もう「ジョブホッパー」とは呼ばせない!何回も転職を繰り返してきた方におすすめの転職方法をご紹介

「ジョブホッパー」という言葉に皆さんはどのような印象を持たれているでしょうか。明確な定義はありませんが、短期間に複数回の転職を繰り返す人を「ジョブホッパー」と呼ぶことがあります。かつては日本では終身雇用制度が一般的で、転職を繰り返すことにはネガティブな評価がつきまといました。

しかし現在では、キャリアを構築するための挑戦の場を求めて転職することはポジティブに捉えられることも増えてきました。今回は「ジョブホッパー」となった方、複数社転職してきた方に向けて、キャリアアップのための方法について解説していきます。

目次

ジョブホッパーのメリット・デメリット

キャリアの多様化が進む昨今、繰り返し転職することは珍しいことではなくなりました。また職を変えたいと思っていなくても家庭の事情や健康上の理由で、やむを得ず退職・転職をしなくてはならなかったということもあります。ジョブホッパーは短期間での転職を繰り返す人というのが定義ですが、具体的には直近のキャリアにおいて在籍1~2年での転職を複数回繰り返している、3年以上1社に勤続したことがないという場合がジョブホッパーと見られがちになるでしょう。

ジョブホッパーのメリット

転職を繰り返すジョブホッパーになるメリットとしては、様々な業務・業界の経験が積むことができ、多くの人脈を形成する機会があることです。また転職に対して自ら行動できていることから判断力があるとみられることもあります。

また一部の外資系企業やスタートアップ企業では働く人の中には、自分のキャリアゴールを自分で設定し、それを達成したら次のキャリアステップを求めて転職する、という方法でキャリア形成される方もいます。希少な存在ではありますが、ジョッブホッパーの中でも、自ら積極的にキャリアチェンジしてスキルアップに結びつけている場合、転職者ならではの貴重な業務経験やスキル、新しい環境に適応してすぐに実績を上げてきた即戦力が評価されることがあります。

ジョブホッパーのデメリット

短期的に転職を繰り返すジョブホッパーのデメリットとしては、転職の際の評価が下がりやすい点です。特に日系企業では1年未満でのキャリアの実績を認める文化がなく、「忍耐力に欠ける」「長期就業のイメージがもてない」など、評価が低くなってしまうことが大半です。

また20代~30代前半のうちはジョブホッパーであっても挑戦できる求人がありますが、30代後半・40代になったときにマネジメント経験や強みとなる職歴・スキルが無いことがネックになり、年齢が上がるとともに条件の良い転職をすることや、転職すること自体が難しくなるケースがあります。

ジョブホッパーになってしまった場合に挽回するキャリア再構築法

ジョブホッパーは転職時のデメリットが多いこともあり、日本では積極的に短期的な転職を繰り返す人はそれほど多くないのが実際のところと思われます。「入社した会社が倒産した」「転職先がブラック企業だった」「配属ガチャを外した」「家庭や健康上の理由で退職した」など、不本意な理由で短期的に転職をせざるを得ず、結果的にジョブホッパーになっていたという方が多いでしょう。そんな中でキャリアを再構築する選択肢をご紹介します。

長期就業でジョブホッパーからの挽回を試みる

複数社で1年以内の転職が続いてしまっていたとしても、直近の就業経験が1社で5年以上続いていると「転職を繰り返したこともあるが、最近は安定して就業できる状態になった」ということもできるようになります。次の転職は長期的に就業できそうかどうかを優先する条件として、ジョブホッパーをリセットできるキャリアを選択するのがおすすめです。

希少性・専門性の高い職種で経験を積む

ジョブホッパーへのマイナス評価はさておき、それを上回る魅力的なキャリア・希少なスキルを持っていれば転職の際に困ることがありません。たとえばITエンジニアは需要に対して慢性的に人手不足のため、即戦力となるスキル・経験があればたとえ転職回数が多くても評価されやすい職種です。

またプロ経営者と呼ばれる方も、経営者を目指すプロセスの中で複数回の転職を重ねていることがあります。1社の企業での成果や企業風土に依存しない経営スキルは、様々な企業から高く評価されるものです。

汎用性の高い職種でスキル・経験を積む

どんな業界でも通用する職種でのスキル・経験を積むこともオススメの方法です。例えば営業(セールス)職やコーポレート職(経理・総務・人事などの管理部門の職種)は多くの業界・企業で求人が出ており、職務経験が即戦力またはポータブルなスキルとして評価されやすい傾向があります。

転職者が活躍している業界・会社で働く

ジョブホッパーや転職回数が多い人に対する評価は業界によって大きく異なります。例えばコンサルティング業界では前職のキャリアを生かしてコンサルタント業務を行うことが多く、転職者・中途入社の社員が多数活躍しています。一方で老舗の日系メーカーや銀行のように新卒で入社した人の大半がそのまま管理職になり、長期就業しているような会社は受かりにくいと認識しておいたほうがよいでしょう。

ジョブホッパーにおすすめの転職方法

それでは具体的にどのように転職活動をすればジョブホッパーの人のキャリアアップにつながっていくのか、本項ではジョブホッパーの方にオススメの転職ノウハウをご紹介していきます。

念入りに自己分析・企業研究を

応募企業についてのリサーチをせずに転職をしてしまうと、入社後に想定外の事態にみまわれ、結果的に長期就業がかなわないということになりかねません。多少の困難なことがあっても続けることができそうな仕事内容はどのようなものか、その仕事の将来性はどうか、応募したい企業についてのコンディションや口コミなどを調べて慎重に転職活動をしましょう。

一貫性のあるキャリアを目指す

ジョブホッパーの中でも特に転職活動で苦戦するのは経験してきたキャリアに関連性がなく、核(コア)となる強みがはっきりしない人です。

そこでジョブホッパーの方におすすめなのが、転職の際にそれまでのキャリアと関連性のある職種・業界の経験を積むことです。会社は変わっていても同じ職種で首尾一貫して取り組んでいることがあったり、前職の経験を活かしながら同じ業界で活躍していると、戦略的なキャリアアップをしているという評価が得やすくなります。

転職エージェントを有効活用する

早期離職・転職を繰り返したジョブホッパーと呼ばれる人の転職は、長期就業してきた人に比べて難航しやすい傾向があります。しかし何度も早期離職を繰り返さないために転職活動のパートナーとして転職エージェントを活用することもおすすめです。

転職エージェントのサポートを受けることで、応募先企業とは異なる視点でのアドバイスが受けられるようになります。転職エージェントは国内に数万社あり、職種や業界に特化した転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなど、それぞれ特色があります。その転職によってどのようなキャリア構築が可能か、どのような転職リスクがあるか、キャリアについて相談できるエージェントをパートナーとして選びましょう。

最後に

本記事ではジョブホッパーの方におすすめの転職方法をご紹介させて頂きました。転職回数が多く、ジョブホッパーとみられる人材は、採用する企業側からすると早期離職の懸念があるものの、いくつもの会社で通用するスキルを持ち合わせた人材であると評価される可能性もあると言えます。

転職回数が多い事実とは向き合いながら、キャリアの棚卸しを通じて応募企業へのアピールできるポイントを探してみましょう。また、転職回数が多くとも、評価される人材を目指し、長期的にスキルアップしていけるように戦略的に転職活動を行うのも一つの手です。

このような応募企業からの見え方を踏まえた転職対策を進めるために、転職エージェントの活用も検討されるとよいでしょう。採用する会社側が心配する点を見据え、懸念に思わる事項を払拭できる準備を進める他、応募企業で評価されるスキルなどをアピールし、少しでも採用される可能性を高めましょう。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

目次