2023年の法人起業件数は過去最多の15.3万社に達したと言われており、ベンチャー企業の資金調達額も2015年の2,000億円から2022年には9,000億円を突破しました。ベンチャー企業の成長を支える国のサポート体制も整いつつあります。
しかし、このような追い風の中でも成長を遂げる「勝てるベンチャー企業」はごく一握りとされています。そこで、今回の記事では『急成長するベンチャー企業』の特徴5点、勝てるベンチャーに転職する方法について解説いたします。
市場成長性の高いマーケットであるか
最初のポイントは、成長性が高く時代に後押しされるマーケットなのか、それとも停滞・衰退フェーズにあるマーケットなのかを見極めることです。
例えば、2000年代初頭のITバブルの時代には、インターネットインフラが未整備の中で通信事業や通信代理店、インターネット広告代理店などが時代を牽引しました。2006年以降は通信インフラが一定量整備され、コンテンツ、ソーシャルメディア、インターネット通販、モバイル通販などのビジネスが発展しました。当時、日本ではYahoo!に資本参加し、Yahoo! Japanを設立したソフトバンクが、2000年2月には時価総額19兆円の評価を受けました。しかし、ITバブル崩壊により、わずか1年で時価総額は約100分の1にまで落ち込むなど、乱高下の激しい時代でもありました。
2010年以降、アプリ開発、ゲーム開発、スマートフォンサービス、シェアリングエコノミー、2016年頃にはSaaS、AI、インバウンド産業が急成長しました。特に、スマートフォンの普及に伴い、メルカリやBASEのようにスマートフォンを主戦場としたアプリケーション開発を行うベンチャーやスタートアップの隆盛が印象的です。
このように、時代の潮流に乗っているビジネスかどうかは重要な要素です。例えば、2024年に通信代理店を始めたとしても、当時のような成長や市場からの評価を得ることは困難でしょう。急成長を遂げるベンチャー企業の多くは、時代の次の流れを敏感に察知し、新たな市場への挑戦や投資を積極的に行っています。
参考:プロダクトライフサイクル(PLC)とは?マーケティングの基礎用語を動画と記事で解説【特選】
上記は、製品のプロダクトライフサイクル理論というフレームワークであり、商品投入および市場への参入時期が現在どの段階にあるのかを測ることができます。今あなたが着目しているベンチャー企業がどの段階にいるのかを見極めるのに有用です。IPOやM&Aによるバイアウトを成功させている「勝てるベンチャー企業」は、導入期の後半から成長期の前半の時期に、うまく参入している傾向があります。
市場規模の大きなマーケットであるか
次のポイントは市場規模です。市場規模もまたベンチャー、スタートアップの成長を左右する重要な要素になります。中小企業庁のデータからの情報ですが、中小企業の平均売上は1.71億円と言われており、2021年における中小企業の数は336万社と言われております。
2016年のJPXのデータでは東証マザーズに上場を遂げる会社(2021年時点では3,762社)の46%が売上10億~20億円強と言われています。このデータから割り出すと、僅か0.089%の企業しか上場できていない現実があります。もちろん非上場の会社でも立派に成長をとげ、売上が100億、1,000億超の会社も沢山あります。
しかし成長するベンチャー企業にとっては、EXIT(IPOもしくはM&Aによるバイアウト)するまでを加味したとき、10億~20億円の売上規模にまで成長できる、成長余力のある市場なのかどうか事前に入念な調査を行い、見極めた上で市場に参入する必要があります。
尚、市場規模は一般的にはその業界のプレーヤーの売上の足し算で算出され、例えばGMSやCVSをはじめとする日本の小売業界の市場規模は100兆円以上と言われています。一方でベンチャー、スタートアップでは市場規模を正確に捉えることが非常に難しく、多くの場合、上記とは市場規模の計算方法が変わります。まだ世の中にない新しい価値を提供するベンチャーにおいて、既存プレーヤーがほぼ存在しておらず、通常の算出方法では市場規模が出せないのです。
そのためベンチャーで市場規模を測る場合、例えば●●の課題を抱えている人は国内に▲▲人程度想定され、一人当たり■■円程度の支払能力がありそうだという試算を行うことで、おおよその市場規模を割り出すケースなどがあります。伸び悩むベンチャーには市場規模を見誤り、実際にサービスリリース後に思ったより導入が進まないことなどが多く、リリース後に市場規模を再度試算し、事業計画を見直す様なケースも多くあります。いくら創業者の志が高かったとしても、市場があまりにも小さすぎた場合には創業者の情熱だけが空回りしてしまい、努力に合わない結果になってしまう恐れがあります。
これから市場に参入される起業家、またはベンチャーに転職を考えられている方は、そのベンチャーが参入する市場規模が大きいか否か、またはシェアを大きく獲得することが可能なプロダクトを保有しているかなどの目利きが、勝てるベンチャーを見極める上で大事なことの一つだと思います。
関西ベンチャー特化型転職支援サービス
ベンチャー転職は【ビズアクセル】
- ビズアクセル限定の非公開求人が多数
-
関西ベンチャーのCxO、ミドルマネージャーなどの非公開求人を多数保有
- 95%以上の高い定着率
-
長期的にご活躍いただけるご転職を支援
- ベンチャー転職のプロがサポート
-
豊富なベンチャー転職支援実績を有するコンサルタントがサポート
ベンチャーへの転職は決して簡単ではありません。ビズアクセルでは創業以来、関西ベンチャーに特化した転職支援を行っており、プロのコンサルタントがあなたに合ったご提案をさせて頂きます。少しでもご興味をお持ち頂けるようであればお気軽にご相談ください。
※お話を聞いて頂くだけでもOKです。
経営者の経験値、人間力があるか
次に重要なポイントは経営者の経験値、人間力です。
- その業界の専門性に長けた経営者なのか?
- 営業、マーケティング、財務、人事など多方面に長けた力をもっているのか?
- 足りないところを自覚し、補えるように人を集める才能があるのか?
ベンチャーキャピタリストが投資先を選ぶ際、重要視するポイントとして「経営者の業界経験と人間力」を挙げられるのはよくあることです。経営者の人間力(人柄や信頼性、リーダーシップなど)がビジネスの成功にとって重要であると考えられているからです。
また世間より注目される多くのベンチャー経営者の特徴としては、メディア出演、ブログ等のソーシャルメディア、PRなどを上手に活用していることが挙げられるかと思います。特に経営者自身のブランディングに力を入れていることが多く、それが結果的に会社のブランド向上にも繋がっているようなケースが多くみられます。
このようなベンチャーの場合、ベンチャー経営者を特集されるメディアなどを通じ、経営者の大切にする考え方、経歴などを事前に調べられることは会社の成長性だけでなく、カルチャーなどの理解にも繋がるので良いでしょう。ただし、表向きの注目度の高さはあるものの、事業の実態はまだまだで、掲げる目標に追いついていないケースも多々ありますので、表面的な部分に惑わされることなく、慎重に見極めていただくことをお薦めします。
経営ボードの能力・チームワークがあるか
そして次に成長、注目されるベンチャーに多く見られるポイントとして、創業メンバーを中心とした経営チームの層が厚く、チームワークが良いことが挙げられます。いくら経営者の能力が高かったとしても、経営者一人の力で会社を大きく成長させることは不可能です。会社経営の世界では、経営者のマンパワーで成長できる限界は売上5億、従業員30名と言われております。
東証マザーズへの上場となると、売上10億~20億円、従業員数も50人~100人規模となり、各種専門スキルを保有した人材を集めなければなりません。成長性の高い注目ベンチャーの30名を超える会社の多くが、コアメンバーの採用に非常に大きな時間とコストを費やしております。
経営者がとても魅力的な一方、実はその脇を固めるコアメンバーがいない経営チームであるが為になかなか事業を思うように進められていないようなケースは往々にしてあるかと思います。面接などの際には経営者以外のコアメンバー(特にCxOクラス)のご経歴なども具体的にヒアリングし、経営チームの力を把握されることをお薦めします。
ファイナンス、資金調達力
上記の項目がすべて満たされた上で最後に大事なポイントが、ファイナンスと資金調達力になります。会社経営における資金は血液と同じようなもので、言うまでもなく、資金無しでは会社存続は不可能です。急成長を目指すベンチャー企業の多くではその成長曲線を形にする為に、創業期より多額の資金を投資に回し、プロダクト開発などを進める傾向にあります。創業期は銀行融資によるファイナンスは比較的難しく、エクイティファイナンスを中心とした資金調達の下、プロダクトのリリースまでは覚悟を決めてひたすらに赤字を堀り続けるということが珍しくありません。
急成長を遂げるベンチャーの多くは経営者がファイナンスに長けている、またはファイナンスに長けた優秀な右腕となる人材が経営の一角を担っていることが多いです。会社の血液である資金が枯渇する前に、ベンチャーキャピタルをはじめとした投資家などに働きかけながら資金調達に動き、そこで得た資金を活用し、ビジネスを更にスケールさせていることが多いです。
ファイナンスに関しては、2010年代に入り、シリコンバレーでのベンチャーファイナンス理論を日本で取り入れられるケースも多くなりました。具体的には2013年頃よりベンチャーの資金調達のノウハウがベンチャー、スタートアップ界隈で広がり、また同時期にベンチャーキャピタルの他、事業会社、エンジェル投資家などの資金提供者がたくさん増えたため、これまでと比べると比較的資金調達がしやすい環境になりつつあります。
ただ、東京と関西では資金調達需要、ファイナンス理論に長けた経営層の数、資金提供者の数など環境が全く異なっています。関東と関西ではベンチャー企業、人材数の観点でみた際に10倍以上の差分があり、また関西ではEXIT経験者(IPOもしくはM&Aによるバイアウト)もまだまだ少ない為、エクイティファイナンスに長けたCFO(最高財務責任者)を中心とした人材獲得に各社苦戦をしている現状があります。
事業計画だけでなく、資金調達に際してどのように考えており、またそれを実現し得る体制を築けているかどうかについてもベンチャーの将来性を見極める上で非常に重要なポイントの一つといえるかと思います。
これからの成長に期待のできる「勝てるベンチャー」と出会うために
ベンチャー、スタートアップ企業への転職活動を試みた経験のある方の中には、大手企業と比べて企業情報、求人情報を探すこと、また企業概要までは分かったとしてもビジネスモデルや事業優位性など詳細な情報収集が難しいと思った方も多いのではないでしょうか。
言うまでもなく、大手企業や上場企業のように公開情報が豊富な訳ではなく、財務情報やビジネスモデルなど実態が掴みづらいのがベンチャー、スタートアップ企業です。特に設立から間もないベンチャーの場合、HPなどWebサイトに十分な予算をかけることが難しく、最低限の情報のみ記載されているような企業も少なくありません。
また、ベンチャー、スタートアップ企業は、まだ世の中にない最新技術などを駆使したビジネスを展開されている企業も多いため、HPの情報だけではなかなかビジネスの特徴や全体像などを掴みづらいというのも、転職者が情報収集に苦労する一つです。
ベンチャー、スタートアップ企業への転職活動において企業情報、求人情報を探す過程で、上記のように様々な問題に直面する場合が多く、自分に合ったベンチャー、スタートアップ企業を探し、出会うことは非常に難易度が高いです。このように情報収集が容易ではないという前提の上ではありますが、その上で以下のような探し方をご紹介します。
勝ち組ベンチャーへ転職する方法
こちらでは今後、成長が期待されるベンチャー企業への転職する方法について解説いたします。特に「戦略的にPRを控えるベンチャー」への転職は一筋縄ではいきません。ベンチャー企業の
積極的にPRをするベンチャー
ベンチャー、スタートアップ企業の求人情報の探し方、情報収集方法としては、まず「Wantedly」を活用されることをお勧めします。企業側の視点で見た際に、Wantedlyは比較的安価な料金で利用可能なビジネスSNSであり、多くのベンチャー、スタートアップ企業がWantedly上で情報を公開しています。そのため、転職活動の第一歩として利用するツールとしてはよいかと思います。
また、「注目すべきベンチャー●選」、「優良ベンチャー●選」、あるいは経営者にフォーカスをあてた特集など、様々なテーマでベンチャー、スタートアップ企業の情報をまとめたキュレーションサイト(まとめサイト)も存在します。Web上での情報収集においては、このようなWebサイトを参考に情報収集をされると良いでしょう。
また、ベンチャー、スタートアップ企業は自社をPRする場として、行政などが主導するビジネスプランコンテストなどに出場することが多いです。ビジネスプランコンテストは経営者が自社のビジネスモデルの特徴、どのような市場成長性のあるマーケットで戦っているか、将来どのような展望を考えているかなど、具体的な内容を発表し、審査員が評価します。
ビジネスプランコンテストは一般公開しているものも多くありますが、コロナショック以降はYoutubeなどオンライン配信形式(LIVE配信のみ、あるいはYoutubeに残す場合など様々)をとるケースも増えました。そのため、仕事が忙しく、ベンチャー、スタートアップ企業を探すことになかなか時間を割けない方でも、このような場に参加しやすくなりました。
戦略的にPRを控えるベンチャー
PRに積極的なベンチャー企業ばかりではありません。認知度を上げることは企業の成長において重要なことではありますが、目立ちすぎることで「この市場は魅力的な市場だ」と、競合の参入を加速させてしまう可能性も高まります。戦略的にPRを控えるベンチャー企業が存在することについて触れておきます。
ベンチャー、スタートアップ企業にとって大きな脅威の一つが、大企業の参入です。資本力のある大手企業が参入する中、資金力や人材など経営資源の足りないベンチャーが太刀打ちするのは至難の業といっても過言ではありません。
そのような脅威に注意を払っている経営者は、自社HP含めWebサイト上での発信を控えている他、ビジネスプランコンテストのような表舞台には極力姿を現さず、水面下で静かにシェア獲得を推し進めるような戦略をとっていることが多いです。そして、ある程度シェアを獲得できた段階、あるいは大型の資金調達などが実現され、一気に競合各社を引き離したいという瞬間に、ようやく大々的に露出していきます。
転職エージェントを活用した水面下での採用活動
このような戦略的にPRを控えるベンチャー、スタートアップ企業は、自社の採用活動に関しても慎重です。例えば公に情報を露出する求人サイトではなく、転職エージェントなどを活用し、競合他社に動きが見えないよう、水面下で採用活動を進めるような採用施策をとる企業も多いです(特にCxOクラス、ミドルマネージャークラスの求人募集に際し、転職エージェントを活用するケースが多いです)。
また、このような戦略的にPRを控える企業の場合以外においても、多くの場合、転職活動は孤独です。自身の経歴の棚卸、今後の自分のキャリアプランをどうしていくべきかなど腹を割って話ができる存在がいるかいないかは、自身の転職活動を良い形で進めていく上で重要です。
転職エージェントは国内に数万社あり、職種や業界に特化した転職エージェント、あるいは経営層、マネジメント層に特化した転職エージェントなどそれぞれ特色があります。これまでの経験、自分が描きたいキャリアなどを踏まえ、自分に合った転職エージェントをパートナーに転職活動を進めても損はないでしょう。
上記の通り、経営者の考え方、市場や競合環境により経営方針は様々であり、必ずしも露出が多いから優良ベンチャーという訳ではありません。事業フェーズがそれなりに進んでいるにも関わらず露出が少ない企業の場合には、その背景についても調べてみる、または面接において経営者に直接確認してみるのも良いでしょう。
関西ベンチャー特化型転職支援サービス
ベンチャー転職は【ビズアクセル】
- ビズアクセル限定の非公開求人が多数
-
関西ベンチャーのCxO、ミドルマネージャーなどの非公開求人を多数保有
- 95%以上の高い定着率
-
長期的にご活躍いただけるご転職を支援
- ベンチャー転職のプロがサポート
-
豊富なベンチャー転職支援実績を有するコンサルタントがサポート
ベンチャーへの転職は決して簡単ではありません。ビズアクセルでは創業以来、関西ベンチャーに特化した転職支援を行っており、プロのコンサルタントがあなたに合ったご提案をさせて頂きます。少しでもご興味をお持ち頂けるようであればお気軽にご相談ください。
※お話を聞いて頂くだけでもOKです。
最後に
本記事では急成長する「勝ち組」ベンチャー企業の特徴を取り上げました。今後成長が期待されるベンチャー企業を探している方、また、成長が見込まれるベンチャーへの転職をお考えの方は、ぜひご参考になさってください。ベンチャー・スタートアップ企業の情報収集は難易度が高いため、転職エージェントやベンチャー領域に精通した方に相談しながら、将来性のある企業との出会いを見つけていただければ幸いです。