事業企画は事業の成長戦略を策定し、新たなビジネスチャンスを発見するために不可欠な役割を担う重要な役割です。それ故に転職市場においては比較的敷居の高いポジションの一つといえるでしょう。本記事では、事業企画の果たす役割や転職のポイントなどについて詳しく解説していきます。
事業企画とは
「事業企画」とは管掌する事業の課題・要因を分析し、事業戦略を策定・推進する企画職(およびその役割を担う部門)を指します。中長期的な役割として、市場調査の上で競合優位性を確立していく成長戦略を描き、事業部門に働きかけていく、新規事業を企画するといったことなども含みます。
事業企画の仕事は、所属する会社のビジネスモデル・その事業の特性によって、重要視されるポイントが異なります。例えばメーカーにおける事業企画では製品原価率、物流コストなどの指標が大切になりますが、スーパーマーケットなどの小売業界では在庫回転率、廃棄量、客数予測などの指標が重要視されるといった具合です。
業界・ビジネスごとの特性に依存する傾向があるため、事業企画の経験者が異業界へ転職する場合、これまでの経験が活かしづらく、思ったような評価を得られない、ということも珍しくありません。
事業企画に求められる経験・スキル
事業企画に共通して求められるスキルは、主に戦略思考、コミュニケーション能力、現場理解です。こちらではそれぞれについて解説していきます。
論理思考力
事業企画の仕事の中心である戦略・施策の立案業務において、高い論理的思考力が求められます。例えば現状分析の際には、PESTや5フォース、3Cなどに代表されるフレームワークを活用し、抜け漏れなく網羅的に論点を押さえ、正しい現状把握・分析ができるスキルが必要となります。
また、現状分析の上で戦略を立てる際には、短期での成果を優先するのか、あるいは長期的な視点での大きな成果を狙うかなど、会社経営として何を優先するべきかを押さえた上での意思決定する力が求められます。
コミュニケーション能力
企画立案した事業戦略などを実行する際、その現場への支援や社内調整も事業企画が行います。そこで欠かせないのがコミュニケーション能力です。どうしてこの戦略を打ち出したのか、なぜそのアクションプランが必要で、どのようにして成功に導くのか。説明資料を作成するだけではなく、直接、経営陣にプレゼンする機会があります。
事業部門の責任者やその現場メンバーに説明するときは、現場サイドのメンバーの感情にも配慮した伝え方が求められます。戦略や施策の全てが現場視点で見た際に納得感のあるものばかりではありません。戦略や施策に取り組む背景をロジカルに伝えなければならない上に、聞き手の感情にも配慮した納得感のある説明をするためには高いコミュニケーション能力が必要です。
現場理解
もう1つ必要なスキルは現場を深く理解するスキルです。事業企画として、現場から離れたところで経営陣や管理職とともに仕事をしていると、現場からの視点が疎かになってしまいがちです。しかし、現場の動きや実態を知らずに優れた戦略を打ち出すことはできません。また、優れた戦略であっても、現場への配慮を無視して実行させることだけを要求すると、会社全体が一丸となって事業戦略に取り組む姿勢を持つことができなくなるでしょう。
また、ベンチャー、スタートアップ企業の事業企画として転職した場合は、組織が小さい分、より深い現場理解が必要になるはずです。また、ベンチャー、スタートアップ企業は人的リソースが少ないので、事業企画の担当者が経営企画を兼務したり、策定した戦略を推進する実行部隊として実務に取り組まなければならないこともあるでしょう。
事業企画経験者のキャリアパス
事業企画の業務内容や必要なスキルは上記の通りですが、事業企画を経験した後のキャリアパスはどのようなものになるのでしょうか。
経営企画へのキャリアアップ・転職
事業企画からのキャリアアップの一つとして、経営企画への異動・転職が挙げられるでしょう。特定の事業部における部分最適だけではなく、会社としての全体最適を目指す経営企画の役割として、経営戦略の立案や中期経営計画の作成、事業部を横断するプロジェクトや新規事業の起案、経営資源の配分、他社との資本提携・アライアンスなどが挙げられます。
経営企画は事業企画とは異なり、経営者サイドの視点で動くことが多く、それなりに規模のある企業の場合には自らが実行部隊の最前線に立つことはあまり多くありません。しかしその分、俯瞰的な視点で現場に関与する視座が求められます。
CxOへのキャリアアップ・転職
事業企画での経験をもとにCOOやCSO(最高戦略責任者)といった役員へのキャリアアップも可能です。活躍を耳にした他社からのヘッドハンティングで転職というケースもあるでしょう。またその先のキャリアとして、原田泳幸氏(※)に代表されるような「プロ経営者」として企業の変革や経営再建などを担う働き方を目指す選択肢も増えてきました。
※ 原田泳幸氏は日本ヒューレット・パッカード株式会社での勤務を経て、シュルンベルジェグループ取締役、アップルコンピュータジャパン株式会社取締役、アップルコンピュータ株式会社社長、Apple Computer, Inc.副社長、日本マクドナルド株式会社社長、日本マクドナルドホールディングス株式会社社長、株式会社ベネッセホールディングス社長、株式会社ゴンチャジャパン代表取締役会長兼社長兼CEO、ゴンチャグループ グローバルシニアリーダーシップチームメンバーなどを歴任した日本を代表するプロ経営者の一人。
コンサルティングファームへの転職
事業企画の仕事はコンサルティングファームでの仕事と共通する部分がたくさんあります。事業会社での戦略立案や実行支援の経験は、深い現場理解に基づくコンサルティングができるスキルがあるとして、転職で有利に働くことでしょう。
独立起業
コンサルティングファームへの転職ではなく、自らがコンサルタントとして独立し、外部の事業企画として、たくさんの会社の事業成長を支援をするような独立起業をする方もいれば、これまで事業企画で培った経験を活かして自らでビジネスプランを描き、起業するという選択をされる方も増えてきました。
事業企画への転職活動
事業企画を目指す方の多くが、現職で既に責任ある役職を任され、多忙の中、なかなか転職活動に十分な時間を割けない状況にあります。このような多忙な働き方を強いられる方の場合、現職でのパフォーマンスを落とすことなく、効率的に情報収集を行う必要があります。こちらではこのような事業企画への転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します
スカウトサイトを活用した転職活動
一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「エンミドルの転職」などが挙げられます。ダイレクトリクルーティングと呼ばれる市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証グロース市場にも上場を果たしています。
これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。どのような企業がこれまでのスキル・経験を評価してくれるのかという観点も含め、自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙なビジネスパーソンにとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。
転職エージェントを活用した転職活動
前述の様なスカウト型の転職プラットフォームサービスの台頭はあるものの、まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。
転職エージェントは国内に数万社あり、職種や業界に特化した転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があり、事業企画をはじめとした経営幹部層の支援実績が豊富な転職エージェントも存在します。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。
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最後に
事業企画への転職は、多くの挑戦とともに、多くの成長の機会をもたらします。事業企画は企業の成長戦略を策定し、新たなビジネスチャンスを見つける重要な役割を担っています。その業務範囲は広範囲にわたるため、必要なスキルや資格を身につけることが求められます。
事業企画への転職を考えている方は、まずは現在のスキルセットを見直し、必要なスキルや資格を取得することから始めましょう。そして、継続的な学習と成長を心掛けることで、より充実したキャリアを築くことができるでしょう。転職活動においては、自己分析を行い、自分の強みを最大限に活かせるポジションを見つけることが重要です。事業企画の分野で成功するためには、柔軟な発想と戦略的な視点を持ち続けることが鍵となります。