転職活動の面接で想定外の質問を受け、うまく答えられず、戸惑ってしまったという経験をした方は多いのでないでしょうか。面接という緊張感のある空間で、自分の経験などをアピールするためには、面接前にしっかりと準備をすることが大切です。今回は面接でよく聞かれる質問の意図、回答をする時に気をつけるべきことを解説していきます。
事前に面接官の質問意図はどのようなものかを把握し、志望している企業に合った自分なりの回答を作っていきましょう。転職活動、面接を有利に進めていくためにも、ぜひ参考にしてみてください。
転職活動の前提条件
中途採用は第二新卒のようなポテンシャル採用を除き、基本的にはこれまでの経験などを踏まえ、採用した場合に自社にメリットがあるかどうかを重視します。また、応募者に何度も面接などの時間をとって貰うことが難しい、仕事が回らないためにすぐにでも採用をしたいというような事情を孕む中途採用では、新卒採用と比べると短い選考回数で企業に自分をアピールしなければならないことが多いです。小規模な企業の場合、一度の面接だけで決まるケースもあります。
このような短い選考回数の中で内定を勝ち取るためには、面接の中でこれまで培ってきた経験やスキルが活かせ、応募企業で即戦力として活躍できることを明確に伝えることを意識して臨むことが大事でしょう。そのためにも、転職活動を始める際には最初に自己分析をしながら自分のキャリアプランを具体化し、面接に臨むように心がける必要があります。
転職活動を始める際に
新卒の就職活動は業界知識が少ない、仕事の具体的なイメージなどが持ちきれない中で決断をした人も多いかと思いますが、中途採用では一度就業をした中で見えた自身の価値観を基準に希望条件等を事前に明確にして決断する必要があり、面接の中でもそのような価値観などに触れるような質問を投げかけられることも多いです。しかしながら、何度か転職をした方でもない限り、転職活動でまず何から始めて良いかわからないという状態の方が多いかと思います。
転職活動の第一歩は自己分析から
転職活動を始める際の第一歩として、最初にすべきことは「自己分析」です。新卒の就職活動の際に、自己分析を行った方は多いと思いますが、言うまでもなく、新卒の就職活動は社会に出る前の自己分析であり、一度、働いたことによって新卒の時と仕事に対する考え方や価値観が変わる方も少なくありません。
例えば自分は旅行が好きだから旅行代理店に就職するも、好きなことを仕事にすると意外にもうまくいかない現実に直面する方、人と話すのが好きだから営業職にという思いで就職したものの、想定以上に厳しい世界であり、営業職以外の仕事にキャリアチェンジしたいという方は珍しくありません。
このように新卒の際に自己分析をしっかりしたものの、なかなか現実は想定通りいかないものです。しかしながら、実際に働いたからこそ大切にしたい自分の価値観などに気づけることもあります。初めて転職活動をされる方は、再度、自己分析を行うことで改めて自分に対しての理解を深めることが大切といえるでしょう。
自問自答を繰り返す
転職理由や自己PRなど、それぞれの整理をしていく上で押さえるポイントは異なりますが、いずれにも共通して言える大切なこととしては何度も繰り返して自問自答を続けていくことです。具体的には「なぜ?」と自分自身で様々な質問を繰り返しながら、深掘りを行なっていく形で自己分析を進めていくと良いでしょう。
このような自問自答を繰り返すことが良い理由としては、自分自身の理解に繋がるというのも勿論ですが、実際の転職活動の面接でも、面接官は「なぜ?」を複数回質問していく中で応募者が自社に合うかどうか見極めていくケースが多いこともあります。
また、何度も自問自答した回答を客観的に見返し、一貫性があるかどうかなどを確認しながら自己分析を進めていくと良いでしょう。最初は自己分析をしている過程で矛盾する部分も出てくるかとは思いますが、そのような部分を一つ一つ深堀りしていくことが大切です。
例えば「労働時間を減らしたい」「年収を上げたい」というと希望条件は両立が難しいケースが多いです。このような場合、いつまでにどのようなスキルを身に着けることができれば実現可能かなど具体化していくことで、今、自分が向き合うべきことが明確になっていくでしょう。後述しますが、一貫性のない回答から自己理解が低い応募者に映ったり、定着に懸念を持たれてしまうなどネガティブな評価に繋がりかねませんので気をつけましょう。
上記は一例になりますが、その他の項目も含め、転職活動における自己分析の進め方に関しては以下記事にもまとめていますので、併せてご参考ください。
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転職理由に関する質問
面接官は転職理由を聞くことで、同じ理由でまた退職してしまう可能性はないか、本音で誠実に話せる人かどうかなどを見極めています。こちらでは面接の際の転職理由の伝え方について解説していきます。
転職理由はポジティブに変換する
転職理由に関わらずではありますが、このような質問についてはまずは本音で誠実に回答することを前提に、ネガティブな内容をポジティブに変換して伝えることを心掛けて臨むことが大切です。例えば「仕事が単調でつまらない」という転職理由に対しては、「変化の多い仕事にチャレンジしたい」とポジティブに変換をして、転職理由とともに転職で実現したいことを具体的に伝えると良いでしょう。不満だけに焦点を当てた回答ではなく、その不満を踏まえて今後は何に重きをおいたキャリア選択をしていきたいか、転職で叶えたいこと等を前向きに考えてみてください。
また、いくらポジティブに伝えたとしても前職で不満だったことだけを述べるだけでは必ずしも好印象に繋がるとは限りません。職場には大なり小なり不満があるのが一般的であり、そのような不満を解決するために自分なりに行動をしたかどうかという事実があるのかどうかはとても重要です。
行動をした上でその不満は解決できそうにない前提の下、そのような不満の無い(または不満となり得る要素が小さい)環境に身を置き、自身のキャリアプランを実現したいという流れで伝えると良いでしょう。
転職理由は定量的、具体的に伝える
転職理由を伝える際は定量的、具体的に伝えることも大切です。例えば残業過多などで労働環境の改善などが転職理由の場合にも「残業が多いので、残業時間を抑えられる環境に身を移したい」とだけ伝えた場合、相手が自分の思惑通りの受け止め方をしてくれない可能性があります。
残業が多いというのは主観的であり、20時間程度なのか、あるいは100時間超で残業未払いなどが起こっているなど定量的な内容も含めて伝えることで、どのような仕事環境で活躍してこられたか伝わり方が異なります。しかしながら、前述のような伝え方の場合、面接官の受け止め方次第では根性が無いような捉えられ方をしてしまう可能性もあります。
また、労働環境の改善などを転職理由に挙げる際には、労働環境を改善して何に充てたいかなども併せて伝えると良いでしょう。労働環境を改善して余暇を楽しみたいのか、資格取得に充てたいのかではこちらも面接官の印象は大きく変わります。こちらでは一例として労働環境の改善の場合の転職理由の伝え方をご紹介しましたが、他の場合においても定量的、具体的に伝えることを意識して臨んで貰うと良いかと思います。
志望動機に関する質問
前述の通り、面接官は中途採用では即戦力性が高い人材かどうかなど、入社後にどれだけ活躍が期待できるか、自社にどれだけのメリットをもたらすのか等を見極めています。しかしながら、企業の求める100点満点のスキルや経験を満たす人材の採用はなかなか難しく、応募者の観点で見てもそれはまた然りです。
そのようなGAPを埋められる意欲の高い人材であるかどうか、また定着して中長期で会社の成長を支えてくれる人材であるかどうかを見極めるべく、志望動機やキャリアプランについて質問をしてきます。こちらでは志望動機、キャリアプランに関する回答でのポイントを解説します。
志望動機とキャリアプラン
中途採用における志望動機は、キャリアプラン(3年後、5年後などにどのような活躍をできる人材でありたいか)と絡めて伝えるような形が好ましいでしょう。中途採用において面接官がこの質問をする意図の一つとしては企業の成長曲線と従業員のキャリアプランがリンクしているかどうかになります。
例えば既存事業を堅実に成長させていきたい成長戦略を掲げる企業に、新規事業など新しい取り組みを積極的にやっていきたいキャリアプランをもった応募者が合わないのは明確です。日系企業の場合、この部分がリンクする人材であれば中長期的に活躍頂けるであろうという見立てを持って選考をする企業が多いです。
ただし、外資系企業やファンドが出資しているような企業の場合、短期でのパフォーマンスを重視した採用を行うケースも珍しくありません。このような経営方針、組織風土の会社の場合には志望動機やキャリアプラン以上に何で貢献できそうかという部分をアピールするのが好ましいですので、応募企業の経営方針や組織風土などは理解の上、準備を進めると良いでしょう。
また、その上で応募先の企業でなければならない理由は何か、なぜ他社ではダメなのかを明確に答えられるようにしてください。より深い質問をされた時に、表面上の受け答えにならないように、しっかりと言語化してから面接に臨むようにしてください。
キャリアプランの立て方
大前提としてキャリアプランの立て方に関して、絶対的な方法というのはありません。例えば「将来、経営者になりたい」「自分にしかできない商品を企画できる人材になりたい」「最新技術を使いこなせるエンジニアになりたい」などの明確な思いをもって社会人生活を過ごしている人の方が稀でしょう。寧ろ将来、どのようなキャリアを歩んでいくことが自分にとってベストか悶々としながら過ごされている方が圧倒的に多く、それ故にキャリアプランを問われた際に回答に詰まる方も多いかと思います。
しかしながら、無理にキャリアプランを絞り出しても結局は内容の薄いものになってしまうことが多いです。このように将来のキャリアプランが明確にない場合には、まずは自分自身のこれまでの経歴の中での価値観、強み、弱みなどを丁寧に棚卸することから始めるのが良いでしょう。
例えば整理して以下のように複数の観点で自分の価値観、強み、弱みなどを整理できれば、自分に合う職場、合わない職場などの解像度が上がりやすくなります。以下のような方の場合、中長期的なキャリアプランまでは見えなくとも、例えば裁量権の高いベンチャー風土の職場環境で提案要素の高い無形サービスの営業をしていくこと等が選択肢の一つとして挙げられるでしょう。
・強みである提案営業のスキルをもっと生かせる環境に身を置きたい
・顧客に感謝される商品・サービスに携わりたい
・裁量権の高い職場で自分の力を試したい
・社内調整・折衝よりも顧客や現場感のある職場で働きたい
・石橋を叩くより、まずはやってみるスピード感のある意思決定環境が好ましい
中長期的なキャリアプランが今はまだ持てないことは決して恥ずべきことではなく、重ね重ねですがまずは自分自身を理解することが大切です。その上で、応募企業が自分の価値観に合う、強みを伸ばすことができる職場だと思って志望した旨などを面接で伝えると良いでしょう。
自己PRに関する質問
転職理由、志望動機と併せ、自己PRは面接で必ず問われる質問の一つです。職務経歴書にはこれまでの仕事内容、実績などを記載するかと思いますが、当然ながら企業側はそれだけで自社で活躍してくれる人材かどうかを見極めるのは困難です。こちらでは面接の中で自己PRを行う際に、どのような点を面接官は見ているのか、踏まえてどのような準備をして臨むべきかについて解説します。
何を求められているかを理解する
自己PRを考える際に大切なことの一つとして、自分が伝えたいことと企業が求めていることが必ずしも一致する訳ではないということを認識しておく必要があります。「求めている人材」の項目などを確認した上で、企業の求める人材像に沿った経験や実績・スキルを選んで答えるように準備し、募集求人に貢献できるスキルや能力を持っていることをアピールしましょう。
また、経験やスキルを伝える際には、目的達成のための行動を具体的に伝え、実績は具体的な数値で語ると良いです。どのような仕事でも達成すべき目的があるので、例えば管理部門などのように具体的な数値が出しにくい部署であった場合でも、目的に向けてどのような意図で行動し、どのような結果に至ったかを論理的に話せると良いでしょう。
面接官は「再現性」を見ている
面接官が自己PR、あるいはこれまでの実績詳細などの質問を通じて再現性のある取り組みなのかどうかを確認しています。例えばとても大きな金額の受注実績をあげていたとしても、その実績が大手上場企業の看板によるものであれば、環境が変わった際に必ずしも活躍できるとは限らないのは言うまでもないでしょう。
自己PRの際には会社の看板のように在籍する会社ならではの特殊な事情での実績ではなく、環境が変わったとしても高いパフォーマンスを発揮できる再現性の高い人材であることをアピールすることを心掛けて準備を進めましょう。
構造的に整理する
自己分析でもう一つ大切なこととしては、仕事の取り組み実績をしっかりと面接官に伝えるために、論理的、構造的に整理しておくことが大切です。整理方法の一例としては以下のように取り組みを整理すると良いでしょう。
①顕在課題:どのような課題が起きているか
②要因特定:その原因にはどのようなことが考えられるか
③施策立案:原因に対してどのような解決策を立てたか
④施策実行:解決策をどのように実行したか
⑤施策検証:施策を実行した結果をどのように振り返っているか
ただし、事前に準備をすることは良いものの、面接官の質問意図を把握しておかなければ、的を外れた回答となってしまいますでの気をつけましょう。そのため、ここから転職の面接でよく質問をされる項目ごとに、面接官の意図と考えておくポイントを解説していきます。
強みと弱みに関する質問
面接の中でよくある質問に「強み」「弱み」はそれぞれ何か問われる質問があります。面接官はこの質問を通じ、応募者自身が何が強み、弱みと認識しているのか、それらを客観的に分析して仕事にどのように繋げているかについて理解しようとしています。また、この質問では、業務上での強み・弱みを聞いていることが多く、性格上の長所・短所の話にならないようにしましょう。
このような強み・弱みを考える際には、現職・前職での成功体験や失敗体験を振り返ることから始めてください。自己PRと同じように強みが活かされたエピソードなどを構造的に整理しながら、どのようなシーンで強みが発揮できたかなど具体的に伝えられるように準備を進めていきましょう。尚、弱みに関しては、弱みを伝えるだけではなく、改善に向けて取り組んでいる内容、行動と併せて伝え、弱みの印象だけが残らないようにしましょう。
併願先についての質問
面接官は、入社意欲、内定を出した際に入社してくれるのかどうか、また併願先の状況によって選考スピードを早める動きをとるかどうかを考えます。また企業選びの一貫性があるかどうかもみています。
他社も受けている場合は、選考中の企業の進捗を伝え、第一志望であれば第一志望である理由とともに伝えると良いです。第一志望でない場合には志望動機を伝えながら、応募企業へ意欲が低く映る伝わり方にならないように気をつけていきましょう。万が一、志望順位を聞かれた場合には、「まだ決めかねている」という形で、回答を濁すのも一つの手です。
面接官は複数の企業を受けていることを理解しており、「受けている企業は貴社だけです」と嘘をつく必要はありません。併願先の会社名など全てを言う必要はありませんが、複数応募していることは正直に伝えた上で、入社意欲、自己PRなどアピールしていくようにしましょう。
面接官への質問
面接で「最後に何か質問はありますか」という逆質問のシーンの中、どのような回答をすべきか戸惑われた方も少なくはないのではないでしょうか。多くの場合、面接の最後にはこのような逆質問の流れになりますが、面接官はこのような逆質問を通じて、質問の有無によって企業研究がしっかりとできているか、入社意思の度合いを見ています。会社や仕事に興味を持っているという意思を伝えるためにも必ず質問をするようにしましょう。
逆質問の内容は、会社や仕事への興味・関心が伝わるような質問にすると良いでしょう。また、事前に自分で調べてわかることよりも、HPなどで企業のことを調べる中で疑問に思ったことを聞くような形が好ましいです。以下記事にて逆質問のポイントについてまとめていますので併せて参考にしてください。
転職エージェントを活用して万全の対策を
企業選びや面接対策の前に、まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。
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最後に
今回の記事では面接でよくある質問について面接官の意図や受け答えの際のポイントについて解説しました。何度か転職を経験した方でもない限りは、転職活動で戸惑うことが多いかと思います。転職に関して知見のある身近な相談できる方、転職エージェントなどを活用の上、有利に転職活動を進めていくようにしましょう。