
書類選考の通過率が上がらない原因は、経験やスキルが足りないからではありません。自分の経験を増やそう、盛り込もうとする前に、「今回の採用で、企業は何を解決したいのか」に立ち返れていないことが、多くのケースで本質的な理由です。職務経歴書は経歴の説明資料ではなく、企業の課題に対して「自分ならどう貢献できるか」を示すコミュニケーションツールです。
この記事では、書類選考で評価される視点を「企業側の課題」に置き直し、通過率を高める考え方を整理します。
書類選考は「優秀そうか」ではなく「課題を任せられるか」を見ている

採用企業が書類選考で判断しているのは、「経歴が立派かどうか」ではありません。
今回の採用によって、どんな課題を解決したいのか。その文脈にこの人は合っているか、という点です。
たとえば、
・事業拡大に対して、現場の推進力が足りていない
・組織が大きくなり、マネジメントが追いついていない
・属人化した業務を引き継ぎ、再現性を持たせたい
こうした課題があり、その延長線上に「このポジションの採用」があります。書類選考の通過率は、この前提を理解したうえで書かれているかどうかで大きく変わります。
職務経歴書は「やってきたこと」ではなく「どう生かせるか」を伝えるもの

職務経歴書でよく見られるのが、「これまで何をやってきたか」を漏れなく伝えようとする構成です。
しかし、情報量が多いほど評価が高まるわけではありません。採用側が知りたいのは、「その経験が今回の採用課題に対してどう生かせそうか」という1点です。
自分の経験を増やそう、盛り込もうとする前に、「今回の採用で、企業は何を解決したいのか」に立ち返る。この視点が抜けた職務経歴書は、どれだけ実績があっても評価されにくくなります。
求人情報には「企業が困っていること」がそのまま表れている

求人票は、業務内容を説明するための資料ではありません。むしろ、企業が今どこでつまずいているのかを言語化したものと捉える方が実態に近いです。
- 業務内容が細かく書かれている → 現場が回っていない
- 即戦力を強調 → 育成に時間をかけられない
- 主体性・自走を強調 → マネジメントが追いついていない
こうした背景を読み取らずに職務経歴書を書くと、企業の課題と、こちらのPRが噛み合わない状態になります。その結果、「悪くはないが、今回は違う」という判断になりやすく、書類選考で見送られてしまいます。
書類選考では「面接で聞きたくなる余白」も同時に見られている

書類選考は、書類だけで完結する選考ではありません。採用側は常に、「この人に会ったら、どこを深掘りすることになるか」をイメージしながら読んでいます。
そのため、
・成果だけが並び、判断や工夫が見えない
・課題への向き合い方が分からない
・なぜその結果になったのかが書かれていない
こうした職務経歴書は、面接で広げにくいと判断されやすくなります。書類選考の通過率を上げるには、企業課題と接続したうえで、面接につながる余白を残すことも重要です。
転職エージェントは「採用課題を具体化するための存在」

転職エージェントを利用している場合、求人票に書かれていない情報も含めて確認できるはずです。
・なぜこのポジションを採用するのか
・これまでどこでつまずいてきたのか
・面接で特に見られている観点
こうした情報は、職務経歴書の精度を上げるための一次情報です。条件面の確認だけで終わらせず、「今回の採用で、企業は何を解決したいのか」をすり合わせることで、書類選考の通過率は大きく変わります。
通過率を上げる鍵は「足す」より「削る」にある

書類選考で評価されないケースの多くは、経験が足りないのではなく、課題と関係のない情報が多すぎることにあります。
・今回の採用課題と結びつかない業務経験
・面接で深掘りされなさそうな実績
・評価につながらない自己PR
これらを思い切って削り、「今回の課題に、どう貢献できるか」だけを残す。この編集ができると、書類選考の通過率は安定してきます。
書類選考は「課題理解の精度」がそのまま結果に出る
書類選考は、テクニックや言い回しの勝負ではありません。企業が今回の採用で解決したい課題を、どれだけ正確に理解し、それに沿って経験を再構成できているかです。その精度が、そのまま通過率に反映されます。自分のやってきたことを足し続ける前に、一度立ち止まり、「この採用は、何のためなのか」を考える、そこから職務経歴書を組み立て直すことが、最も現実的な改善策です。

