私たちの日常生活、仕事の中では思いがけない出来事が発生し、時には怒りを感じることもあります。しかしながら、この怒りを上手く管理することが、人間関係を良好に保つ鍵になります。今回はこのような怒りをコントロールするアンガーマネジメントについて解説していきます。
アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは、その名の通り、怒りを適切に管理し、コントロールするための技術や方法のことです。自分の感情を理解し、適切に表現することで、無駄な衝突を避けることはストレスの軽減にもつながりますし、仕事やプライベートでの人間関係を良好なものに変えていくことに繋げられるでしょう。
アンガーマネジメントの基本原則として重要なのは、まず自分の感情を適切に認識し、その原因を理解することです。感情は私たちの行動に大きな影響を与えるため、それを適切に理解することが重要です。
また、怒りを表現する際には「非難や攻撃的な言葉を避ける」「冷静に話し合い、解決策を探る」といったコミュニケーションの技術が求められます。併せてそもそもストレスを感じる状況を事前に予測し、可能な限り回避する予防策をもっておくことも大切な観点といえます。
組織運営に欠かせないアンガーマネジメント
例えば職場で怒りの感情をあらわにしてしまうことは、自分自身だけでなく、同僚や組織全体にまで悪影響を及ぼす可能性があります。怒りによって意思疎通がうまくいかなくなったり、チームの士気が低下したりすることもある他、そのような職場環境で働きたくないと退職を助長させてしまうことにも繋がりかねません。
人材獲得難の時代であり、生産性を高める、定着率を高めるといった取り組みが重要視される中、怒りに身を任せた発言などで生産性や定着率の低下に陥ってしまうことは時代に逆行してしまうようなことだと認識しておくことが大切です。
また、パワハラなどのハラスメント行為は職場だけではなく、社会的に無くそうという動きがあり、また今の時代は一時の感情に身を任せた発言がSNSなどに晒されて炎上するといったことも珍しくありません。管理職など責任ある立場に就いている方はこのようなレピュテーションリスク回避のためにもアンガーマネジメントはこれまで以上に重要となるでしょう。
具体的なアンガーマネジメント手法
ここまではアンガーマネジメントの概要についてご案内させて頂きました。ここからは日常生活、ビジネスシーンの中で怒りを感じた時の対処法について解説していきます。
6秒ルール
アンガーマネジメントの代表的な手法に「６秒ルール」という手法があります。６秒ルールは日常生活やビジネスシーンの中で怒りを感じたとき、相手に対して直ちに反応するのではなく、6秒間待つ（この６秒間の過ごし方は別のことを考える、一旦、頭を切り離して６秒を数えるなど）というシンプルな手法です。
怒りの感情のピークは長くて６秒だといわれており、何か怒りに直面したとしても、この６秒間待つという行為がアンガーマネジメントにおいては大切になります。アンガーマネジメントの第一歩として取り組みやすい手法といえるでしょう。
怒りを点数化する
上記の６秒ルールにてカウントをしている間に怒りの点数化を行うというアンガーマネジメントの手法もあります。この取り組みを行うには、普段の冷静なときの怒りを事前に点数化しておくことがポイントになります。具体的には、怒りのない平常時を０とし、これまで自分の中で耐え難い怒りを感じた瞬間を10とします。そして何か怒りを覚えた際には、これまでの高い点数のことを思い返し、怒りを抑えるというのがこの手法となります。
アンガーログの記録
アンガーマネジメントにおいては自分自身が何に怒りを感じるかなどのアンガーログ（スマホ等に簡単な記録を行う）を残しておくことも、アンガーマネジメントを行う上で効果が見込まれます。アンガーログを記録することで自分が怒りを感じやすいシーン、傾向が見えるようになるでしょう。
怒りの要因と距離を置く
怒りを抑えられない場合には怒りの要因と距離を置くのも効果的です。例えば職場の場合には上司や同僚など怒りの要因となる人と、怒りの感情を抱く瞬間からずっと同じ空間でこらえ続けることは容易ではありません。このように怒りがおさまらない場合には、例えばコンビニに買い物にいく、オフィスの周辺を散歩するなど怒りの対象と距離を置くとよいでしょう。
ただし、一過性のものではなく、恒常的に合わない考え方の相違、ハラスメント行為による怒りなどの場合には必ずしもアンガーマネジメントで対処し続けることが健全とは言い難いので、環境を変えるという選択肢をもってみてもよいかもしれません。
自分以外の人の価値観を認める
自分の価値観を相手に求めると、当然ながら折り合いがつかないことが多く、価値観の相違が起こる瞬間に怒りに繋がります。このような価値観の相違が起こるごとに怒りを堪えるのもキリがないですし、異なる価値観に触れても平穏な気持ちでいれると日頃のコミュニケーションが楽になるでしょう。
それではこのように自分以外の人の価値観を認めるために何をすべきでしょうか。まず第一にすべきことは自分の大切に価値観を洗い出し、自覚することが大切です。自分の価値観がどれほど多くの方に共感されやすい（共感されにくい）のかまで理解をしていれば無用なストレスを感じずにすむことでしょう。
アンガーマネジメントが難しい職場環境の場合には転職も選択肢に
アンガーマネジメントが難しい、連日平穏な心持ちで仕事にのぞめない職場環境の場合、転職をすることで健全な状態を保つというのも一つの選択肢といえるでしょう。しかしながら、アンガーマネジメントなどを気にせずとも働ける自分に合った職場環境を選択するのは容易とは言い難いです。
このような場合、転職エージェントを活用した情報収集がおすすめです。転職エージェントは、求職者向けに転職をサポートしてくれるサービスであり、企業の現場とも接点をとっていることも多いため、応募前の段階で職場環境などに関する情報提供をしてもらうことも可能です。
職場環境の他に離職率など、時には人事担当者には直接聞きにくいセンシティブな内容も、転職エージェントを介してのコミュニケーションを行うことで角を立てずに確認できるため、徹底的に情報収集をしてから応募したい方にもおすすめできます。
最後に
今回はアンガーマネジメントについて解説をしました。アンガーマネジメントの代表的な手法である６秒ルール、アンガーログなどにより、できる限り怒りをコントロールできることを目指していくとよいでしょう。また、アンガーマネジメントを駆使しても厳しい職場環境の場合、転職によって職場環境を変えることも健全に仕事をしていくために大切です。
