HSPに適した転職方法とは?おすすめの業界・職種、徹底解説!

感受性が強いという特性を持つHSPの方に予想外の出来事が起こりやすい「転職活動」はハードルが高く感じるものです。とはいえ、HSPであることは必ずしも転職で不利になるとは限りません。むしろきちんと特性を理解したうえで転職活動を進めていけば、自分の理想の仕事に就けるチャンスもあります。

そこで、本記事では、HSPの特性や、HSPに適した仕事探し方法などについて解説していきます。

目次

HSPの特性とは

そもそもHSPとはどのような特性を持つのでしょうか。まずは、HSPにおける概要や、HSPの方が自己理解を深めるためのステップ、強みなどについて解説していきます。

感受性の高いHSPとは

HSPとは、Highly Sensitive Personの略称で、感受性が強く刺激に対して敏感な気質もった人を指します。全人口の15~20%がHSPにあたると言われており、医学用語や病名などではなく、あくまで性格・気質を指す呼称です。アメリカで最初に研究されたテーマですが、昨今日本でも「繊細さん」という言葉とともに知名度を上げています。

HSPの方は日常生活の中では小さな刺激にも敏感に反応することが特徴です。例えば、人ごみや騒音、強い光などが苦手であったり、人の感情を感じ取る能力が高かったりします。そのため、普段の生活では、これらの刺激が原因でストレスや疲労を感じやすい傾向があります。職場でもこの傾向は同じで、HSP特性を活かせる環境であるか否かが、本人にとっての「働きやすさ」に大きく関わります。

HSPの弱み

HSPは敏感にものごとをとらえてしまうという性質から、強い外部的刺激や環境変化・人間関係からのストレスを受けやすい傾向があります。仕事においてはクレームの多い仕事や出張や異動が多い職場の他、変化が著しく安定感の無い職場の仕事では疲弊してしまう可能性があります。

HSPの強み

HSP特性を持つ方の多くは、自身の繊細さや敏感さを起点にストレスを感じることが多いことから、自分の弱点・弱みと捉えがちです。しかし、HSPの特性を職業上の強みに変えることは可能です。

例えば、HSPの細かい観察力は正確性や洞察力が求められるタスクに適しており、HSPの豊かな共感能力は安定した人間関係の構築やチームワークを強化するのに役立つでしょう。自身の感受性の高さを強みとして活かせる職業を探求することが、HSP特性を持つ方にとっての転職成功への道なのです。

HSPの特性を活かす適職選び

HSPは強い外部的刺激や環境変化からのストレスを受けやすい反面、適した環境に置かれた際には集中して優れたパフォーマンスを発揮する「内向型」の方が多い傾向があります。内向型の方が職業を選ぶ際には、自身の特性を生かせる仕事であることが重要です。ここからは、内向型の特性を活かすための仕事選びで注目すべきポイントを解説します。

HSPに適した業界と職種

HSPの方に向いている業界は、研究と開発を行う科学関連領域や製造業、IT業界などがあります。サイエンスやメディカル・製造業の業界では精緻な仕事が求められることが多く、深く考えることも求められるため、内向型の特性とマッチします。IT業界では対人スキルよりも高い専門スキル・知見を求められる職種が多い傾向があり、HSPの方におすすめです。

さらに職種軸でHPSの方の適職を検討してみると、プログラマーやエンジニア、研究員、経理、労務管理、法務、ライターなどが適した職種として挙げられるでしょう。いずれも、集中力と思考力を活かすことができ、専門性を高めることで裁量を得て、自分のペースで働くことが可能になる傾向があります。また自営業・フリーランスのように自分のやり方で何かを進めることができる働き方もHSPには向いています。

HSPが活躍する職場環境

内向型のHSPは、細やかな観察力や感受性が高いため、配慮が行き届いた職場や、自分の感情を大切にできる場所が心地よい環境と言えるでしょう。例えば、静かで落ち着いたオフィスや自然が多い場所、個人のスペースが保護されているオフィスなど、集中できる環境が整っていることが大切です。また、フレキシブルな勤務形態が整っていたり、リモートワークが可能な場所も、HSPにとって魅力的な選択肢です。

転職活動でHSPが直面する課題

HSPの方が転職活動を始めるにあたって、知っておきたいのがその課題です。他の方に比べて、繊細で内向型であるHSPの方にとって、転職市場ではさまざまな壁が生じます。ここからは、具体的にどのような課題があるのか、対策には何が挙げられるのかなどについて解説します。

面接の難しさ

初対面の人とのコミュニケーションで評価・選別される面接は誰もが緊張しやすいシーンですが、特にHSPの方にとってはプレッシャーを感じやすい瞬間です。面接官からの厳しい質問や、他の応募者との比較、自己評価に対する不安がネガティブな感情にさせる傾向にあります。

HSPの方は特に事前の準備と面接対策が重要です。例えば、自分の長所や短所を聞かれることがありますが練習を通じて自分を短所をポジティブに表現する準備をしておくのがおすすめです。また、面接当日に緊張を緩和させるために、リラックスするための工夫を取り入れたり、信頼できる人と模擬面接を行って、面接に慣れておくことも大切です。自分の内面にある不安と向き合い、それを乗り越える力を養えれば、苦手な面接に前向きに臨みやすくなるでしょう。

自己肯定感の維持が難しい

転職活動では書類だけで判断されたり、初対面の面接官からの評価が突きつけられることになります。HSPの特性についてはうまく説明できたとしても前向きに評価されることばかりではなく、転職活動を辛く感じる方も多いことでしょう。

また新しい環境へ挑戦することへの不安感や現職を退職することへの不安など、転職に不安はつきものです。そのような転職活動において自己肯定感を維持するのがHSPの方にとっては困難なことがあります。

HSPの人におすすめな転職方法

HSPの方が転職で成功するためには、適応できる会社を探すことが重要です。ここからは、HSPの方が知っておくべき適切な仕事探しの方法について解説します。

自己分析で自己理解を深め、言語化しておく

ここまで「HSPの方」と一括りにしてきましたが、当然ながらHSP特性を持つ方も多様で個別的です。転職活動を始めるにあたり、まず自分自身を理解することから始めましょう。どのようなシーンで自分は敏感になりやすいのか、どのようなコミュニティには適応しやすいのか、自分がどのような環境下であれば力を発揮できるのか、どのようなことに価値を感じているかを明確にすることは大切です。

また、自身の長所や短所・優先順位を把握し、それを言語化する訓練も行いましょう。適切に言語化できると、周囲とのコミュニケーションで誤解が生じにくくなるため、転職活動のシーンではもちろんのこと、転職が成功した後の勤務においてもメリットがあります。

企業文化を丁寧にリサーチする

転職活動においてHSPの方が忘れてはならないのは、企業研究、特に企業文化の理解です。企業の考え方や方向性、仕事の方針などによっては、受け入れにくいと感じる場合があるからです。

HSPの方が転職先を選ぶ際には、職務内容やオフィス環境だけではなく、社内の人間関係や社風も重視すべきポイントです。なぜなら、同僚や管理職との相性は日々の仕事の満足度に直接影響を及ぼすからです。企業のホームページや採用ページなどを念入りにチェックし、自分の価値観や働き方が尊重される環境であるかを確認しましょう。

また、社内で行われている人事評価の方法やキャリアアップの機会なども調べ、自分自身がその文化の中で成長できるかを見極めることが大切です。仕事の内容だけでなく「働く環境」をしっかり把握することこそが、HSPの特性を生かしたキャリア形成につながります。

ネットワーク・リファラルを活用する

感受性豊かなHSPの方にとって、初対面の人との接点が増える転職活動は他の人よりも負担が大きいものです。一方で、それまで卓越した感受性と協調性で築いてきたネットワーク・リファラル(知人の紹介・推薦)を活用して転職活動をするのはお勧めの転職方法です。既にHSPの傾向があることや働きぶりを知ってもらっている人が紹介者として間に入ること・その後に紹介者と同僚として一緒に働くことができるのは、HSPの方にとって心強いことです。

業界や職種を越えたコミュニティは、HSPが自分らしいキャリアを築くうえで欠かせない情報源です。ネットワークから得た情報や支援は、転職活動やその後のキャリアに大きな影響を与えていくでしょう。

信頼のおける転職エージェントに条件交渉を任せる

相手の心情を汲み取り慮ることを得意とするHSPの方にとって、自分の年収交渉をしたり、待遇に関する希望をすり合わせる骨が折れる作業です。しかし企業側からの一方的な要求を受け入れるばかりでは、就業を開始してから苦労することになります。

そこで転職エージェントに交渉役を任せることをおすすめします。事前に落ち着いて条件をまとめて相談し、妥当な落としどころを模索する上でも転職エージェントからのサポートが得られるでしょう。転職エージェントは国内に数万社あり、それぞれ特色があります。快適にコミュニケーションをとることができる自分に合った頼れる転職エージェントをパートナーに選びましょう。

最後に

本記事では、HSPで転職をしたいと考えている方へ向けて、HSPの特性や具体的な仕事探しの方法などについて解説しました。HSPは、あくまでも個性の一つであり、きちんと自己理解を深めておけば、特性を強みとして活かしやすくなります。転職活動においても有利にしやすくなるため、まずは自分の特性を正しく理解するところから始めましょう。

そのうえで、自分にはどのような仕事が向いているのか、どのような職場環境であれば負担なく働けるのかなどについて考えたうえで、転職活動にチャレンジしてみてください。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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