新規事業ポジションへの転職で理解しておくべきメリット・デメリットを解説!

転職活動の際に目にする新規事業ポジションの求人情報は刺激的でエキサイティングに感じる方が多いのではないでしょうか。しかしながら、新規事業求人には当然ながら新規事業ならではの仕事の進め方の難しさなどがあります。本記事では新規事業求人に応募する際に注意すべきポイントをいくつかご紹介します。

目次

新規事業求人の動向

高度経済成長期が終焉を迎えて以来、連続的な成長が見込まれる産業は一握りといっても過言ではないでしょう。そのような中、企業の多くは既存事業領域の拡張、あるいは飛び地となる新規事業などを仕掛けていくことで新たな事業の柱を築き、VUCAの時代を乗り越えていこうと試行錯誤しています。

インターネットビジネスが当たり前になった2010年代においてはIT・Webに関連する新規事業に着手する企業の他、人材難がさけばれる中で人材紹介や副業など人材に関する領域にて新規事業を仕掛ける企業などが台頭しました。そして2020年の新型コロナウィルスの問題を受けてデジタルシフトが進み、DXをキーワードにした新規事業に着手する企業が増えてきています。

また、岸田政権がスタートアップ支援を掲げたことから、今後はこれまで以上に多くのスタートアップが立ち上がることが見込まれます。しかしながら、多くのスタートアップは、技術などはあるものの、リソースがなく、なかなか早期に立ち上がることが難しいです。そのような背景において大手・中堅企業が特異な技術などを有するスタートアップと提携する形での新規事業なども多く立ち上がっていくことでしょう。実際にCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を設置の上、出資し、スタートアップと提携を進めるような大企業も今では一般的になりつつあります。

新規事業ポジションへ転職する際に

こちらでは新規事業ポジションに転職をする前に理解しておくべきポイントについて解説します。

新規事業が成功する可能性

1つ目は新規事業が成功する可能性です。新規事業と一言にいっても既存事業と関連する新規事業、全くの飛び地領域での新規事業、あるいは社外において前例がある事業なのかそうでないかによって事業がうまく立ち上がり、軌道に乗る成功確率は大きく変わります。当然ながら既存事業の周辺領域での新規事業であればノウハウが活かせる部分が多いでしょうし、飛び地の新規事業であれば苦戦するシーンは多くなるでしょう。

どのような新規事業にもよるかとは思いますが、多くの場合、新規事業の成功確率は決して高い訳ではありません。どれだけリスクが高い事業かどうかを見極めることは新規事業ポジションの求人を見極める上で最も大切なことといっても過言ではないでしょう。

新規事業の位置づけ

2つ目は新規事業の位置づけです。例えば社長発案で会社変革のためにも全社で力をあげて取り組んでいきたい新規事業なのか、事業部内で将来の可能性を見据えてスモールスタートで進めている新規事業なのかといった観点で見た際に、同じ新規事業でも企業における重要性の違いが全く異なるのはご理解頂けるかと思います。

社長が主導する肝いりの新規事業であれば簡単に撤退するという選択はないかと思いますが、事業部内で試験的に進めている新規事業はうまくいく見通しが立たない段階で早々に撤退の選択をする可能性もあるでしょう。このような新規事業の位置づけを見極める方法として、例えば新規事業の部門がどこに紐づく部門か、レポートラインがどのような立場の方になるかを押さえておくことなどがあげられるでしょう。

新規事業に挑戦した後のキャリア

3つ目は新規事業に挑戦した後のキャリアです。新規事業が軌道に乗った場合にはそのまま事業責任者などを務めることが多いですが、新規事業を撤退した場合にはあらためて新規事業を任せて貰える機会があるとは限りません。むしろ既存事業部の営業部門、事業企画、あるいは全社横断で業務を行う経営企画など、新規事業と異なる別部門に異動になるようなケースの方が圧倒的に多いです。

新規事業に挑戦した後、どのようなキャリアを選択するかにおいて正解はありません。自身が中長期でどのようなキャリアを描いていきたいかを整理の上、自分の思い描くキャリアプランが実現できそうな新規事業ポジションを選択すると良いでしょう。

新規事業ポジションへの転職に向けて

こちらでは新規事業ポジションへの転職に向けてのポイントについて解説します。多くのビジネスパーソンが多忙である中、現職のパフォーマンスを落とさないよう、効率的に情報収集を行う必要があるでしょう。こちらではこのような方の転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します。

スカウトサイトを活用した転職活動

一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「エンミドルの転職」などが挙げられます。このような転職プラットフォーム市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズ(現東証グロース)にも上場を果たしています。

これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。このようなプラットフォームに「新規事業に挑戦したい」等の希望条件の記載をしておくと、必然的にそのような情報が集まりやすくなるでしょう。

また、どのような企業がこれまでの経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。

転職エージェントを活用した転職活動

前述の様な転職プラットフォームサービスの台頭はあるものの、まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。

転職エージェントは国内に数万社あり、新規事業やスタートアップに強い転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。

最後に

今回は新規事業ポジションへの転職を目指す方向けに解説をいたしました。新規事業は企業によって位置づけやリスクが大きく異なります。今回ご案内をさせて頂きましたポイントを踏まえながら、自身の目標や価値観に合致する新規事業への転職を検討してください。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

目次