スタートアップの成長を牽引するCOOの役割を解説!

COOはスタートアップにおいて事業、組織のパフォーマンス最大化を担う重要なポジションです。しかしながら、COOという言葉は抽象度も高く、企業によってその役割も様々です。この記事ではこのようなCOOの役割、歴史、どのような素養が必要かなどについて解説をしてきます。

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COOとは

こちらではCOOの役割、日本を代表するCOOの経歴、COOの歴史について解説していきます。

COOの役割

COO(Chief Operating Officer)とは最高執行責任者を意味し、事業、組織のパフォーマンスを最大化させることをミッションに会社経営を支える存在です。大前提、各社の経営体制によりCOOの役割は異なるのですが、多くの場合、CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)をはじめとした他のCxOと協力し、経営方針を固めた上で、事業サイド全般を管掌しながらパフォーマンスの最大化に向けた戦略策定などの業務を牽引していきます。

COOの存在は会社経営にとって非常に大きく、例えばCOOがいることで、CEOはCEOがすべき未来に向けた仕掛けなどに着手することが可能となります。このように解説すると当たり前のように聞こえるかもしれませんが、多くの会社ではCEOがCOOの役割も担っていることが多く、このような経営体制の場合には、足許の事業を回していくことに追われてしまい、中長期での仕掛けなどに着手が及ばず、今はよくとも数年後に競合他社との差が大きく開いてしまう結果になってしまうというリスクに繋がりかねません。ChatGPTのような最新テクノロジーの台頭が相次ぐ中、ビジネスの不確実性が高まる中、このような中長期の視点をもった会社経営ができるか否かというのは、言うまでもなく、極めて重要なことの一つです。

日本を代表するCOO

日本では株式会社メルカリでCOOを務めていた小泉氏(大和証券、ミクシィでキャリアを重ねた後、現職)、ユニコーン企業の代表格として挙げられる株式会社SmartHRでCOOを務める倉橋氏(マッキンゼーアンドカンパニー、楽天でキャリアを重ねた後に現職)などが日本を代表するCOOとして挙げられます。いずれもCOOの存在、あるいはCEO、COOを中心とした優秀な経営チームを編成したことで一気に躍進を遂げた企業といっても過言ではないでしょう。

COOの歴史

COOは20世紀初頭に米国企業で設置されたのが始まりであり、当初は製造業や鉄道会社などの大手企業で設置されていました。当時のCOOは、Operatingという名称の通り、製造プロセスをはじめとしたオペレーションの改善、予算管理、労働力の配置など、実務に関連する業務を管掌する役割を担っていました。そして20世紀後半になると、COOの役割は拡張し、経営全体の戦略と企業の成長にも関与するような形に変化していきました。

昨今の日本においてはCOOはスタートアップ、あるいは上場後も躍進を続けるメガベンチャーを中心に設置されることが多く、特にスタートアップにおいては優秀なCOOを採用できるか否かにより、VCをはじめとした投資家からの出資を受けられるかどうかにも影響を及ぼしかねないほどCOOの存在は重要な位置づけになっています。

COOに必要な経験・スキル

ここまではCOOの役割などについて解説をしてきました。ここからはCOOを務める、あるいは将来的にCOOを目指す際にどのような経験・スキルが求められるかについて解説をしていきます。

事業マネジメントの経験

事業計画の達成に向け、成果を上げるための勝ち筋を見出し、そられを基に経営戦略、KPIの策定などの絵を書き、また同時に旗振り役としてそれらを現場に落とし込み、進捗管理をしていくといった事業マネジメント経験はCOOを目指す上で求められるでしょう。これは事業部長やそれに付随するポジションの他、経営企画、事業企画などの部門にてこのような経験の機会が得られる可能性が高いです。

会社経営に関わる知識

COOに関わらず、CxOの立場を務める場合には、自分の管掌領域以外の知見についても最低限身に着けておく必要があります。例えばCOOの立場においては経理財務の観点も持ち合わせた上で投資予算を決めるといったシーンは多くあるでしょうし、またWebプロダクトを有する事業を展開する企業であれば開発組織をはじめとした他組織と連携して横断的に戦略を組んでいく必要もあります。

勿論、すべての知見を網羅することは難しいですが、まずは事業サイド以外の事柄に関しても興味をもって学ぶ姿勢が大切といえるでしょう。書籍などを通じて学ぶことの他、MBA(経営学修士)や中小企業診断士などの取得の過程を通じてこのような知見を身に着けるのも方法の一つです。

経営者としてのマインドセット

COOは先に挙げた通り、経営の一角を担う立場になります。そのため、従業員の視点での物事の判断ではなく、経営者としての意思決定が求められるでしょう。会社の成長、あるいは危機的な状況の中での存続のために、時には非情な判断をしなければならない瞬間もあるかと思います。しかしながら、このようなマインドセットについては言葉では理解できても、経営者の立場を経験しないとなかなか分かりづらいかとは思います。

身近な方に経営者の友人がいるのであればそのようなマインドセットについて意見交換をしてみるのも良いでしょうし、そのような方がいない場合には講演会などで経営者のお話に直接触れることなどから初めてみることをお勧めします。

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COOへの転職の特徴

ここまではCOOに必要な経験・スキルなどについて解説をしてきました。続いてCOOをはじめとしたCxOの転職の特徴についてご紹介します。

求人数が多い訳ではない

CxOをはじめとしたエグゼクティブのポジションは企業でも数名です。そのためエグゼクティブの採用が以前よりは活況とはいうものの、マネージャークラスの求人などと比較すると圧倒的に少ないです。

特に成長著しいスタートアップのCxOの募集には応募が殺到する構図となるでしょう。そのような事情の中、COOをはじめとしたCxOの転職活動は中長期的なことになるケースが多く、そのような視点で情報収集などを進めていくと良いでしょう。
 

水面下での募集となるケースが多い

転職サイトなどに情報を公開の上でCOOをはじめとしたCxO採用をするケースがない訳ではありませんが、多くの場合、エグゼクティブの採用は戦略にも直結する内容にもなるため、競合他社情報を非公開の上、ヘッドハンティング会社、転職エージェントなどを活用して募集を進めるケースが多いです。

COOへのキャリアを踏んでいきたいとお考えの方は、エグゼクティブ領域の転職に長けた転職エージェントの方などと日頃より情報交換などをされる習慣があると良いかもしれません。

COOへの転職で重要な転職エージェントとの付き合い方

COOをはじめとしたCxOの転職には転職エージェントとの関係が欠かせないことを記載しましたが、転職エージェント選び、関係構築がうまくいかないと情報収集や選考で躓きかねません。ここでは、COOへの転職で重要となる転職エージェントとの付き合い方について解説します。

自分の強みは何なのかを明確にする

若手・中堅の転職と違い、COOへの転職は、多くの場合、入社後から早々にパフォーマンスを発揮することが期待されます。むしろプロパー社員を飛び越えて役職者として参画するにあたり、パフォーマンスが悪ければ居場所を失うというリスクも孕むのがCOOをはじめとしたCxOの転職です。COOへの転職はそのような前提にある中、自分がどのような課題を有する事業、組織において課題を発揮できるかを明確にしておくことは必須といえるでしょう。

何を得る転職にするのか明確にする

何を得る転職にしたいかを明確にしておくと良いでしょう。これは役職や報酬ではなく、例えば「自分が旗振り役となり、会社をIPO(新規株式公開)させたい」などといった自分が成し得たいことを意味します。

自分の希望に近い求人情報の獲得のためにも「自分に合う求人を紹介してください」という抽象度の高い要望ではなく、何を成し得る転職にしたいかを明確に転職エージェントに要望するようにしましょう。

付き合う転職エージェントの選定

付き合う転職エージェントを選ぶことは言うまでもなく、非常に重要です。この際に大切なことは、転職エージェントを絞り過ぎず、自身が目指す今後のキャリアに対してプラスになる可能性があると思える転職エージェントの方とは複数名と接点をもっておくことです。

万能な転職エージェントは存在するかもしれませんが極めて稀有でしょう。例えばCxOをはじめとしたエグゼクティブ転職を専門にしている転職エージェントの中でもVCとのパイプを強みにしている転職エージェント、SaaSなど特定領域経営者との関係性を強みにしている転職エージェントなどそれぞれ得意領域は微妙に異なります。

また、CxOをはじめとしたエグゼクティブ転職を専門にする転職エージェントが深く法人企業とお付き合いをしていこうと思った場合、物理的に10~30社程度が限度であり、それ以上無理に取引を広げて既存企業とのパイプが希薄になるリスクが発生します。エグゼクティブ転職に臨む際には、そのような事情を鑑み、パートナーとなり得る複数社と接点を持ち、情報を網羅的に集めるようにすると良いでしょう。

転職エージェントと定期的に情報交換を行う

COOをはじめとしたCxOの求人は前述の通り、そこまで多い訳ではなく、1~2年で話がまとまることも珍しくありません。そのためCxOの転職に強い転職エージェントと定期的に情報交換を行うようにすると良いでしょう。情報交換は単に求人情報だけではなく、いま転職市場でどのようなスキル・経験が評価されるか等についてもキャッチアップしていくことが大切です。

転職市場の動向を踏まえ、現職でも市場価値をあげていく取り組みを積み重ねていくことが、競争率の高い募集の中においても白羽の矢が立つ人材へと押し上げてくれるでしょう。

複数の転職エージェントから同じ案件を提示された場合の対応

企業側がCOOの採用を進める際に複数の転職エージェント、ヘッドハンティング会社に依頼をかけることは多いです。そのような構図の中、複数の転職エージェントおり同じ求人情報を提示されることが稀にあります。このような場合、企業側と最もパイプが強いと思われる転職エージェントから選考を進めるのが良いでしょう。

尚、企業側のパイプは必ずしも大手の転職エージェントであるから強いとは限りません。企業のどの立場の方から求人の打診を受けたか、またどのような経営課題の中で今回の募集としているか等、求人情報を提示してくれた転職エージェントの中で最も情報量の多い転職エージェントを選択することが大切です。転職活動は言うまでもなく、情報戦線です。転職活動を有利に進めるためにもパートナーとなる転職エージェント選びは慎重に行うようにしていきましょう。

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最後に

今回はCOOの役割や転職などについて解説しました。COOをはじめとしたCxOの転職は若手・中堅の転職とお作法が異なる部分が多く、特に転職エージェントとの付き合い方が重要となります。いま現在、COOとして活躍されている方、あるいは今後COOとして経営の一角を担っていくキャリアを歩みたいとお考えの方はぜひ今回の記事をご参考ください。

この記事を書いた人

岩崎久剛

1984年兵庫県生。関西大学工学部を卒業後、受験支援事業を全国展開する大手教育事業会社にて総務人事など管理部門を経験し、2012年より人材業界に転身。大手総合人材会社にて求人広告、人材紹介など中途採用領域での法人営業を経験し、従業員数名規模のベンチャーから数10か国に展開するグローバル企業まで多様な業界、事業フェーズの企業の採用を支援。2016年よりハイキャリア領域の人材紹介事業立上げメンバーに参画し、関西ベンチャーを軸とした採用支援に従事。その後、ビズアクセル株式会社を起業。MBA(グロービス経営大学院)。

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