ECベンチャー、スタートアップ企業への転職の際に知っておくべきポイント

2000年代以降、Amazonや楽天市場のようなECプラットフォーマーの台頭で国内EC市場が成長してきました。2020年の新型コロナウイルス問題もあった中、小売を主戦場としたメーカー等のEC市場への参入がこれから相次いでくることが想定されます。

こちらの記事ではEC業界全体の動向、またそのような中でどのようなことを考え、転職活動にのぞんでいくべきかなどについて解説します。

目次

EC業界の歴史

ECが普及したのは1990年代後半からといわれています。Windows95や同98の登場、インターネットの定額制、ブラウザの進化などにより、誰でも簡単にECを利用できる環境が整いました。楽天市場やYahooショッピング、Amazonといった大手が参入したのも、ちょうどその頃です。

2000年代になるとスマートフォンの登場、更にはアパレルECのZOZOをはじめとした領域特化型ECプラットフォームの台頭により、EC市場はさらに拡大しました。特にスマートフォンの普及により、通勤時間などいつでもショッピングができる世界が当たり前になってきたことはEC業界にとって大きなターニングポイントの一つといえるでしょう。

2020年には国内B2CのEC市場は19.3兆円にまで膨らみました。しかしながら、世界と比較した場合に、海外のEC化率は18%と推計されています中、日本は8.0%と世界を基準に置いた際にはEC化率が決して高いとは言えないのが現状です。また昨今の新型コロナウイルスの影響で、デジタルシフトが進んだとはいえ、世界基準にあてはめた場合にはまだまだEC市場が伸びる余白があるとみてもよいかと思います(EC化率を国別でみた場合には、中国が44%、次いで米国が14.5%)。

一方でデジタル市場が飽和傾向にある中、ECだけではなく、実店舗と連携して「O2O(Online to Offline)」など、双方を有効に活用できるオムニチャネル化を進めることで、他社との差別化を図る企業も増えています。日本ではセブン&アイホールディングス、イオン、無印良品などがその代表格といえるでしょう。

EC業界への新規参入

これまでもAmazonや楽天市場などのECプラットフォーマーの存在で、EC業界への参入障壁が下がりましたが、近年ではBASE、メルカリ、ラクマのようなサービスの台頭で、個人、小規模事業者のEC市場参入も容易になりました。新型コロナウイルス問題によるデジタルシフトの後押しもある中、小規模事業者の参入、あるいはベンチャー、スタートアップ企業のEC市場参入は今後さらに増えていくことが想定されます。

また、一方でEC業界では既製品の販売だけでなく、会社名などを印刷したカレンダーや文具、あるいはロゴ入りTシャツなどアパレル商品のように、オーダーメイド型EC事業を展開するベンチャー、スタートアップ企業の参入もこの数年で増えてきました。

このようなEC企業は自社で工場を有するメーカーからEC事業者に転じるケースの他、ECに強みを持つ企業がメーカーと提携する形で参入するなどの幾つかのパターンがあります。このような特異性のあるECは前述のようなECプラットフォームではなく、自社独自のECサイトを立ち上げ、運営されるケースが多いです。

小売業界の裾野が広いように、EC業界もニッチな領域などに参入する形でうまく立ち上がっている会社は多いです。そのようなマーケットの間隙を縫ったニッチ領域でEC事業を展開することができれば、ベンチャー、スタートアップ企業であっても、EC市場に参入して成功する勝機は大いに見込めるのです。

ECベンチャー、スタートアップ企業へ転職する際に重宝されるスキル

EC業界へ転職するときは、どのようなスキルが重宝されるのかご紹介します。

①分析力と改善能力

EC業界ではカスタマーサポートなど一部の業務を除いて、顧客と接する機会は滅多にありません。ほとんどは、PV数、CVR、ROI(費用対効果)といった定量的な指標、データを踏まえて如何に施策に繋げるかが重要になります。

これらを分析して課題を見つけ、改善したり新たな施策を立てたりすることができれば、EC業界では強みとなるでしょう。ただし、そこに至るまではトライアンドエラーの繰り返しであり、成果を得るまでは時間がかかります。それでもあきらめずに継続できる粘り強さも欠かせません。

②webマーケティングの知識

自社サイト運営企業であれば、自社サイトへの集客が当然肝になります。そのような中、広告運用やコンテンツマーケティング、SEO対策、あるいはTwitterやインスタグラムなどSNSの運用などwebマーケティングの知見は活かせることは多いでしょう。

③物流などの仕組み作りに関する知識・経験

ECサイトの運営は当然webだけでは成立しません。ECサイトでユーザーに購入いただいてからの受発注体制、更には物流倉庫と連携した在庫管理なども重要になる中、そのような仕組みづくりに関して知見がある方も活かせる部分があるでしょう。

特にECで購入いただいたものの、その後のオペレーションが機能せず、結果的に利益率を大きく下げてしまい、最終的に利益が残らないというケースは多く、このような受発注、物流領域に課題を抱える企業はとても多いです。

④商品クリエイティブの知識
楽天市場のようなECモールにせよ、自社ECにせよ、ECサイトでの商品写真には売上に大きく影響します。そのような商品写真のクリエイティブ制作に関する写真撮影、撮影後の商品写真に文字など装飾をつけるwebデザインなどの知見はEC業界で多いに発揮いただけるシーンがあるかと思います。

EC事業者の多くの場合は、これらを外注していることが多いのです。ただし、当然外注任せではなく、自社で主導権をもち、どのようなクリエイティブであれば効果が見込めるかなど仮説検証をしながら外注先に具体的なクリエイティブの作成などを依頼できる体制を構築したいという意向をもっている企業は多いです。そのような中、上記のような知見でもってECサイトのUXに繋げられるような方は重宝されるでしょう。

上記のような項目がEC業界への転職の際にアピールすべきポイントといえるでしょう。そしてEC業界のようにweb領域では感覚的、情緒的なアピールよりも、定量観点での実績の方が重視される傾向にあります。問題解決に向けた工夫などによって、どのような定量的な実績がでたかなどを職務経歴書などにまとめておくことも、転職活動の上で重要なポイントといえます。

参考情報:職務経歴書作成で大切な実績の書き方

ECベンチャー、スタートアップ企業を見極めるポイント

いくらEC市場に成長性があるといっても、すべてのベンチャー、スタートアップ企業が生き残れるとは限りません。EC市場に参入したものの伸び悩んでしまうことは往々にしてあるでしょうし、競合のひしめくレッドオーシャンで展開している企業の場合には倒産などに追いやられてしまう可能性も十分にあり得ます。

そのような群雄割拠のEC市場の中、中長期的に成長が見込まれる企業かどうかを見極めるのが大切です。こちらではそのようなEC市場の中で勝てるベンチャー、スタートアップ企業を見極めるポイントをご紹介します。

①ブランディング力

EC業界で成長するベンチャー、スタートアップ企業の特徴の一つとしては、ECにおけるブランディングを如何にうまく仕掛けられているかという点があります。ブランディングは言うまでもなく、そのブランドのファンになって頂く仕掛けであり、例えば、今や国内で最も高い価格設定ながら来場客の成長を続けてきたユニバーサルスタジオジャパンなどをイメージいただくとブランディングの重要性はご理解いただけるかと思います。固定のファンとなるユーザーの存在が多くなれば収益安定化、利益率向上など企業経営の強い基盤構築に繋がります。

ECの世界は店舗ビジネスで展開するブランディングと仕掛けが異なります。例えばインフルエンサーの活用、TwitterやインスタグラムのようなSNSでのフォロワー獲得施策などwebならではの仕掛けが必要となってきます。そのような仕掛けに長けたマーケティング責任者などがEC事業を牽引している企業であれば、今後の成長に期待できる可能性は高いでしょう。

②商品力

高い技術力による機能性の高い商品、あるいは海外工場などとの提携により他社では実現できない低価格で提供できるなど、自社固有のオリジナリティある商品力をもっている企業か否かという点も重要です。転職活動の際には、応募企業がどのような強みをもって商品を提供されているのかという点もしっかりと押さえるようにしましょう。

また、商品力に関しては前述の通り、オーダーメイドECのような形で展開している企業も該当します。このような企業の場合にはどのような形でECでの受発注~オーダーメイド品の生産までのビジネスプロセスを構築されているのかなどについて理解をしていくことが大切です。

③EC以外の領域でのビジネス展開

前述しました通り、O2O(Online to Offline)のようにEC以外の領域でのビジネスと掛け合わせる形で、ユーザーに特別な体験を提供する戦略を進める企業が増えています。例えば普段ECで購入している食品を店舗で自分が作り手として体験できるなどといったイメージになります。

特にこのような戦略をとる企業は元々実店舗を有したビジネスを展開していた会社が、ECと掛け合わせる形で仕掛けるようなケースが多いです。ECだけでなく、実店舗も展開されている企業の場合には、そのような独自のユーザー体験などに力を入れていないかどうかなどを面接の中で聞かれると良いでしょう。

上記は主に有形商材を扱うB2CでのEC事業を展開する企業を見極めるポイントを挙げさせてもらいました。最近ではハウスクリーニングや修理などのようなサービスのECなどを展開する企業も登場しています。EC市場が拡大する中で新たな領域でまだ世の中にないサービスを展開する企業は今後も増えてくるでしょう。そのような新市場で展開するEC企業の場合には市場規模や成長性などを中心に企業理解を深めることをお薦めします。このようなベンチャー、スタートアップ企業の見極めに関して、詳しくは以下記事も参考にされてみてください。

参考記事:急成長を遂げるベンチャー、スタートアップの特徴とは?

まとめ

EC業界は世界水準と照らし合わせても、まだまだ成長性が見込めるマーケットといえるでしょう。今後も新たなベンチャー、スタートアップ企業のEC市場参入が見込まれるものの、群雄割拠のEC市場の中でどのような企業が成長を続けるのかを見極めること、またそのような企業で必要とされるスキルを身に着けていくことが大切になってきます。

転職活動の際には応募企業の強みやビジネスプロセスを理解し、その上で自分がどのように働き、どのように役立てるか明確にしていくようにしましょう。

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