転職活動において多くの方が頭を悩ませるものとして、志望動機をどう回答すべきか、というものがあります。志望動機は面接においてほぼ必ず質問されるものですし、自分自身が実際にどのような理由でその会社や職種を志望するに至ったのかは自身にとっても整理されているべきものだと思います。企業の採用担当者は求職者の合否を判断するうえでさまざまなところを見ており、志望動機だけで全てが決まるわけではないものの、求職活動において合否を決める重要な要素のひとつであることは間違いないでしょう。
今回は総務人事の領域で転職活動をする際にアピールすべき志望動機を回答例と合わせてご紹介していきます。
総務人事の役割
今回の記事は総務人事の領域で転職を考えておられる方に向けてのものですので、企業における総務人事の役割とはどのようなものなのかについて解説します。総務人事の役割を理解したうえで志望動機を整理すれば、業務理解が高く戦力になりそうな人材だと感じてもらうことができるでしょう。総務人事に限ったことではありませんが、転職活動を行う上で志望する職種の役割について理解しておくことはとても重要です。
総務人事の役割は幅広く、企業規模や事業内容などによって様々であり一概に言えないところもありますが、概ね以下のようなものが挙げられます。
- 備品や社内設備の管理、情報システム管理業務
- 社内行事の企画運営
- 社内外への広報業務
- 契約管理や知財管理、係争対応など法務に関する業務
- 株主総会や取締役会の事務局業務、株主対応業務、登記や公告に関する業務
- (株式上場会社の場合)開示に関する業務
- 人材採用、人材配置に関する業務
- 教育研修業務
- 人事評価や報酬に関する制度の構築、運用
- 労務管理、給与に関する業務
総務人事の役割はとても幅広いものであり、それ故イメージが掴みにくいところもありますが、企業が円滑に活動するために必要となるあらゆるものの担当となります。他の部署(営業、開発、経理など)が担当しているもの以外の全てが総務人事の業務だと考えてよいかと思います。
総務人事の役割は他の多くの部署以上に経営そのものに近いものであるとも言うことができ、社長や取締役と一緒になって取り組むこと仕事も多い部門です。それだけに、企業全体を支えているというやりがいを感じやすい職種であると言えるでしょう。
総務人事に必要な能力
総務人事の役割において「この資格がないとできない」というような資格はありませんが、幅広い役割だからこそ必要な能力というものもあります。総務人事の仕事に取り組むうえで持っているとよい能力について、いくつかご紹介します。
コミュニケーション能力
総務人事の役割においては、社内外の様々な方とコミュニケーションをとることになります。社内の各部署にまたがるプロジェクトに関わることも少なくありませんし、顧客や取引先企業、メディア等との様々なやりとりの窓口となることもあります。関わることになる社内外の様々な立場の方と情報共有や意思疎通を円滑に行うことができるかは、その窓口となる方のコミュニケーション能力によって決まるところが少なくありません。総務人事の役割においてコミュニケーション能力は必須のものであると言えるでしょう。
リスク管理能力
総務人事の役割においては、契約書などの重要文書の作成や管理、株主対応、行政手続き、労務管理といった業務に関わることになります。そうした業務においては様々なリスクが生じるおそれがあるため、念入りな確認をしたり、いろいろなケースを想定した事前準備ができるような、リスク管理能力の高い方に適性があると言えます。
マルチタスク能力
繰り返しますが、総務人事の役割は多岐に渡ります。同時並行で様々な業務をこなす必要もありますし、タイトな期限設定のなかで役割を果たさなければならないような場面も少なくありません。様々な役割を同時並行で上手に進めていけるような、マルチタスク能力の高い方のほうが総務人事の適性があると言えるでしょう。
ITに関する知識
総務人事においてはITスキルを求められる場面も多くあります。担当する業務範囲や企業の規模・事業内容などによって必要なITスキルの程度は様々ですが、もちろん文書作成や表計算などの一般的なPCスキルは必須ですし、社内PCやネットワーク、セキュリティ管理など情報システム業務を担当する場合、会社ホームページやSNSの管理などを担当する場合など、業務範囲に応じてそれらに関する知識も必要となります。
その他、担当する領域に関する一般的な知識
これ以外にも、たとえば契約書に関する業務を担当するなら契約や法律に関する知識が必要ですし、給与や労務管理に関する業務を担当するなら労働法や社会保険などに関する知識が必要となります。総務人事の一般職員として働くうえでは自身が担当する業務範囲に関する知識を身に付けられていれば足りますが、総務課長や管理部長などの管理職を目指す場合は、そうした総務人事におけるあらゆる業務に必要な知識を幅広く身に付ける必要があります。
このように総務人事に必要な能力は多岐にわたりますが、その中で自身の強みはどこにあるのかについても、志望動機とあわせて整理しておけると良いでしょう。面接においてこのような点をアピールすることができれば、評価につながることが期待できます。
総務人事の志望動機の回答例を紹介
総務人事の領域で転職を目指す上では、単に総務人事としての適性や経験を説明するだけでなく、それがその企業にどのように役に立ち、どのように貢献できるのかといった視点からアピールできると良いでしょう。
志望する会社の事業内容や企業フェーズを踏まえ、どのようなスキルがあればどのような貢献ができるのか、それをどのように身に付けようとしているのかといったことをアピールすることができれば、企業側にとっても活躍する姿がイメージしやすく、魅力的な人材に映るはずです。
ここからは、目指すキャリアに応じた志望動機の例をいくつかご紹介していきたいと思います。これを参考にしていただき、ご自身の目指すキャリアに当てはめるとどのような志望動機をアピールすることがよさそうかについて、ぜひ考えてみていただければと思います。
総務のスペシャリストを目指す際の志望動機例
総務のスペシャリストを目指して転職活動を行う場合、これまでの経験では主にどのような業務に取り組んできたのか、今後あらたにどのような業務に挑戦するための転職なのかといったことを念頭に志望動機を整理していただくと良いでしょう。
例として、中小企業の総務担当者として経験を積まれた方が、新たに株式上場会社の総務業務にチャレンジしようとするというケースを想定し、志望動機の例をご紹介させていただきます。
志望動機の回答例
私はこれまで、総務担当者として社内業務を中心に様々な経験を積んでまいりました。社内イベントの企画や契約書作成、登記に関する業務などを経験するなかで、総務として各部署と横断的に関わりながら働けることにやりがいを感じるようになりました。
今後はこれまでに得た経験を活かし、さらに幅広く経営全体に関与できる仕事に取り組みたいと思っています。貴社は証券取引所に上場されており、総務部門においては株主総会運営や株主対応といった業務に関わることができると認識しております。これまでの経験に加えそういった対外的な業務にも取り組むことで、広い視野を持った総務のスペシャリストを目指してまいります。
志望動機を考える際のポイント
総務はどの企業においても業務範囲が広く、また標準化しにくい業務も多くあります。企業は総務人材として、これまでのキャリアの中で様々な業務を経験している守備範囲の広い人材を置きたいと考えるでしょう。
志望動機を考える上では、これまでのキャリアで広い範囲の業務に取り組んできたことをポジティブに捉え、更に未経験の業務範囲にチャレンジして総務のスペシャリストを目指しているという点をアピールするとよいでしょう。
企業が有能な人材を置きたいと思っている領域と、応募者がこれから取り組みたいと考えている領域が一致することがわかれば、企業はその人材をぜひ採用したいと思うはずです。
総務人事課長、管理部長を目指す際の志望動機例
総務人事課長や管理部長は会社全体の内部管理体制や業務フローを把握するなど、全体を俯瞰的に見る必要のあるポジションです。簡単な役割ではありませんが、各部署に横断的に関わる役割が求められる総務人事の方が目指すポジションとしてうってつけであるとも言えるでしょう。
ベンチャー企業の総務人事担当者として様々な業務に取り組んでこられた方が、総務人事課長や管理部長を目指してマネジメントに取り組みたいと考えるケースでの回答例をご紹介します。
志望動機の回答例
私はこれまでベンチャー企業の総務人事担当者を務めてきましたが、細分化されていない組織であるが故に幅広い業務に取り組んできました。今後はこれまでの経験から総務人事部門を俯瞰して構築していくマネジメントの立場を目指し、ゆくゆくは総務人事課長や管理部長として会社全体のコーポレート領域を支えられる、会社の屋台骨となれる人材を目指していきたいと思っています。貴社においてはこれから管理部門を拡大していくご予定と伺っており、まだ現段階ではマネジメントの経験はないものの、次の管理職候補として期待頂けるように今の段階より周囲の同僚の方との関係構築などに努めていきたいと考えています。
志望動機を考える際のポイント
総務人事課長や管理部長といった管理職ポジションを目指す上では、マネジメントに取り組む意欲を持っている点をアピールすべきでしょう。既にマネジメントの経験がある方はもちろんその経験をアピールするのが良いでしょうし、これからマネジメントに取り組みたいと考えている方はこれまでのどのような経験がマネジメントに活きるかを考え伝えるとよいように思います。
CHRO(最高人事責任者)を目指す際の志望動機例
CHRO(最高人事責任者)は経営メンバーの一人であり、それを目指すうえでは、それまでの従業員としての立場とは様々な面で大きく変わるという点を理解する必要があります。総務人事の領域でキャリアアップして経営メンバーを目指すうえで、CHROは目指すべきポジションのひとつであると言えるでしょう。
採用や研修、人事評価などの仕事に関わってこられた方が組織をつくる仕事にやりがいを感じ、CHROとなる機会を求めて転職しようとするというケースについて考えてみたいと思います。
志望動機の回答例
私はこれまで、採用や研修、人事評価など、組織づくりに関わる仕事に主に取り組んで参りました。企業が成長するなかで組織をつくっていく役割に大きなやりがいを感じ、今後この領域で更に経験を積んで経営にインパクトを与えられる人材となるべく、CHRO候補を募集しておられた貴社に応募いたしました。急激な成長過程にある貴社において、組織づくりは重要な経営課題のひとつであると思います。これまでの経験を活かして事業成長に貢献し、CHROとして必要な人材であると感じていただけるよう、取り組んでまいります。
志望動機を考える際のポイント
CHROを目指す上では、ただ業務として採用や研修に関わるだけでなく、それが企業の経営課題そのものであり、その領域で成果を上げることが企業成長に直結するのだということを理解している必要があります。面接ではそのように組織づくりが経営課題そのものであり、事業の成果そのものに直結するものなのだということについて理解していることを伝えられるとよいでしょう。
転職活動を有利に進めるために
総務人事業務に従事される多くの方が、業務繁忙で、なかなか転職活動に十分な時間を割けないという環境にあるかと思います。多忙なビジネスパーソンは現職でのパフォーマンスを落とすことなく、効率的に情報収集を行う必要があります。こちらではこのような総務人事の転職活動で推奨する2つの手法についてご紹介します
スカウトサイトを活用した転職活動
一つ目はスカウトサイトを活用した転職活動になります。これまで主流であった転職サイトなどからスカウトを待つ転職プラットフォームに移行しつつあります。具体的には「ビズリーチ」「リクルートダイレクトスカウト」「エンミドルの転職」などが挙げられます。このような転職プラットフォーム市場はこの数年で急激に市場が拡大し、2021年には前述のビズリーチを運営するビジョナル株式会社が東証マザーズ(現東証グロース)にも上場を果たしています。
これら転職プラットフォームに情報を登録しておくことで、経歴を見た転職エージェント、または企業より直接スカウトを貰うことが可能です。どのような企業がこれまでの総務人事の経験を評価してくれるのかという転職市場での市場価値の理解、あるいは自分の経歴に合った求人情報をある程度網羅的に情報を集めることができるため、多忙な総務人事の方にとっては有効な転職手法の一つと言えるでしょう。
転職エージェントを活用した転職活動
前述の様な転職プラットフォームサービスの台頭はあるものの、まずは自身の現状について相談したいという場合には転職エージェントを活用していくこともよいでしょう。多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。
転職エージェントは国内に数万社あり、管理部門に特化した転職エージェント、ベンチャー、スタートアップ企業に特化した転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの総務人事のご経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに選びましょう。
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最後に
今回は「【総務人事編】転職活動で重要な志望動機の回答例を紹介」というテーマで、総務人事の領域で転職を目指す方が考えるべき志望動機について解説しました。勿論、今回ご紹介したものは一例であり、実際は入社を目指す企業がどのような事業に取り組んでいるのか、どういったフェーズにある企業なのか等により考えるべき点は違ってきますが、どのポジションにおいてもその企業においてどのような点で貢献しようと考えているのかをアピールすることが大切でしょう。ぜひ多くの皆様によい転職の機会を得ていただき、目指すキャリアアップを実現していただければと思います。