだ新たな取り組みも求められることでしょう。

人事にとっての資格とは

前述の通り、人事の業務範囲は多岐にわたりますが、資格取得に取り組むことはその広い範囲の中の特定の領域について専門性を高めることに役立ちます。資格取得のための学習を通して得られる知識は業務の中で役立つだことは勿論ですが、資格を保有していることで仕事が進めやすくなる、あるいは資格が活かせるプロジェクトを任せて貰える機会にも繋がる可能性などが期待できるでしょう。

また、例えば採用業務に取り組む際には、採用競合に対して研修制度や人事制度についてどのように魅力ある仕組みを導入するかという観点が必要となるように、人事におけるそれぞれの役割は完全に独立しているものではなく、相互に関連しあっているものです。そのため、人事においてある特定の領域について専門性を高める際には、その周辺の業務についても理解を深めていいくことがおすすめです。

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人事がキャリアアップ、転職で有利になる資格

それでは、人事がキャリアアップや転職をするうえで有利になる資格とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。いくつかの具体例について解説いたします。

社会保険労務士

社会保険労務士は社会保険労務士法に基づく国家資格です。労働に関する法令や労務管理、社会保険や年金などの専門家で、人事領域において最も難易度の高い資格の一つといえるでしょう(毎年4万名程度が受験し、合格率は6~7%)。その専門性は高く、社会保険労務士の資格を取得することで労働に関する法令や労務トラブルなどに関する幅広い知見を得ることができ、就業規則など社内規程の整備やトラブルに対する適切な対応などができるようになります。

また、業務範囲を広げることで、人事評価制度に関するコンサルティングや株式上場準備における労務管理体制整備のコンサルティングなど、さらに専門性を高めることもできます。独立することもできる資格ですから、企業への転職だけでなく独立も含めてキャリアアップの選択肢を増やすことができる、大変有益な資格だといえるでしょう。

個人情報保護士

個人情報保護士は個人情報保護士認定試験に合格することで取得できるもので、その名の通り、個人情報保護法やマイナンバーの取り扱いなど個人情報保護、併せてISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの情報管理体制に関する知見等を持っていることを証明できる資格です。

個人情報保護は社会の情報化に伴ってどんどん重要性を増していっており、どの企業にとっても避けては通れない時代であり、2014年にベネッセ社が3,504万件の個人情報漏洩で連日メディアで取り上げられる問題となったように、レピュテーションリスクにも繋がる課題といえるでしょう。このような時代背景の中、多くの個人情報を取り扱う企業にとって社内に個人情報保護士の有資格者がいてくれることは大変心強く、キャリアアップや転職を考える上で強みとなるでしょう。

マイナンバー実務検定

マイナンバー実務検定は、マイナンバー制度そのものの理解や適切な取扱いについての資格です。マイナンバー制度は始まってからまだ期間が短く、社会全体としてもマイナンバー制度の認知や活用は道半ばというものであり、十分な理解に至っている人材や会社はそう多くありません。

しかし、従業員を雇用する会社にとってマイナンバーの適切な管理は必須のものであり、一定の知識を持った人材が関わらなければ、会社にとってリスクを生じさせるものでもあります。マイナンバー検定は1~3級まであり、一定の専門性を示すには2級または1級の取得に取り組むのがよいでしょう。個人情報保護士と同様、社内にこの資格の保有者がいてくれることは企業にとって心強く感じて貰えるでしょう。

衛生管理者

衛生管理者とは、従業員が安全に働ける環境を管理する能力を認定する国家資格です。労働安全衛生法により、50名以上の従業員が働いている事業場で設置が義務付けられており、その人数に達するタイミングで社内の誰かが慌てて資格取得に向けて学習を始めるという様子も見られます。

衛生管理者の業務には、事業場の定期巡視、衛生委員会の開催、関係する社内教育の実施などがあります。衛生管理者には第一種と第二種があり、第一種は第二種の範囲に加えて有害業務(建設業や製造業など危険度が高いとされる業務)に関するものが学習範囲に含まれます。第二種は特定の業種のみが対象となっており、第一種は全業種が対象となっているため、第一種のほうが汎用性は高いですが、自身の働く業種によってどちらを取得するか決められるとよいでしょう。

会社として準備が不十分だった場合、事業場の従業員数が50名を超えたけれども衛生管理者を置けていなかったり、一人しかいない衛生管理者が退職してしまったりして困るようなこともあります。資格保有者は一人でも多いほうが組織運営が円滑に運べるため、この資格の取得に取り組むことはどの会社でも歓迎されることでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定は、働く人たちの心の健康管理(メンタルヘルス・マネジメント)に関する知識や対処方法について理解を深めるための試験です。近年、従業員のメンタルヘルスケアは企業にとってとても重要な課題となっており、この領域に取り組むことは社員が健康で持続可能な生活を送ることができるようになるだけでなく、会社にとっても離職率の低下や人的資源の活性化、ひいては生産性の向上などの効果が期待できるものとなっています。

検定にはⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種があり、人事の仕事に就いている方には、ぜひ最も高度なⅠ種の取得を目指してほしいところです。また、従業員の働きやすい職場環境作りを実現するために、前述した衛生管理者も併せて取得すると、実務の上で多いに役立つでしょう。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、学生や求職者に対して職業選択や能力開発に関する助言を行うことでキャリアプランの構築を支援する国家資格で、国内のキャリアコンサルタント登録者は約6万名に上ります。キャリアコンサルタントの活躍の場は多く、企業の人事部門だけでなく、教育事業や人材採用事業を行っている会社、あるいは大学や専門学校のキャリアセンターなどでも求められる資格です。

企業の人事部門においては単に従業員のキャリアプランに関する相談に乗るだけにとどまらず、キャリアパスについて考える従業員に魅力を感じてもらえるような人事制度の立案や採用活動を行う上でもとても役立つものになるはずです。尚、キャリアコンサルタントの資格は更新が必要であり、5年ごとに厚生労働大臣の指定の講習を受ける必要があります。

GCDF(Global Career Development Facilitator)

GCDF(Global Career Development Facilitator)は特定非営利活動法人キャリアカウンセリング協会が運営する国際的なキャリアカウンセラー基礎能力を認定する資格です。日本、アメリカ、カナダ、中国、韓国、台湾、ドイツ、シンガポール、香港、ギリシャ、ニュージーランドなど世界16か国で採用されている資格であることはご紹介した他の資格との大きな違いといえるでしょう。

GCDFの取得に際してはGCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングを受講の上でキャリアカウンセリング協会実力判定試験に合格する、あるいはGCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングを受講し、キャリアコンサルタント国家資格に合格することが要件となります。GCDFもキャリアコンサルタントと同様に、3年ごとに更新が必要となります。

人事総務検定

人事総務検定は、人事総務の実務や関連する法律知識の取得に役立つ資格です。試験には1級(課長レベル)、2級(主任レベル)、3級(担当者レベル)があり、3級から順に学習することで人事総務に関する幅広い知識を身につけることができます。社会保険労務士の学習範囲とも重複しているところが多いので、この資格から学習を開始してゆくゆくは社会保険労務士にチャレンジするというのも良いでしょう。

人事のキャリアパスについて

人事の業務範囲はとても広いため、そのキャリアパスについても選択肢は少なくありません。「働き方改革が進む中、人事が転職活動で考えるべきこととは」のコラムでも書かせていただいたように、人事部門のマネジメント(役職者)や、経営層の一人であるCHROを目指すのもよいでしょうし、社会保険労務士のように専門性の高い資格を取得するなどして独立を目指すのも選択肢の一つです。あるいは社会保険労務士でなくても、「採用」「人事評価制度」「上場準備」など明確な強みを身につけられれば、その領域のコンサルタントとして独立することもできます。自身が最も魅力を感じる領域はどこなのか、どういったキャリアを歩みたいのか、いろいろな選択肢をもって考えてみるとよいでしょう。

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最後に

今回は、人事がキャリアアップや転職を考える上で役に立つであろう情報を、資格を中心にご紹介させていただきました。人事はあらゆる企業にとって欠かすことのできない機能ですから、この領域で専門性を高めるとキャリアの選択肢は大幅に増えていきます。転職を考える上でも、自身の目指す姿が明確になっていることは大変重要です。ご自身の目指すキャリア像や働きたい会社、目指す人生をぜひ実現いただければと思っております。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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