「レイオフ」とは？もし勤務先でレイオフの発表があった時の対応と心構え

企業経営の戦略転換や経営状況の悪化など、さまざまな事情により大規模なレイオフが決定され、ニュースとして報道されることがあります。もし自分が会社都合で突然レイオフがあったときにはどうしたらいいのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回の記事ではレイオフについて解説します。レイオフの概要や、実施される理由、実施された場合の対応について見ていきましょう。

レイオフとは

レイオフについてよく知らない方は多いのではないでしょうか。その理由としては、日本ではあまりレイオフが行われておらず、類似の意味合いを持つ「リストラ」や「整理解雇」が実施されているためです。まずはレイオフの定義についておさえておきましょう。

レイオフとは

レイオフとは、会社が経営上の理由で労働者を一時的に（または永続的に）職から解雇することです。主に、会社の経済状態の悪化や技術革新による労働力の必要性の変化、会社の再編や合併、などさまざまな状況により起こります。レイオフの決定は従業員の生活だけではなく、地域経済にも影響を与えることも多い傾向です。

レイオフとリストラの違い

完全に解雇するリストラとは異なり、レイオフはあくまでも一時的な措置で、業績が回復した際には再雇用することが前提、というニュアンスを含みます。海外の企業・外資系企業でよく実施されるレイオフですが、日本では一時的な措置であったとしても解雇に対する規制が厳しいため、日本・日系企業ではあまり実施されていないのが実情です。

レイオフの実例として、近年ではGoogle・Amazon・Meta（旧Facebook）社などの外資系各社の米国本社で実施されています。レイオフされる対象は、主に不採算が見込まれる部門の入社間もない社員や経験の浅い若手社員になることが多いです。リストラや希望退職制度では40代以上の社歴の長い中高年層が対象になることからも、レイオフとリストラの違いが見てとれます。

日系企業では外資系企業のように数年単位で転職を繰り返すことがそれほど一般的ではなく、一度辞めた会社に戻るという再雇用が慣習的に行われていないため、人員削減が迫られた際には「レイオフ（一時解雇）」ではなく「リストラ」を選択し、再雇用前提ではない解雇が実施されています。

レイオフの背景

そもそもなぜレイオフが行われることになるのでしょうか。レイオフが実施される背景には、企業側のさまざまな事情があります。景気の後退期には、消費の落ち込みや投資の減退が企業の収益を圧迫し、人件費削減のためのレイオフが行われることがあります。組織再構築やM&Aによる統合も、業務の重複や合理化を理由にレイオフが実施されるケースです。

上述の通り、レイオフはリストラと異なり、再雇用を前提とするニュアンスを含みますが、これはスキルを持った人材の再雇用には前向きな姿勢を示し、人材の流出を防ぎたいという企業側の意図によるものです。従業員側としても、転職の好機として活用する人、レイオフ後のキャリアブレイク（休職期間）でリフレッシュする人、スキルアップに充てる人など前向きにとらえる人もいます。

レイオフに関する法律と規制

日本にはレイオフのみを規制する法律はありませんが、レイオフを含む「解雇（会社都合の雇用契約の終了）」全般を厳しく規制する法律があります。これは労働者として働く従業員の権利が保護のためのものです。

集団解雇を伴うレイオフに際しては、労働基準法に基づき、雇用者（企業）は一定の事前通告期間を従業員に提供する義務があります。また、解雇予告手当の支払いや再就職支援が定められています。さらに、企業は従業員との協議を通じて、レイオフに関する情報を開示し、可能であれば代替案を検討する必要もあります。労働組合が存在する場合には、その協議過程もより複雑なものとなるでしょう。

ちなみに、レイオフに関する法令は国や地域ごとに異なり、場合によっては産業別の特別な規制が設けられていることもあります。

レイオフ決定後の従業員が取るべきステップ

日本の企業でレイオフの事例は多くありませんが、外資系の企業に勤務している場合、構造変化や事業縮小などにより、リストラなどの解雇のリスクはあるといえます。ここからは、もしも自分の勤務先の本社でレイオフが決定したら従業員はどうすべきかを解説します。

もし解雇されたら

解雇の通知を受けたらまずは、会社から提供される補償や支援の内容を確認し、必要な手続きを済ませましょう。そのうえで、失業保険の申請を行うことで、当面の生活のための資金確保を進めやすくなります。また、転職活動に向けて転職エージェントに登録し、キャリアカウンセリングを受けたり、職業訓練の利用を考えるのも良いでしょう。

自己スキルの見直しとキャリアチェンジ

レイオフはキャリアにとって大きな転機となることもあります。これを機に、自分のスキルを見直し、どのような仕事が適しているかを考えてみましょう。市場で求められるスキルは日々変わるため、継続的にスキルアップや資格取得に励むことが大切です。

場合によっては、全く新しい分野へのキャリアチェンジも視野に入れることがおすすめです。自分の興味や適性について自己分析し、新たな職業への道を歩み始めても良いでしょう。キャリアチェンジには時間がかかることもありますが、長期的に見て自身の成長と充実した仕事人生につながるはずです。

心の準備・家族との相談を

レイオフを経験することは、心理的にも大きな影響を与えることがあります。自己肯定感の低下や将来への不安が生じるかもしれません。そんな時は、ご家族や友人との対話を大切にし、ポジティブな心持ちを維持する努力が必要です。また、プロのカウンセラーやコーチと相談することも心のサポートになります。ストレス管理や感情のコントロールを学ぶことで、逆境を乗り越え、次のステージへと進む力を養うことができるでしょう。

レイオフを乗り越えるための対処法

レイオフという厳しい状況に直面したとき、心理的な負担は大きいものです。本項は、心理的な対処法における具体的な方法をご紹介します

ストレスマネジメント

レイオフによって心理的に負担を感じたときには、ストレスマネジメントを検討してみましょう。ストレスマネジメントとは、ストレスの原因を理解し、ストレスをコントロールするスキルを身につけることです。レイオフされたときに感じるストレスは、不安定感や自己評価の低下につながります。こうしたネガティブな感情を管理するためには、まずストレスの源を明確にして、それから対処する方法を学ぶ必要があります。健康的な生活習慣を維持すること、定期的に運動すること、趣味の時間を持つことなど、ストレスを軽減するための行動を心がけましょう。

失業保険の活用

レイオフに伴う失業時には、失業保険が大きな支えになります。これは、働いている間に支払っていた雇用保険の給付金であり、申請することで受け取ることができます。申請の前提として、直近2年間で12ヶ月以上の雇用保険に加入している期間が必要です。住んでいるエリアの管轄のハローワークに足を運び、必要な書類を提出することで手続きが開始されます。

レイオフ後の再就職へ向けた準備

転職は人生の大きな節目であり、計画的な準備が重要です。再就職活動を始める前に、まずは自己分析を徹底しましょう。これまでの経験やスキル、強みや改善点を把握し、ビジョンを明確にすることで、自分が目指すべき道を明確にできます。

履歴書と職務経歴書のブラッシュアップ

履歴書と職務経歴書の作成・アップデートは、転職活動の第一印象を決定づける大切なステップです。読みやすく、かつ自身の経験や能力を的確に伝える工夫が必要です。履歴書では、基本情報が正確であり、誤解を与えないように明確な内容を記載しましょう。職務経歴書では、具体的な業務内容や達成した成果、その際に身に付けたスキルを詳細に記述してください。可能であれば、成果を数字で示すことで、信頼性を高めることができます。書類を何度も見直し、第三者に目を通してもらうことで、よりよい内容へとブラッシュアップできます。

ジョブサーチの戦略

再就職活動における効果的なジョブサーチ戦略は、時間を有効に活用し、適した職に巡り会える可能性を高めます。まず、転職サイトや転職エージェントを活用し、希望する業界や職種の情報を集めましょう。次に、自らが目指すキャリアパスに沿った企業をピックアップして、リストアップしてください。無駄な応募を減らし、効率良く活動できます。

情報交換の場として職業相談会やキャリアフェアへの参加も有効です。人脈を広げることができるほか、業界のリアルな声を直接聞くことが可能です。目標を明確にし、それに向かって地道なリサーチを積み重ねていきましょう。

スカウトサイトを活用した転職活動

スカウトサイトを活用した転職活動もおすすめです。転職活動は時代とともに変化をしています。以前は掲載されている求人情報から希望に合ったものを自分で検索する「転職サイト」が主流でしたが、現在は自分のプロフィールをプラットフォームに共有してスカウトを待つタイプの転職プラットフォームに移行しつつあります。

具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「エンミドルの転職」などが挙げられます。このような転職プラットフォーム市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズ（現東証グロース）にも上場を果たしています。

また、どのような企業がこれまでの経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、慎重に進めたい人にとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。

転職エージェントの有効活用

レイオフ後は、転職エージェントに登録してキャリアカウンセリングを受けることで新たな職への道を探ることも大切です。専門家のサポートを受けながら、自分に適した職種や職場環境を見つけ出しましょう。自己分析を深めつつ、次のステップへと進む準備を整えていきましょう。

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最後に

本記事では、レイオフに陥る理由や、レイオフが決定した場合の対応などについて解説しました。レイオフは、働く従業員にとって深刻な問題です。とくに、収入がストップしてしまうといった点は、生活に大きく影響することであるため、レイオフ後にどのような対応・手続きを踏むべきなのかを把握しておかなければなりません。レイオフに備え、あらかじめ情報収集をすすめておきましょう。