初めての転職で知っておくべき「自己分析」から始める転職活動

終身雇用が難しいと謳われる中、転職が一般化する中、20~30代の転職が活発化しています。そんな中、転職する際に利用する求人サイト、Indeedのような新たなサービスも年々増える中、どのサービスを利用し、どのように転職活動を行えば上手く行くのかなど、転職活動の進め方に悩む方も増えています。

そこで今回は、初めての転職活動で知っておくべき始め方について解説します。20~30代に限らず、初めて転職活動に臨む方はぜひご参考ください。

目次

転職活動は自己分析から始める

転職活動の第一歩は自分を正しく理解する「自己分析」にあります。転職活動はなぜ自己分析から始めるべきなのか、どのように自己分析を進めていくのかについてこちらで解説します。

転職活動を自己分析から始める理由

転職活動を始める際の第一歩として、最初にすべきことは「自己分析」です。新卒の就職活動の際に、自己分析を行った方は多いと思いますが、言うまでもなく、新卒の就職活動は社会に出る前の自己分析であり、一度、働いたことによって新卒の時と仕事に対する考え方や価値観が変わる方も少なくありません。

例えば自分は旅行が好きだから旅行代理店に就職するも、好きなことを仕事にすると意外にもうまくいかない現実に直面する方、人と話すのが好きだから営業職にという思いで就職したものの、想定以上に厳しい世界で営業職以外に仕事にキャリアチェンジしたいという方は珍しくありません。

このように新卒の際に自己分析をしっかりしたものの、なかなか現実は想定通りいかないものです。しかしながら、実際に働いたからこそ大切にしたい自分の価値観などに気づけることもあります。初めて転職活動をされる方は、再度、自己分析を行うことで改めて自分に対しての理解を深めることが大切といえるでしょう。

自己分析をしないまま転職活動を始める弊害

初めて転職活動をする方で、自己分析の前に転職サイトなど登録し、求人情報集めに動かれる方も多いです。転職サイトへの登録自体は問題ないのですが、自己分析をしないままに転職サイトを利用したとしても、求人情報が多すぎるがゆえに、自分にとって必要な情報の取捨選択に苦戦することでしょう。

また、そのまま転職サイトでエントリーし、選考まで進んだとしても、結局なぜ自分がその企業を選んだの理由が明確化されていないため、上手く転職活動を進められない可能性があります。

そのような事態を回避するためにも、まずは「自己分析」から行い、改めて自分自身が転職する上で大切にすべき仕事への価値観、あるいは今後何を大事にしていきたいのか、そのようなキャリアはどのような職場環境だと実現できそうかなどについて明確化できるようにしましょう。

自己分析を行う際のポイント

では、上記を踏まえて実際に自己分析を行う際に、どのような観点から行えばいいのか、それぞれ解説します。特に初めて転職活動に臨む方は、ぜひご参考ください。

転職理由は一時的なものではないか

最初に行うのは今の会社の転職理由の再確認です。なぜ、転職活動を始めようと思ったのか、具体的なエピソードなども含めて振り返りながら、その理由を書き出して下さい。ここで大事な点としては冷静な状態で、客観的に自分の置かれている状況を整理することです。このような振り返りをすべき理由としては、初めて転職活動をする際に感情的に転職活動を始めてしまうことが多いためです。

例えば進めていたプロジェクトがとん挫するなど、仕事がうまくいかなかったり、上司に叱られたりといった一時の感情などに流されてしまった中で衝動的に転職活動に臨む方も少なくありません。感情的になることが駄目なことではないですが、そうなってしまうことで、冷静に現在の状態を判断することができなくなってしまい、選考の場でも空回りしてしまう場合があります。

そのような事態を回避するためにも、冷静な状態で現状を整理し、中長期で見た際に自分が思うキャリアが実現できそうかどうか、自分の価値観と何が合わなくて転職を検討したいと思ったかのか、一度、すべて書き出してみましょう。

その転職理由は現職ではどうしても解消ができないものか

転職理由とその要因を洗い出した上で、その転職理由は現職ではどうしても解消ができないものかということを考えましょう。例えば今は実現が難しいことでも、半年後、1年後に実現可能性があるような職場であれば、無理に転職をせずとも今の会社で機会を掴めるように準備をすることで解決できることもあるかと思います。

特に中途の面接の際は転職活動の理由に付随し、「現職では解消するのか難しいのか」という質問を問われることも多々あります。企業の立場からした場合、仕事をしていればうまくいかないこと、思い通りにいかないことは多いかとは思いますが、そのような場面でも粘り強く取り組める方なのかを見極めようとこのような質問をなげかけてきます。

このような問いかけに対して納得感のある回答をするためにも、このタイミングで客観的に自分の置かれている状況を整理し、本当に転職するべきかについて腹落ちするまで考えておくことが重要です。

価値観と具体的なエピソード

転職理由を整理できたところで、次は改めて自分がどういう価値観であるのかを整理してみましょう。ここで重要なのは自分の価値観と合わせて「具体的なエピソードを書き出す」ことです。

実際に働いてきた中で、どういう時に喜びを感じ、どういう時に辛くなるのかを1から振り返ってみて下さい。例えば営業でやりがいを感じて頑張ってきたという取り組みでも、「数字が達成できたとき」「チームで表彰されたとき」「クライアントからお礼をいって貰ったたとき」など、人それぞれ喜びを感じる瞬間は異なります。これまでの経験を振り返り、自分の心情の変化がどのような要素に起因するのか書き出すことで、自分が重要としている価値観を見つけ出すことが可能です。

また、このようなシーンが複数ある場合には、どのシーンが一番自分にとって印象深い出来事と感じたのかを比較検討してみてください。このようなプロセスを通じて導き出した答えが、あなたが仕事をする上で大事にしている価値観の理解に繋がっていくでしょう。

転職する上での「MUST」と「WANT」

最後に自分が転職を通じて得たい条件の精査を行います。このような条件の精査を行う際に注意したいのは、「100点満点の求人はない」ということを理解しておくことです。残念ながら希望の条件をすべて叶えられる求人は数少なく、どこまで自分の希望条件が叶えられれば転職するのかをこのフェーズで判断しましょう。

仕事内容、通勤距離、年収、残業時間など人によって大事な部分は違うため、最重要視したいことや譲れないことは「MUST」、できれば叶えておきたいことは「WANT」で書き出し、ここまで書き出したことも含めて再度転職すべきかどうかを判断することが大切です。

自己分析でキャリアプランを具体的に

ここまでで過去・現在の自己分析についてお話してきましたが、最後にキャリアプランについて解説します。転職活動では、退職理由は語れるものの、今後どうなりたいのかといったキャリアプランを語れないが故に内定を掴めない人は珍しくありません。

中途採用ではこれまでの経験・スキルだけでなく、「入社後どうなりたいのか」というキャリアプランを大事にする会社が多いです。ここで人事が見るポイントとしては会社の成長戦略とキャリアプランがリンクするかどうかを見ています。会社の目指す方向とリンクする方であれば、長期的に働いてくれる期待がもてますが、キャリアプランがあまりに抽象的すぎると、会社への定着イメージがもてなかったり、また自社でなくても良いのではという評価を受けてしまう可能性があります。

また、キャリアプランが明確になっていないことで、転職活動中にゴールが見えなくなり、何が正しいのか判断ができなくなってしまうこともあるため、自己分析の際にできる限り具体的に決めておく必要があります。

ただ、キャリアに関しては自分だけの知識では限られてしまうため、周りの知り合いに話を聞いたり、学生時代の先輩など信頼をおける方と話をすることで、自分のなりたい像が具体化されることがあります。初めての転職活動だからこそ、自分だけで考えずに、視野を広げることをおすすめします。

転職活動の方法

自己分析が終わったらいよいよ転職活動を開始します。こちらでは転職活動で具体的に企業に応募を進める上での4つの方法について、それぞれの特徴と合わせて説明します。

企業の採用サイトから直接エントリー

1つ目は応募したい企業の採用サイトから直接エントリーする方法です。自己分析がしっかりできており、転職の方向性が明確に定まっている、応募したい企業が明確化できている場合は直接エントリーをしていくのが良いでしょう。

しかし、初めての転職活動の場合、業界動向、企業の選考ハードル、選考フローなど事前情報が少ないことで思うように選考を進められないことがあります。初めての転職活動でこのような進め方に不安がある場合には、応募したい企業が決まっていたとしても敢えて直接エントリーを回避することも手といえます。

転職サイトから自分で応募する

2つ目は転職サイトを活用した転職方法です。転職サイトとは「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」など求人情報を掲載しているWebサイトのことです。このような転職サイトの中には、例えばIT/Web業界に強い「Green」、飲食業界に特化した「クックビズ」など職種や業界などに特化した転職サイトを設けているものもあるため、専門職の方は、自分の職種に合った転職サイトはないか一度確認してみると良いでしょう。

転職サイトのメリットは自分の好きなタイミングで求人のエントリーができるため、自分のペースで転職活動を進めたい方にはおすすめです。また、転職活動を行う上でのコラムなどを掲載しているサイトもあり、初めての転職活動の方には有益な情報が得られるでしょう。

しかし、こちらの場合も誰かのサポートがついているわけではないため、自力で選考を進めていく必要があります。転職サイトを使って幾つか求人を受けてみたけれど上手くいかないような場合は、次の転職エージェントの利用も検討すると良いでしょう。

転職エージェントを利用しての転職活動

3つ目は転職エージェントを利用した転職活動です。転職エージェントは登録後に専任のキャリアアドバイザーがつき、転職活動をサポートしてくれる方法です。

面談など多少時間はかかりますが、面談を通して自分の希望や志向性を伝えるだけでなく、現在の市場感や企業の詳細、面接対策など入社に至るまでサポートをしてくれます。また、客観的にアドバイスももらえるため、転職活動に悩み事がある人、不安がある人は利用することで、不安を払拭することができるでしょう。

しかし、面談や随時状況の共有などをしながらキャリアアドバイザーと連携していく必要があるため、自分のペースで選考を進めたい方には不向きかもしれません。このような前提を踏まえ、どのように転職活動を進めていくか自分の希望に合わせて使い分けることをおすすめします。

スカウトサイト、ビジネスSNSを活用した活動

4つ目はスカウトサイトを活用した転職活動です。上記3つに加えて、現在では20代など若手向けの「AMBI」、ミドル・ハイキャリア層向けの「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)」「エンミドルの転職」などのスカウトサイトや、「Wantedly」などのビジネスSNSを活用した転職活動も増えています。これらのスカウトサイトのメリットは自分の経歴を評価して貰った上での求人情報である為、転職サイトでの転職活動などと比較すると比較的内定は得やすいでしょう。

このようなスカウトサイトの利用方法としては自分の経歴や志向性を登録することで、企業、転職エージェントからスカウトを受け取り、興味のある求人情報についてお話を進めていく形になります。もちろん選考は発生しますが、企業側からスカウトがもらえた場合、企業理解を深められるカジュアル面談からのスタートや書類選考の免除などのメリットがあり、利用者も年々増えています。

しかし、有料会員にならなければ使えないサービスなどもあり、上記3つと比較すると一部サービス利用料金がかかるというデメリットがあるため、初めての方は他の方法と併用すると良いでしょう。

以上、4つの転職活動方法についてご紹介しました。それぞれメリット・デメリットがあるため、自分自身の状況も踏まえながら選ぶことをおすすめします。また、併用することで得られるメリット・デメリットもありますので、特に初めての方は色々とサービスを利用しながら、自分に合った方法を見つけていく方が良いでしょう。

転職活動の進め方

ここまでは自己分析や転職活動の方法などについてご紹介してきましたが、こちらでは転職活動の進め方、全体フローなどについて解説していきます。

転職活動のフローは下図のような形で進めていくケースが多いです。企業によって異なりますが、選考は応募から内定まで1~2か月ぐらいが目安で、複数社を併願しながら進めていくのが一般的です。

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また、業界によって異なりますが、書類選考通過率が30~50%といわれています。ただ第二新卒などキャリアが浅い方の場合には、通過率が低くなる可能性が高いため、平均で6~10社は応募しておくと良いでしょう。

書類選考通過後は、面接もしくは適性検査へと選考フローが進んで行きます。選考回数は中途の場合2~3回が平均といわれていますが、スケジュールが変わることもあるため、事前に確認しておくと安心です。1回目の面接には現場クラス、もしくは中間管理職が面接に出てくることが多く、2回目や最終面接の場合だと部長クラスや取締クラスの方が出てくることもあります。

特に初めての転職活動の場合、緊張して上手く話せないという方も多いため、事前準備が大事です。転職エージェントを利用している場合は、面接対策などをしてくれるところもあるので、一度相談してみると良いでしょう。

また、内定まで1~2か月と時間を要するため、初めての転職の方は体力的にも精神的にも疲れてしまうことがあります。転職活動が長引いて数か月に渡ってしまった場合には、疲弊して「早く内定を貰った先で良いか」などといった決断をしてしまうことも珍しくありません。納得感のある転職にするためにも、節目節目で信頼できる方に報告を入れるなど、メリハリを持った転職活動することをおすすめします。

企業研究、企業理解を大切に

自己分析で何を解決したい転職にするかが明確にできているようであれば、その目的が実現できる企業かどうかの見極めが重要になります。企業側もまた「なぜ自社が良いのか」「入社後どうなりたいのか」を大事にしていることが多いです。そのため、面接時に理由をしっかりと話せる必要があり、そのような回答をしていくためにも企業理解、研究が大事になってきます。

そのために、応募先のホームページを読むのはもちろんのこと、その企業の業界動向、他社についても把握しておく必要があります。例えばIT業界などであればSaaS系の企業が増えており、類似サービスを展開している企業も複数あるため、その中でどうしてその企業でないといけないのかを面接の際に明確に話す必要があります。

転職活動が初めてで、どこから手をつけたら良いのか分らない方は「3C分析」を活用した分析方法がおすすめです。3C分析は「Customer(顧客)」「Competitors(競合)」「Company(自社)」の観点で分析を進めていく手法になります。

3C分析を進めることで類似サービスを展開している企業との違いが見えてくるため、企業理解が進むことでしょう。また、面接時には企業に対し、事前準備をしっかりしてきており、自社に対して意欲を高くもってくれているという印象を与えることもできます。

また、転職エージェントを利用している人は担当のキャリアアドバイザーに教えてもらうのも良いでしょう。転職エージェントの業態、担当するキャリアアドバイザーの業歴にもよりますが、ホームページなどでは見えづらい企業の強みや特徴などについて実際に企業に出入りしている転職エージェントだからこそ見える観点で情報を貰える可能性もあります。

最後に

今回は初めての転職活動でのポイントについて解説しました。初めて転職活動をする際は不安も大きく、自分の思うように進められないことから、辛く感じることも多いため、覚悟が必要です。

特に転職は「手段」であり、内定をもらうことがゴールではなく、転職先で自分のキャリアプランを実現できるように働くことがゴールです。そのため、特に初めて転職をする方は、転職サイトなどと並行し、転職エージェントを含めた周りの方などのサポートを受けながら、転職活動の成功に向けて慎重に進めて行くのが良いでしょう。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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