賞与(ボーナス)とは?支払い時期や計算方法、支給する企業を選ぶメリット・デメリット

そもそも賞与(ボーナス)とは何なのか、額面はいくらになるのか、いつ支払われるのか、などについて疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。転職を検討されている方や、賞与のない企業に勤めていた方であれば、とくに賞与に関する疑問は多いのではないでしょうか。

今回は、賞与の概要及び、支給時期や計算方法、賞与の支給がある企業を選ぶメリット・デメリットなどについて、幅広く解説していきます。

目次

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賞与(ボーナス)とは

賞与とは「ボーナス」とも呼ばれ、基本給とは別に支給されるお金のことです。支給頻度は一般的には年に1~2回、支給金額は基本給のXヶ月分として事前に決めている企業が多い傾向にあります。賞与の回数や金額について明確に法律で定められているわけではないので、企業によっては3回以上の賞与を支給している場合もあります。

また外資系企業・ベンチャー企業では、そもそも賞与という制度を設けていない企業も少なくありません。現在賞与を支給している会社に勤める人の割合は82%程度(出典:令和3年年末賞与についての厚生労働省調査)ですので、2割程度の人は賞与無しの給与制度で働いています。また賞与有りの給与制度で働いている場合であっても、業績や決算連動型賞与の場合、支給が少ない・状況によってもらえないというケースも発生します。

賞与の種類

賞与には「基本給連動型賞与」「業績連動型賞与」「決算賞与」「寸志」の4種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

基本給連動型賞与

基本給連動型賞与とは、基本給をベースとして支給額を決める賞与のことです。具体的には、「基本給○ヶ月分」「基本給の○%分」のような形で金額が決定します。支給額となる基本給の月数は、全従業員一律としている企業が多いものの、中には個人の業績や人事評価などを反映させていることもあり、従業員で異なる場合もあります。

業績連動型賞与

業績連動型賞与とは、企業や個人、部署や部門などの業績に応じて支払われる賞与です。基本給連動型賞与に比べて賞与額決定のプロセスに透明性が担保されるため、賞与額の増減や従業員での支給額に差が生じている場合であっても、従業員の納得が得られやすい傾向があります。そのため、近年は上記の基本給連動型賞与から業績連動型賞与へ移行する企業や、両方を組み合わせる企業が増えています。

決算賞与

決算賞与は決算の時期(決算月~翌月)に支給される賞与です。企業の判断でその期の業績の結果を反映して支給されることが一般的です。よって業績が良ければ多く支給され、業績が悪かった場合には決算賞与が減額、もしくは支給自体がないこともあります。利益を社員へ還元し、社員のモチベーション向上に寄与すると同時に、企業側にとっては税金対策としてのメリットがあります。

寸志

「寸志」は、「わずかな気遣い」といった意味がある言葉で、上記のような通常支給される賞与よりも少額の金額が支給される際に使用されます。支給されるシーンはさまざまです。業績が著しく悪く、賞与を支給できないときに、賞与としては少額が支給されるケースのほか、親睦会などで幹事を務めるなど特別な働きをした場合に支払われる場合も寸志と言われることがあります。

賞与の支給時期や支給対象

賞与の支給時期は、法律等で定められているわけではないので、企業によって異なります。一般的には夏(6~7月)と冬(12月)の時期が多いです。しかし、企業によっては決算の時期であったり、部署や個人などの業績に応じてその都度支給したりすることもあるため一概には言えません。

また、「同一労働同一賃金」の観点から、アルバイトやパートといった特定の雇用形態だけ賞与の支給対象外とすると労働基準法違反に抵触してしまうことがあるため、アルバイト、パートも賞与の支給対象となることがあります。

賞与(ボーナス)の手取りの計算方法

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賞与(ボーナス)は社会保険料や税金が控除されてから支給されます。賞与の手取りは額面金額のおよそ8割程度になるでしょう。

賞与の手取り額の算出方法

賞与の手取り金額=賞与額面総額-(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料+所得税)

※40歳以上の場合は介護保険料も控除されます。

賞与に関わる社会保険料は、賞与額を基準に算出することができます。各社会保険料の計算方法は以下の通りです。

賞与の社会保険の算出方法

■健康保険料および厚生年金保険料について:
標準賞与額(賞与から1,000円未満切り捨てした金額) × 各種保険料率×1/2

■雇用保険料について:
賞与総額 × 雇用保険料率×従業員負担分率

■所得税について:
{ボーナス-(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料)}×賞与に対する源泉徴収税率
※賞与に対する源泉徴収税率は前月の収入や扶養人数によって変動します。

各種保険料率は、お住まいの地域によって異なる場合や、年度で更新されることがあるので、最新の情報を確認したうえで、上記の計算方法で計上してみてください。

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賞与に対して社会保険料の控除が発生しないのはどんなとき?

賞与には必ずしも社会保険料の控除が発生するわけではありません。在職中であっても、そのときの状況によっては賞与に対して社会保険料が発生せず、控除がないこともあります。

産休の取得中

産前産後の休業を取得した場合には、社会保険料の控除がありません。なぜなら、産前休業の取得月から、産後休業が終了した翌日を含む月の前月までは賞与関連の社会保険料が免除されるからです。社会保険料が免除されるので、それに伴い社会保険料の控除もなくなります。

育休の取得中

育児休業中は、社会保険料が免除されます。そのため、育休中は賞与に関わる社会保険料の控除が発生しません。ただし、社会保険料が免除されるのは、育休の取得が1ヶ月を超える場合です。短期間の育休では社会保険料が免除されない場合があるので注意してください。

賞与支給月に社会保険を喪失した場合

賞与の支給月に社会保険を喪失すると、賞与関連の社会保険料が発生せず、控除もありません。しかし、例外として退職日が月末日である場合には、社会保険料が発生します。退職を検討している方や、退職日が決まっている方は、賞与の支給月を確認し社会保険料の有無を把握しておきましょう。

賞与を支給する企業を選ぶメリット・デメリット

転職する際、賞与がある企業・ない企業だったらどちらを魅力的に感じますか?賞与があるほうが金額的にメリットを感じる方が多いようですが、それは正しいのでしょうか。メリット・デメリットをふまえた判断をしましょう。

賞与を支給する企業を選ぶメリット

賞与を支給する企業を選ぶメリットは、給与以外にまとまった収入を得られることでしょう。毎月支払われる給与だけでは貯金できない、高額な買い物が厳しい、といった方にとって賞与は助かる制度なのではないでしょうか。また業績連動型賞与のように、自分の成果に応じた報酬制度として賞与が活用されていることもあり、多くの従業員のモチベーションアップにつながっています。

賞与を支給する企業を選ぶデメリット

賞与を支給する企業を選ぶデメリットとなるのが、年収の総額が賞与によって変動する可能性があることです。賞与は支給の有無や支給金額の決定について会社の裁量が認められている種類の給与です。そのため会社の業績や本人の勤務態度などによっては賞与額が減額・支給がなしとされる可能性があります。

通常、基本給として事前通知されている月給についてはよほどの過失が無い限り減給にはならず、相応の理由が無い減給は違法となります。一方で賞与については「会社の業績不振」のように本人の勤務態度に大きな問題がなくても、外部要因により支給がない・減ることもあり、しかもそれは適法となります。

また、賞与を支給していない企業に比べ、賞与のある企業のほうが毎月の基本給金額が少なくなる傾向にあることもデメリットと言えます。そのため業績不振などを理由に賞与が支給されなかった場合、見込んでいた年収総額がもらえない可能性があるのです。

賞与の額に不満があるなら転職エージェントに相談を

現在の勤務先の賞与の有無、または賞与を含めた年収に不満を感じる方は、一度、転職エージェントへの相談を検討されてみてはいかがでしょうか。転職エージェントは各業界・各年齢層のおおよその平均的な給与相場を把握しています。自分の待遇が現在の相場で考えたときに妥当であるのか、それとも転職によって大幅な改善が狙うことができるのか、助言を得られることでしょう。

まだ転職するつもりはないのに転職エージェントを活用するのは早いのではないかと心配される方もいらっしゃいますが、どのような時期にどういう風に転職するのがベストかをまずは相談するため、本格的に活動を始める前に早めに情報収集のための相談をしておくのは、むしろおすすめです。

例えば転職に際して現職の賞与が支給される時期が間近に見込まれている場合はその旨を伝えておくと、少しでも金銭的な損が少ない転職活動が実現するようにサポートが得られることでしょう。

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最後に

賞与は、単純にまとまった収入が得られるだけでなく、本人の働くモチベーションにつながる制度でもあります。そのため、転職先を選ぶ際に賞与があるか否かをチェックする方も多いでしょう。賞与のある企業に転職したい、と考えている方は今回ご紹介した賞与の種類や社会保険料の計算方法、賞与のある企業を選ぶメリット・デメリットなどを参考にしながら転職活動でのヒントとして活用してみてください。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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